2008年11月1日土曜日

ワルター・ギーゼキング

ベネディッティ・ミケランジェリ

ミシェル・ベロフ

ワルター・ギーゼキング
  • 今日ギーゼキングは、もっぱらモーツァルトドビュッシーラヴェルの伝説的な演奏家として記憶されている(モーツァルトの全集はレコード会社から持ち込まれた企画であった)。作曲者の存命中にラフマニノフの協奏曲の録音にいどんだ、最初のピアニストでもある。
  • ドビュッシーやラヴェルのピアノ曲は、たいてい運指やペダルの指定がなく、これらは演奏者の判断に委ねられている。殊にドビュッシーでは、ともすれ ば曲の見通しが曖昧模糊となりがちである。これに対して、ギーゼキングの演奏は曲の分析力が明晰で、当時のつたないアコースティック録音にもかかわらず、 ニュアンスに富んだ繊細な音色と、多彩な表情の変化に満ちている。その上、演奏技巧に欠点がない。つまり、曲の解釈において迷いが無い。たとえばドビュッ シーの≪前奏曲 第1集≫の<パックの踊り>は、これほどの速さで押し切っているにもかかわらず、まったくテンポやフレージングが乱れない。
  • こうした特長のために、学習者 の模範として使われてきただけでなく、後世のピアニストからは、ドビュッシーやラヴェル演奏の完成者として、到達目標として仰がれたのである。

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