2008年1月29日火曜日

免疫抑制剤不要の腎移植

HLA-Mismatched Renal Transplantation without Maintenance Immunosuppression
NEJM  Volume 358:353-361 January 24, 2008 Number 4
新しい腎移植のプロトコールなのであろう。ハプロタイプの一つがミスマッチである。腎移植と共にドナーの骨髄を移植している。周術期の免疫抑制は行っているがその後は抑制無しである。MGHから報告された5症例の詳細を見ていこう。

  • Case1:22才女性。アルポート症候群。12才時に父より腎移植。パピローマ感染により抑制剤が使えなくなるとともに移植腎拒絶。22才時に母より腎・骨髄移植。シクロスポリンは移植後240日に中止。1135日まで腎機能良好。

  • Case2:22才男性。膜性増殖性腎炎のend stage。母より腎・骨髄移植。422日に免疫抑制中止。4.5年拒絶兆候無く腎機能良好で経過。

  • Case3:39才男性。多嚢胞腎にて腎不全。兄弟より腎・骨髄移植。10日後にC4d deposits 急性拒絶。移植後5ヶ月から透析再開。10ヶ月後に従兄弟から再度腎移植。抑制剤は必要である(この症例は失敗例)

    • の失敗例を機にプロトコールを改変:移植前にリツキサンとプレドニンを2回投与。
  • Case4:25才女性。アルポート症候群による末期腎不全。母より腎・骨髄移植。244日に免疫抑制中止。731日経過。

  • Case5:46才女性。多嚢胞腎にて腎不全。兄弟より腎・骨髄移植。272日に免疫抑制中止。2年以上拒絶兆候無く、腎機能良好で経過。
長期予後が知りたいところであるが、免疫抑制剤いらずともなれば素晴らしい。骨髄のキメリズムが何をもたらすのであろう?身体が二重規範を受け入れるということなのだろう(自分とドナー)。一生続くというのも考えにくいな。なにか破綻がくるような気がするが・・・・・。

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