2012年10月30日火曜日

3ヶ月前のnature「ヒト大腸がんの包括的分子特性論文」を再掲する

7月に出た「ヒト大腸がんの包括的分子特性を再掲したい。

Nature 487, 330–337 (19 July 2012)

Comprehensive molecular characterization of human colon and rectal cancer

遺伝:ヒト大腸がんの包括的分子特性

この表をクリックする前に次の設問を考えてみたい

  1.  高頻度に変異している遺伝子5つ挙げよ 

    ーーー> APC, TP53, SMAD4, PIKC3A, KRAS

  2.  シグナルやパスウェイが大事だというが、大腸癌で5経路挙げよといえばそれは何

    ーーー> WNTシグナル系、TGF-bシグナル系、PI3Kシグナル系、RTK-RASシグナル系、p53シグナル系

  3. 5経路を代表する遺伝子ー高頻度に変異することが知られているものを挙げよ(変異頻度10%以上)

    ーーー> WNTシグナル系では APC (81%)

    ーーー> TGF-bシグナル系では SMAD4 (15%)

    ーーー> PI3Kシグナル系では PIKC3A (15%)

    ーーー>RTK-RASシグナル系では KRAS (43%)

    ーーー>p53シグナル系では TP53 (59%)


    ここに挙げた数字は2012年7月のnatureの論文276例のうちnon-hypermutated症例(84%: 232例に相当する”普通の大腸癌”)解析で得られた頻度であり、この値が過去20年の研究の総まとめに近いと考えてよいのではないだろうか

以上が84%を占める通常型(hypermutated typeではない)のゲノム異常である。

 hypermutated typeを次に語ろう。

  1. 大腸癌の16%を占めるhypermutated typeとはなんであろう?これはシークエンスをしていく過程で「異常に変異頻度が高い」と判断されたサブグループである。このグループでは100万塩基に12個以上の突然変異を認めたという(普通の大腸癌では100万塩基で1以下)。


  2. 誰もが予想するのは、このグループにはMLH1を初めとする修復遺伝子異常があるのではないかということである。実際このグループの3分の2はいわゆるMSIのグループ(主たる機序はMLH1のメチル化による失活)と考えてい良い。
  3. しかし大腸癌には更にすさまじい一群があるのだった。hypermutated typeの3分の1はMLH1のepigenesis (hypermethylation)ではなく、MLH1、MLH3,MSH2,3,4, PMS2の突然変異を複数認め、さらにはDNA polymerase eの高頻度な変異を認める一群であり、この一群では100万塩基に100〜500個の異常に高頻度の突然変異を認める。
  4.  いずれにせよ大腸癌の16%を占めるhypermutated typeでは突然変異遺伝子のプロフィルが若干通常型と異なる。例えばRASと相互排他的変異パターンを示すことで有名なBRAFが変異を起こすのはhypermutated typeに限ると言ってもよい.  
  5.  普通の大腸癌”で81%が変異を認めるAPC遺伝子はhypermutated typeでは63%に変異を認めるにすぎない
  6.  PIK3CAは”普通の大腸癌”の中で18%に変異を認めるが、hypermutated typeにおいては変異を認めない。

2012年10月28日日曜日

2012フランクフルト・マラソン結果

2012フランクフルト・マラソンでは昨年の高レベルは再現されなかった。

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28.10.2012 
Official Times, Women:
1. Meselech Melkamu ETH 2:21:01
2. Georgina Rono KEN 2:21:39
3. Mamitu Daska ETH2:23:52
4. Bezunesh Bekele ETH 2:23:58
5. Agnes Barsosio KEN 2:24:27

Official Times:
1. Patrick Makau KEN 2:06:08
2. Deressa Chimsa ETH 2:06:52
3. Gilbert Kirwa KEN 2:07:35
4. Peter Some KEN 2:08:29
5. Bazu Worku ETH 2:08:35

PIK3CAが初めて注目された2004年のサイエンス

PIK3CAには非常に強い印象がある。登場の仕方が印象的だったのだ。

個別の遺伝子の変異頻度を一本の論文にまとめて報告しても、発癌の説明にはなかなかならないということに世の中の研究者が気が付いたのはゲノムプロジェクトが終了した頃である。らちがあかない、遺伝子をまとめて調べてみたいなあ。でもシークエンス技術はまだまだであった。限られた蛋白群からなるグループなら手が出るのだが・・・・・

それならシグナルに注目しようではないか。重要なシグナル経路を構成する蛋白なら、どれかがやられることで癌化するはずだし。生化学的に重要な遺伝子ファミリーとその機能的関連のあるパスウェイ遺伝子群をまとめて解析することの重要性が浮かび上がってきたわけである。

そこで初めにターゲットとなったのは蛋白リン酸化酵素群でありPIKであったわけだ。生理学的に多くの蛋白はリン酸化を受けることで活性が上昇することは知られており、癌における異常なリン酸化が癌化の重要な兆候であると考えられてきたからである。

2004年Vogelsteinらは、phosphoinositol系遺伝子群の包括的遺伝子変異を報告した。Phosphatdyl inositol 3-kinases (PI3Ks)は脂質へのキナーゼ活性を持ち、癌化への重要なシグナルを制御することで知られ、特に細胞増殖、接着、運動能に関与する。 このPIKs群に遺伝子変異があるかどうかを調べるため、ゲノム上知られる8つのPIKs、及び8つのPIKs類似遺伝子合計16遺伝子の全てのエクソン(合計117エクソン)における遺伝子変異を35種類の大腸癌サンプルでシークエンス解析した。その結果PIK3CAに比較的高頻度に腫瘍特異的遺伝子変異を見出した。変異サイトはホットスポット(エクソン9とエクソン20)の中に高頻度に存在することがわかり、その頻度は大腸癌で32%、グリオブラストーマで27%、胃癌で25%であった。

Published Online March 11 2004 
Science 23 April 2004: Vol. 304 no. 5670 p. 554 
Brevia  

High Frequency of Mutations of the PIK3CA Gene in Human Cancers

 Yardena Samuels,Adi Gazdar,Sanford Markowitz,Kenneth W. Kinzler,Bert Vogelstein, Victor E. Velculescul




このグラフが全てである。この論文はBreviaという形態であり、丁度雑誌一ページに収まるコンパクトな論文であったが、インパクトは強烈(下のイメージ)だった。上の表で大腸癌の変異率は74/234 (32%)となっている。その後、この数字を越える報告を出した報告者はいないと思う。今回のNEJMでは17%であった。突然変異の最初の報告というのは、どうしても変異率が高くなる傾向があるのだよな。まあ良しとするとともに、世の中こんなものだと留意されたし。

そんなことより、この「まとめて調べてみよう」が可能になった技術革新と発想転換にはやはり強烈な印象を受けたのだった。


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2012年10月27日土曜日

ようやく新しいiMacが登場してくれた:祝iMac

ようやく新しいiMacが登場してくれた

もうアップルは古いタイプのコンピューターを作るのを止めたのではないかと密かに畏れていただけに、ほっとしたよ。

21.5インチ 108,800円から。11月に登場。
27インチ  154,800円から。12月に登場。

ということであるが、これだと12月まで待たないと買えないではないか!
小生のiMacはもう4年も更新していない。がたが来ているだけに待ち遠しいな。

それよりも、なによりもスペックが楽しみだ。ものすごく薄いパネルだということくらいしか新しい情報はわからない。
アップルTVとの融合がシームレスになっていると楽しいのだがね。

大規模遺伝子変異解析:膵癌の巻

大規模遺伝子変異解析はペースを落とすことなく続いており、今回は膵癌が登場した。ちょっと概略を・・・・
  1. 膵癌の組織学的特徴の一つはdesmoplasiaである。 結合織線維の増生が多い腫瘍であるということだ。
  2. 膵癌の病理組織学的特徴の一つは神経浸潤である。膵・胆管系の腫瘍にはどうにもこの傾向が強く、 癌性疼痛の大きな理由となる。
  3. 1.についてはこれが腫瘍組織からDNARNAを回収するときの障害となる。つまり腫瘍細胞の回収率が悪いということだ(正常細胞の混入)。腫瘍塊の中で腫瘍細胞の占める体積が高いもののみ検索したというのが、当研究の一つの売りである。(このため対象症例142例のうち、99症例しかシークエンスの対象にしていない)
  4. また対象症例をステージ I,IIに限っているのも当研究の特徴だ。
  5. 新しくaxon guidance, particularly SLIT/ROBO signallingというシグナルが関与することが明らかになったが、これが2.と関係しているのであろうか?
  6.  癌精巣抗原として知られていたMAGE遺伝子(MAGEA6)が(おそらく初めて)癌関連変異遺伝子として登場した。
Received 09 January 2012 Accepted 04 September 2012 Published online 24 October 2012
Nature
Pancreatic cancer genomes reveal aberrations in axon guidance pathway genes
Sean M. Grimmond 他 オーストラリア

Pancreatic cancer is a highly lethal malignancy with few effective therapies. We performed exome sequencing and copy number analysis to define genomic aberrations in a prospectively accrued clinical cohort (n = 142) of early (stage I and II) sporadic pancreatic ductal adenocarcinoma. Detailed analysis of 99 informative tumours identified substantial heterogeneity with 2,016 non-silent mutations and 1,628 copy-number variations. We define 16 significantly mutated genes, reaffirming known mutations (KRAS, TP53, CDKN2A, SMAD4, MLL3, TGFBR2, ARID1A and SF3B1), and uncover novel mutated genes including additional genes involved in chromatin modification (EPC1 and ARID2), DNA damage repair (ATM) and other mechanisms (ZIM2, MAP2K4, NALCN, SLC16A4 and MAGEA6). Integrative analysis with in vitro functional data and animal models provided supportive evidence for potential roles for these genetic aberrations in carcinogenesis. Pathway-based analysis of recurrently mutated genes recapitulated clustering in core signalling pathways in pancreatic ductal adenocarcinoma, and identified new mutated genes in each pathway. We also identified frequent and diverse somatic aberrations in genes described traditionally as embryonic regulators of axon guidance, particularly SLIT/ROBO signalling, which was also evident in murine Sleeping Beauty transposon-mediated somatic mutagenesis models of pancreatic cancer, providing further supportive evidence for the potential involvement of axon guidance genes in pancreatic carcinogenesis. 

  1. 99人のシークエンスで一人平均26個 (1-116)  の遺伝子変異を見いだした。
  2.  サイエンスの有名なJonesの膵癌変異遺伝子の論文に二回以上の変異があると報告された79遺伝子のうち38(48%)が当研究でも変異あった。

    Science 26 September 2008:
    Vol. 321 no. 5897 pp. 1801-1806

    Core Signaling Pathways in Human Pancreatic Cancers Revealed by Global Genomic Analyses
    Siân Jones Bert Vogelstein,Victor E. Velculescu, and Kenneth W. Kinzler
  3.  変異遺伝子の一覧を次に掲載する。青字が選抜遺伝子である。(ABOは血液型ではない! 今回の三チームの略号、Jonesは2008年の論文のこと)

    頻度が高い遺伝子なのに代表16に選ばれていない理由はいまだ読みこなせていない。MAGEA6, SLC16A4は変異数2であり、この表のずっと下の方に出てきますが省略した。これらがなぜ選ばれたのかはこれもいまだ
    読みこなせていない。ちなみにSLC16A4はshRNAによる効果があるとは書いてある。MAGEA6はSB(Sleeping Beauty)は効果なく、shRNAは実験そのものが行われていない。
-->
Gene ABO (n = 99) ABO % Jones (n=24) Jones % ABO + Jones (n=123) ABO + Jones  %
KRAS 94 95% 24 100% 118 96%
TP53 33 33% 18 75% 51 41%
SMAD4 16 16% 8 33% 24 20%
TTN 13 13% 5 21% 18 15%
MLL3 6 6% 4 17% 10 8%
PCDH15 4 4% 4 17% 8 7%
MUC16 5 5% 2 8% 7 6%
TGFBR2 4 4% 3 13% 7 6%
ARID1A 4 4% 2 8% 6 5%
CSMD1 5 5% 1 4% 6 5%
NEB 5 5% 1 4% 6 5%
SF3B1 4 4% 2 8% 6 5%
ATM 5 5% 0 0% 5 4%
DMD 3 3% 2 8% 5 4%
DNAH5 4 4% 1 4% 5 4%
LRP1B 3 3% 2 8% 5 4%
NALCN 4 4% 1 4% 5 4%
ZIM2 5 5% 0 0% 5 4%
ABCA12 3 3% 1 4% 4 3%
ADAMTS20 2 2% 2 8% 4 3%
AFF2 3 3% 1 4% 4 3%
CDH10 2 2% 2 8% 4 3%
CDKN2A 2 2% 2 8% 4 3%

2012年10月25日木曜日

NEJM:大腸癌とPIK3CAとアスピリン:日本米国連合軍によるNEJM論文

東大、熊大、鹿児島大、札幌医大およびダナファーバーをはじめとするハーバード連合軍によるoriginal articleである。たいしたものである。  

結論は

「PIK3CAに変異を持つ大腸癌患者殿はアスピリンを常用したほうが予後が伸びますよ」


というものである。


PIK3CAは大腸癌一般ではどれくらいの変異率か?というのが気になるところであろう。当ブログでは大腸癌では最低でも15%と踏んでいた。


さて今回の論文では対象症例が964例であるが

アスピリン服用群413例中17%70例が変異陽性

アスピリン非服用群551例中17%91例が変異陽性

であり、過去の報告と比較しても陽性率に変わりはない。検索対象群には変な偏りはなさそうである。


なおPIの荻野周史さん(小生全く面識はありませんが)と
この研究の背景はここで知るとよい。


N Engl J Med 2012; 367:1596-1606  October 25, 2012

Aspirin Use, Tumor PIK3CA Mutation, and Colorectal-Cancer Survival

Xiaoyun Liao, M.D., Ph.D., Paul Lochhead, M.B., Ch.B., Reiko Nishihara, Ph.D., Teppei Morikawa, M.D., Ph.D., Aya Kuchiba, Ph.D., Mai Yamauchi, Ph.D., Yu Imamura, M.D., Ph.D., Zhi Rong Qian, M.D., Ph.D., Yoshifumi Baba, M.D., Ph.D., Kaori Shima, D.D.S., Ph.D., Ruifang Sun, M.B., Katsuhiko Nosho, M.D., Ph.D., Jeffrey A. Meyerhardt, M.D., M.P.H., Edward Giovannucci, M.D., M.P.H., Sc.D., Charles S. Fuchs, M.D., M.P.H., Andrew T. Chan, M.D., M.P.H., and Shuji Ogino, M.D., Ph.D.

Background

Regular use of aspirin after a diagnosis of colon cancer has been associated with a superior clinical outcome. Experimental evidence suggests that inhibition of prostaglandin-endoperoxide synthase 2 (PTGS2) (also known as cyclooxygenase-2) by aspirin down-regulates phosphatidylinositol 3-kinase (PI3K) signaling activity. We hypothesized that the effect of aspirin on survival and prognosis in patients with cancers characterized by mutated PIK3CA (the phosphatidylinositol-4,5-bisphosphonate 3-kinase, catalytic subunit alpha polypeptide gene) might differ from the effect among those with wild-type PIK3CA cancers.

Methods

We obtained data on 964 patients with rectal or colon cancer from the Nurses' Health Study and the Health Professionals Follow-up Study, including data on aspirin use after diagnosis and the presence or absence of PIK3CA mutation. We used a Cox proportional-hazards model to compute the multivariate hazard ratio for death. We examined tumor markers, including PTGS2, phosphorylated AKT, KRAS, BRAF, microsatellite instability, CpG island methylator phenotype, and methylation of long interspersed nucleotide element 1.






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このグラフだが簡単に言えばこうなるのだ。左上のグラフだが術後5年以内の癌関連死亡の比率を読むと・・・

            PIK3C変異群     PIK3C正常群
アスピリン服用群   3%  (2/62)        15%   
非服用群       26%(23/90)        15%

overall survivalでもほぼ半減しているこの研究を知ったことで大腸癌の術後(切除後)に調べなくてはいけない項目がまた増えましたな。k-ras、EGFRPIK3Cですかな。

ところで小生の在住する街では
k-rasを測ると保険の意見書を(まだ)書かされるのである。今朝も一件書いたところであった。これからはこんなのがどんどん増えてくるのかしらね。まあ良しとしよう。個人のテーラーメイドが現実化しているわけだからね

最後に一言。当研究は実はretrospectiveな研究なのである。対象患者たちが実際に手術を受けたのは1980年前後なのである。著者たちホルマリン標本(パラフィン標本)を掘り出してきて、遺伝子変異を調査したようだ。この対象群のアスピリン服用歴は何度も調べられている。もともと数万人が参加した研究を利用して、今の時代に繋げたという意味でも、非常に質の良い研究であると思う。

今後の課題はこの研究のprospectiveバージョンであろう。PIK3Cで層別化してあとは二重盲検でプラセボとバイアス投与でしょうかね。

ただ、この研究が出てしまったので、PIK3Cの変異がわかってしまった患者さんには、どうしてもバイアス投与させたくなりますな。 安い薬だし。なんせ一錠5円60銭である。本研究この薬を週3回程度服用していればよかった時代のものだが、それだとなんと一月70円程度の薬価なのだ。安いし安全だ 
 

2012年10月23日火曜日

PNASへ流れていく論文の出所

PNASへ流れていく論文の出所であるが、冒頭の1939というのは初めからPNASへ投稿されたものである。サイエンス非採用のうち352報が、ネイチャー非採用のうち225報がPNASに落ち着くということになる。一流雑誌と目される雑誌が勢揃いである。


1 p natl acad sci usa 1939
2 science 352
3 nature 225
4 nat neurosci 54
5 plos biol 46
6 j exp med 38
7 neuron 37
8 embo j 35
9 nat med 33
10 nat struct mol biol 29
11 nat genet 28
12 curr biol 26
13 nat biotechnol 26
14 j clin invest 25
15 nat cell biol 25
16 gene dev 24
17 mol cell 22
18 j neurosci 20
19 j cell biol 18
20 cell 16
21 nat methods 12
22 dev cell 10
23 immunity 10
24 cell metab 10
25 new engl j med 7
26 nat phys 6
27 mol cell biol 6
28 cancer cell 6
29 cancer res 4
30 hum mol genet 3
31 development 3
32 j biol chem 3
33 j immunol 3
34 nat immunol 3
35 plant cell 2
36 nat mater 2
37 plos one 2
38 circulation 2
39 j natl cancer i 2
40 genome biol 1
41 am nat 1
42 mol biol evol 1
43 am j hum genet 1
44 genomics 1
45 hepatology 1
46 mol biol cell 1
47 circ res 1
48 eur j immunol 1
49 clin cancer res 1

2012年10月22日月曜日

サイエンスに蹴られた論文がネイチャーに載る・・・

サイエンスに蹴られた論文がネイチャーに載ることはあるのか?
そんなことを調べた論文がサイエンスに載った(ややこしい表現だ)


Flows of Research Manuscripts Among Scientific Journals Reveal Hidden Submission Patterns

論文が雑誌に掲載されるまでにはどんなドラマがあるのか・・・その論文が最終雑誌に採択されるまでのリジェクト暦はどのようなものか?

あるいは最終的な引用回数はリジェクトを受けたことのある論文のほうが高い傾向にあるとか、1000近くの雑誌のリジェクトー採択相関関係にはどのようなものがあるのかを語った論文である。(最近の2年間を参考にしている)

この論文の本体は実はちっとも面白くない。当たり前のことが当たり前のように述べてあるから。でも付属で付いてくるサプリメントのエクセル表が面白いのだ。

どんなことが載っているかというと、世の中にはインパクトファクターがめちゃ低い雑誌に最初蹴られて、次いでnatrureやscienceに採択される論文があるのだということが希にせよあるのだということがわかるのだ。

 三大誌の相関関係を記したのが次の表である。

-->

science nature cell
science 689 82 0
nature 164 843 0
cell 1 4 NA

 これが何を意味しているかを説明する。

まず青い方からこの表をみる。サイエンスの689というのは、最初の投稿先がサイエンスでそのままサイエンスに採用された論文が689報あるということである。サイエンスに蹴られてnatureに採用されたのが82報あるということ。しかしcell誌にはサイエンスリジェクト論文は一つも載らなかった(natureリジェクト論文も載っていない)。
natureからみると、 natureに蹴られた論文のうち164報はサイエンスに載ったということであるサイエンスとネイチャーこれほど相関関係が濃密な雑誌群というのは他にはない。

次に赤い方から見てみよう。ネイチャーに蹴られた論文の164編、Cellに蹴られた論文の1報がサイエンスに載ったということを意味している。  ネイチャーの方から見てみると、natureに最終的に採用された論文のなかで82報がサイエンスに蹴られたもので、また4報がセルに蹴られたものだということだ。

このサイエンス論文にレビュー紹介を書いたのは ネイチャーであった(ややこしい)
 A study of papers’ histories from submission to publication unearths unexpected patterns.

Rejection improves eventual impact of manuscripts

他の雑誌に蹴られてnatureに載った論文というのがどれくらいあるだろうか?
表を見ると最終的にnatureに載る論文の約一割は他から回ってくる論文のようだ。といってもそのほとんどはサイエンスからである。それ以外で頻度が高いのはcellから4報, nature geneticsから2報, あとは一例ずつでNEJM, Am J Pathol, Neuron, PNAS等々10雑誌くらいある。そのなかに先の低インパクト雑誌が2冊あったようだ。
三大誌に蹴られた論文の行き先もかなり詳しいことがわかる。これは従来の流れ通り、多くの論文がPNASに流れているのであった。


 


















日本で使われる分子標的薬剤:最新のリスト34薬剤

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2012年10月19日金曜日

多発する皮下脂肪腫は血管脂肪腫?

昨日の午前外来の最後の中年男性はいきなり「脂肪腫を取ってくれ」とやって来た。見ると前胸部に20 mm 左背部に25 mmの皮下腫瘍を認めた。なぜ「脂肪腫」と彼は言ったのか?カルテをよく見ると5年前に当院外来で2個の別の場所の皮下腫瘤を切除しており、その時「脂肪腫でした」と言われたようだ。なるほど。

エコーをしてみたが、どの方向からみてもキレイに被包化された「脂肪腫」であった。ところが二個だけではないのだった。 上肢ー体幹だけで15個も脂肪腫があるのだった。まいったな。本人が気がついていないだけだ。で、どうしよう?

もともと営業マンで車のシートベルトが当たりこれが痛いので来院したという。なるほど。

で、速攻外来で切除した。痛みのある2個だけ。

この病理だけど、実は前回の病理は「血管脂肪腫」だったのだ。だいたい 血管脂肪腫を別扱いにする意味があるのであろうか? 調べてみた。

「外科病理学」(文光堂:向井清 他)によると「血管脂肪腫は一般の脂肪腫とことなるいくつかの特徴があるので区別して取り扱う方が良い」と記述がある。

  1. 一般に脂肪腫より小さく、普通1~2cmである。
  2. しばしば2個〜数個が集族してみつかる
  3. 思春期後に発症
  4. 上肢と胸腹壁に発症
  5. 鈍痛がある 
この方は鈍痛があった。普通の脂肪腫よりは若干硬い印象であるが、切除標本は脂肪そのものであった。古い文献には脂肪腫よりは若干固いという記述があった。悪性化については余り記述がないが、これだけ小さいと普通は心配するようなものではないだろう。単発の大きな脂肪腫の中には、高分化型の脂肪肉腫との鑑別が難しいものがあるというが、体表の血管脂肪腫であれば、そのような症例は希ではないかと思われる。

鈍痛・自発痛のある小腫瘤が皮下に多発している場合「血管脂肪腫」である可能性はかなり高いと考えられる。

皮下に多発性腫瘤を認める場合(軟部腫瘍診断ガイドライン)
  1. 多発性血管脂肪腫
  2. 多発性脂肪腫
  3. 神経線維腫症 I 型(von Recklinghausen病)
  4. 多発性神経鞘腫
  5. 多発性血管腫
  6. 皮下平滑筋腫
  7. 弾性線維腫(肩甲部にしばしば両側性)
  8. 線維腫症
     
    などが考えられる。

    2012年10月10日水曜日

    村上春樹:before and after

    村上春樹はノーベル文学賞を取るのであろうか?これは山中iPSと同じくらい小生には興味深いテーマである。

    川端康成の小説がどこまで世界的な普遍性を持っていたのかボクにはわからない。川端さんの小説は面白いのであるが、これは本当にドメスティックな日本固有の物語のように小生には思えてならない。当時の時代的・世界的背景といえば、「エスニックな極めてローカルな世界(世界のガラパゴス:日本)の中にもある種の西欧と同等の普遍性を見出し、これを面白がった西欧人という構図」に見えるのがあのノーベル賞かしら。

    大江健三郎の小説はといえば、小生には語る資格がない。いくつかの小説、万延元年のフットボール、飼育、奇妙な仕事、性的人間くらいしか読んだ記憶がないのだ。高校生くらいまでのものしか読んでいないので、語ることができない。

    一方、村上春樹ならこれはほとんど読んでいる。小生が少なくとも主要作品をほぼ読んでいる数少ない作家の1人である。本当に謎の多い作品群であるが、一生懸命謎解きをしたくなる要素と、読むことそれ自体で(深く考えることなくても)魂が揺さぶられることが多いことから、なかなか読むことを止められない。

    この作家が多くの国で翻訳されていることが面白い。政略的に翻訳されている一部の作家とは違って、この翻訳出版は商業的にも成功している類の話なので、様々な国にボクと同じような読者が多くいるということだろう。 一番スリリングなのは、彼の本の中に日本ローカルを遙かに超えた普遍性があるに違いないということ、しかもこの21世紀の現代においてもだ。それがどこに由来するものなのか、もし村上さんがノーベル賞を取ったら、もっともっとはっきりして来るだろうことが、ボクには待ち遠しく思える。

    日本人による絵解きとは全くことなる絵解きが聞いてみたい。日本人のボクには全く意外な謎解きが聞いてみたい。

    もっといえば、作家の意図をはるかに越えた解釈というものを、もっともっとたくさん楽しんでみたいのだ。

    作品を書いた瞬間から、作品は作家を越えるのだ。作家が意図したことなど矮小な些末なことになってしまうことさえあるのだ。その乖離が大きければ大きいほど、偉大な文学作品ということになるのだろう、きっと。

    本当はボクは 村上春樹を理解していないのかもしれないね。でも好きなのだよ。これまでいろいろな説明・解説を聞いても解ったような解らないような、なんとなく「もやもや」したいくつかの小説があるのだが、世界の様々な人々が様々な文化基盤をもとに解釈したお話しが聞けたとしたら、ひょっとして「もやもや」が解けるかもしれないねと思うわけだ。


    そんなafterを期待したbeforeな話なのだが、これは今日が最後か。あるいはまた一年、また一年と待たされ続けるのか。もうbeforeは本日までにしたいね。

    それと更にもう一つ。川端さんの時代は西欧文明がまだまだ世界の主潮流だった時代である。レヴィ=ストロースがサルトルを論破したといっても、あくまで西欧が中心であったから成り立つ構図であり、衝撃性であったわけだ。今は違う。西欧文明が自信を失ってしまった時代だ。かといってアジア/アフリカ圏がこれに変わる強力な視座を提供しているわけではない。
    もがいているのだ、現代は。世界中の人が世界の成り立ちに、世界の今後に不安を抱いている。文明の中心はフランスにもチェコにもポルトガルにもアルゼンチンにもベネズエラにも、そして韓国にも中国にも日本にもないのである。そんななか、世界の人たちが村上春樹を読んでいるという構図が誇らしいのである。いや違う。その構図が暗示的であるとでも言ったら良いのか・・・・。

    この作家は日本人が考えている以上の存在なのかもしれないということだ。国内であれやこれや言われるような、そんなちっぽけな存在ではないと強く思うのだ。

     


    2012年10月9日火曜日

    山中先生のノーベル賞で思うこと

    山中先生のノーベル賞は素晴らしい快挙だと思います。周りの研究者や医師の意見はほぼ小生と同意見であり「山中さんはいつかは取るに違いないけど、今年はまだないのでは・・・」というものでした。

    浅はかでありました。見事に裏切られました。でも、こういうものは取れるときに取っておかなければいけないので、本当に良かったと思います。それにしても現役バリバリで受賞するというのは、従来の日本人の受賞風景とかくも違うものかと思います。2000年以降のこれまでの日本の受賞者は概ね一線を引かれた先生が多く、ある意味「ほのぼの」とさえしていたわけです。小柴先生、益川先生、白川先生、鈴木先生なんかそうです。受賞後のインタビューも失うものがないわけですから、鷹揚なものでした。

    ところが山中先生は違います。真面目なんだな、基本的に。受賞後のインタビューでは「受賞の責任」を強く、強く意識される発言でした。小生などいい加減ですから心配になります。「もっと楽に、楽に」と言いたい 。

    本当に貴方はよくやりましたでいいではないですか。小生の言いたいのは、ここまでの成果を出されたのですから、今後のことについて、私たちが責任を問うようなことは全くいたしません。そんな過度な負担は考えなくても良いですよ・・・・ということです。

    もちろん患者治療あってのiPSというのは、小生もそう思いたいけど、来年、再来年にうまく臨床応用されるとは思っていませんです。うまくいけばラッキーだとは思いますがね。

    山中先生が強く意識していることは、もうひとつあって、それは国によるこれまで通りの強力な支援なのでしょう。250人からの大部隊を引っ張っていかなくてはいけない。しかしこの研究もついにノーベル賞研究となったのですから、国民としては、いくらお金を使われても、全く意に介しません・・と申し上げたい。京都のあの研究施設に毎年1000億円くらい出してもいいと思いますし、そしてこれは大事なことなのですが、もし実を結ばなかったとしても、何も文句はいいません。

    言わせませんと、少なくとも私たちが、誓いをたてようではありませんか。

    少なくとも小生は一切文句言いません。だって、もうすでに十分な夢は見せてもらいましたから。


    面白いことに、山中さんは人生の絶頂期に達する前にノーベル賞を受賞しました。まだまだやりたいことはいくらでもありそうです。当然ですが自分のやりたいようにやってくださって、結構。山中ファクターの延長線上に山中教授以外の誰かが臨床応用で花を咲かせたら、それはそれでいいではないか。もちろん、山中さんにもご自分が先頭を切るという野心は当然あることと思いますが・・・。

    野心結構。我儘も結構。お好きなようにおやりくだされ。好き勝手したところで、どれだけ道を間違われるか、そう道を外すとは思えないですよね。

    「えへへへ、ダメだったよ」といってこっそり引退されてよいですわ。ですから、あまり負担に思わないでくだされといいたい。

    それくらい鷹揚にやってよい資格を今度のノーベル賞で手に入れられたと思います。今回の受賞で各界のコメントのなかで、一番心に響いたのは利根川進先生のコメントでした。まあ、小生と同じようなことをおっしゃっているわけです。

    山中先生が最も働きやすい環境はなんでしょう?  やはり「静かさ」ではないでしょうかね。それと「まあ好きにおやりください・・という免罪符?」

    そう強く思います。




    2012年10月5日金曜日

    西欧では術死(60日以内の在院死)は4%というランセット論文

    ランセットに外科手術に関連するいくつかの論文が載っており興味深い。すぐ下の論文は手術が現在では確かに安全になってきたことを明らかにしたものであり、ほっとする。
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    周術期死亡、特に先進国で大幅減

    2012年09月25日 Lancet 

    文献:Bainbridge D et al.Perioperative and anaesthetic-related mortality in developed and developing countries: a systematic review and meta-analysis.Lancet 2012;380:1075-1081.
     先進国と途上国における手術関連死亡リスクを87試験のシステマ ティックレビューおよびメタ解析で評価。全身麻酔100万件に対する死亡は、1970年代以前の周術期1万603件・麻酔関連357件、 1990-2000年代1176件・34件と過去50年間で大幅に低下した。どちらの死亡リスクも人間開発指数(HDI)と有意に関連した。
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    ではいったい手術ではどれくらいの患者が亡くなっているのだろう?にわかには答えられない。ホスピタル・ボリュームによって随分変わってくるとは思うが、自分の環境ではもう術死など経験することはなくなってしまった。それくらいの規模だと言えばそれまでのこと。もう一度問う。今の日本で術死ってどれくらいあるんだろう? 4択問題だな

    □1 1%  100人に一人以下
    □2 2%  50人に一人くらい
    □3 3%  30人に一人くらい
    □4 4%  25人に一人くらい

    このようなことを日本で調べようと思ってもデータはなさそうである。ヨーロッパでもこれまではそうなかったそうなんだけど、今回そんな研究が一つ公表された。どんな研究なんだろう?

    1)ヨーロッパの28カ国の498病院に参加してもらい
    2)昨年4月のある一週間に病院内で手術した患者(心手術は除外したとのこと)をすべて登録。
    3)その全員を最長で60日間フォローアップして、在院死をカウントしたのだそうだ。

    とてもシンプルな研究だ。

    結果この7日間で46539人が手術を受け、1855人(4%)が死亡退院している。
    国によって在院死亡率は極端に違うのだった。1.2%のアイスランドから21.5%のラトビアまでだ。
    主立った国の 在院死亡率(術後60日以内の院内死亡で定義)
    ドイツ     2.5%
    イギリス    3.6%
    フランス    3.2%
    スウェーデン  1.8%    
    主立った国では2-3%という値であるが、これは予想よりも高値であるというのが見解であった。

    小生も「これは高いな!」というのが印象であり実感なのだが、では翻って日本のデータはどうであろうか?
    日本に同様のデータがあれば知りたいものだ。それがないと、比較評論できない。

    先ほどの4択問題であるが、日本では□1 1%  100人に一人以下とお答えしたいところであるが、さてさて・・・。
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    The Lancet, Volume 380, Issue 9847, Pages 1059 - 1065, 22 September 2012 
    Mortality after surgery in Europe: a 7 day cohort study
    Dr Rupert M Pearse MD a Corresponding AuthorEmail Address, Prof Rui P Moreno PhD b, Prof Peter Bauer PhD c, Prof Paolo Pelosi PhD e, Prof Philipp Metnitz PhD d, Prof Claudia Spies PhD f, Prof Benoit Vallet PhD g, Prof Jean-Louis Vincent PhD h, Prof Andreas Hoeft PhD i, Andrew Rhodes FRCP j k, for the European Surgical Outcomes Study (EuSOS) group for the Trials groups of the European Society of Intensive Care Medicine and the European Society of Anaesthesiology

    Summary

    Background

    Clinical outcomes after major surgery are poorly described at the national level. Evidence of heterogeneity between hospitals and health-care systems suggests potential to improve care for patients but this potential remains unconfirmed. The European Surgical Outcomes Study was an international study designed to assess outcomes after non-cardiac surgery in Europe.

    Methods

    We did this 7 day cohort study between April 4 and April 11, 2011. We collected data describing consecutive patients aged 16 years and older undergoing inpatient non-cardiac surgery in 498 hospitals across 28 European nations. Patients were followed up for a maximum of 60 days. The primary endpoint was in-hospital mortality. Secondary outcome measures were duration of hospital stay and admission to critical care. We used χ2 and Fisher's exact tests to compare categorical variables and the t test or the Mann-Whitney U test to compare continuous variables. Significance was set at p<0 adjust="adjust" between="between" constructed="constructed" countries.="countries." differences="differences" div="div" for="for" in="in" logistic="logistic" models="models" mortality="mortality" multilevel="multilevel" rates="rates" regression="regression" the="the" to="to" we="we">

    Findings

    We included 46 539 patients, of whom 1855 (4%) died before hospital discharge. 3599 (8%) patients were admitted to critical care after surgery with a median length of stay of 1·2 days (IQR 0·9—3·6). 1358 (73%) patients who died were not admitted to critical care at any stage after surgery. Crude mortality rates varied widely between countries (from 1·2% [95% CI 0·0—3·0] for Iceland to 21·5% [16·9—26·2] for Latvia). After adjustment for confounding variables, important differences remained between countries when compared with the UK, the country with the largest dataset (OR range from 0·44 [95% CI 0·19—1·05; p=0·06] for Finland to 6·92 [2·37—20·27; p=0·0004] for Poland).

    Interpretation

    The mortality rate for patients undergoing inpatient non-cardiac surgery was higher than anticipated. Variations in mortality between countries suggest the need for national and international strategies to improve care for this group of patients.

    Funding

    European Society of Intensive Care Medicine, European Society of Anaesthesiology.


    2012年10月3日水曜日

    最近の「癌のゲノム統合解析」の主たる論文リスト

    この3年nature誌に発表された「癌のゲノム統合解析」の”主な”ものである。すべてを把握している訳ではないが、主だったものをリストした。小生の印象では、これらの発表舞台は圧倒的にnatureが多かった。あとはscienceにいくつかとcellファミリーにいくつかあるようだ(後日まとめてみよう)。こうやってまとめてみると、nature geneticsの存在がゲノム変異解析では薄くなってきている気がする。相変わらずGWASはnature geneticsの独擅場のようだが、正直GWASへの興味が小生薄れていた。まあ今後はENCODEの結果との統合で再度SNPsが注目を浴びるようになるかもしれない。そこが楽しみではある。

    1.
    Cancer Genome Atlas Research Network, Hammerman PS, Hayes DN, Wilkerson MD, Schultz N, Bose R, Chu A, Collisson EA, Cope L, Creighton CJ, Getz G, Herman JG, Johnson BE, Kucherlapati R, Ladanyi M, Maher CA, Robertson G, Sander C, Shen R, Sinha R, Sivachenko A, Thomas RK, Travis WD, Tsao MS, Weinstein JN, Wigle DA, Baylin SB, Govindan R, Meyerson M.
    Nature. 2012 Sep 27;489(7417):519-25.

    2.
    The Cancer Genome Atlas NetworkNature. 2012 Sep 23. doi: 10.1038/nature11412. [Epub ahead of print]
    3.
    Grasso CS, Wu YM, Robinson DR, Cao X, Dhanasekaran SM, Khan AP, Quist MJ, Jing X, Lonigro RJ, Brenner JC, Asangani IA, Ateeq B, Chun SY, Siddiqui J, Sam L, Anstett M, Mehra R, Prensner JR, Palanisamy N, Ryslik GA, Vandin F, Raphael BJ, Kunju LP, Rhodes DR, Pienta KJ, Chinnaiyan AM, Tomlins SA.
    Nature. 2012 Jul 12;487(7406):239-43.
    4.
    Stephens PJ, Tarpey PS, Davies H, Van Loo P, Greenman C, Wedge DC, Nik-Zainal S, Martin S, Varela I, Bignell GR, Yates LR, Papaemmanuil E, Beare D, Butler A, Cheverton A, Gamble J, Hinton J, Jia M, Jayakumar A, Jones D, Latimer C, Lau KW, McLaren S, McBride DJ, Menzies A, Mudie L, Raine K, Rad R, Chapman MS, Teague J, Easton D, Langerød A; Oslo Breast Cancer Consortium (OSBREAC), Lee MT, Shen CY, Tee BT, Huimin BW, Broeks A, Vargas AC, Turashvili G, Martens J, Fatima A, Miron P, Chin SF, Thomas G, Boyault S, Mariani O, Lakhani SR, van de Vijver M, van 't Veer L, Foekens J, Desmedt C, Sotiriou C, Tutt A, Caldas C, Reis-Filho JS, Aparicio SA, Salomon AV, Børresen-Dale AL, Richardson AL, Campbell PJ, Futreal PA, Stratton MR.
    Nature. 2012 May 16;486(7403):400-4.

    5
    Gray J, Druker B.
    Nature. 2012 Jun 20;486(7403):328-9.

    6.
    Curtis C, Shah SP, Chin SF, Turashvili G, Rueda OM, Dunning MJ, Speed D, Lynch AG, Samarajiwa S, Yuan Y, Gräf S, Ha G, Haffari G, Bashashati A, Russell R, McKinney S; METABRIC Group, Langerød A, Green A, Provenzano E, Wishart G, Pinder S, Watson P, Markowetz F, Murphy L, Ellis I, Purushotham A, Børresen-Dale AL, Brenton JD, Tavaré S, Caldas C, Aparicio S.
    Nature. 2012 Apr 18;486(7403):346-52.

    7.
    Goodarzi H, Najafabadi HS, Oikonomou P, Greco TM, Fish L, Salavati R, Cristea IM, Tavazoie S.
    Nature. 2012 Apr 8;485(7397):264-8.

    8.
    Hsieh AC, Liu Y, Edlind MP, Ingolia NT, Janes MR, Sher A, Shi EY, Stumpf CR, Christensen C, Bonham MJ, Wang S, Ren P, Martin M, Jessen K, Feldman ME, Weissman JS, Shokat KM, Rommel C, Ruggero D.
    Nature. 2012 Feb 22;485(7396):55-61.
    9.
    Molenaar JJ, Koster J, Zwijnenburg DA, van Sluis P, Valentijn LJ, van der Ploeg I, Hamdi M, van Nes J, Westerman BA, van Arkel J, Ebus ME, Haneveld F, Lakeman A, Schild L, Molenaar P, Stroeken P, van Noesel MM, Ora I, Santo EE, Caron HN, Westerhout EM, Versteeg R.
    Nature. 2012 Feb 22;483(7391):589-93.

    10.
    Hayden EC.
    Nature. 2012 Feb 15;482(7385):288.

    11.
    Campbell PJ, Yachida S, Mudie LJ, Stephens PJ, Pleasance ED, Stebbings LA, Morsberger LA, Latimer C, McLaren S, Lin ML, McBride DJ, Varela I, Nik-Zainal SA, Leroy C, Jia M, Menzies A, Butler AP, Teague JW, Griffin CA, Burton J, Swerdlow H, Quail MA, Stratton MR, Iacobuzio-Donahue C, Futreal PA.
    Nature. 2010 Oct 28;467(7319):1109-13.

    12.
    Beroukhim R, Mermel CH, Porter D, Wei G, Raychaudhuri S, Donovan J, Barretina J, Boehm JS, Dobson J, Urashima M, Mc Henry KT, Pinchback RM, Ligon AH, Cho YJ, Haery L, Greulich H, Reich M, Winckler W, Lawrence MS, Weir BA, Tanaka KE, Chiang DY, Bass AJ, Loo A, Hoffman C, Prensner J, Liefeld T, Gao Q, Yecies D, Signoretti S, Maher E, Kaye FJ, Sasaki H, Tepper JE, Fletcher JA, Tabernero J, Baselga J, Tsao MS, Demichelis F, Rubin MA, Janne PA, Daly MJ, Nucera C, Levine RL, Ebert BL, Gabriel S, Rustgi AK, Antonescu CR, Ladanyi M, Letai A, Garraway LA, Loda M, Beer DG, True LD, Okamoto A, Pomeroy SL, Singer S, Golub TR, Lander ES, Getz G, Sellers WR, Meyerson M.
    Nature. 2010 Feb 18;463(7283):899-905.