2008年12月1日月曜日

Ogilvie症候群

急性偽性腸閉塞のネオスチグミン治療

テーマ:消化器

急性偽性腸閉塞(急性麻痺性イレウス、Ogilvie症候群)は、手術後や重篤な病態に合併して発生することがある。初期の診断には腹部単純レント ゲンが最も有用で、重症(盲腸の径12cm以上)や保存的治療で軽快しない場合には、大腸内視鏡的ないし外科的な減圧処置が必要。減圧処置が遅れると、盲 腸の虚血を誘発して、14~40%で穿孔をきたし死亡率も40-50%に達すると報告されている(文献1)。

腹部が膨満しておりレントゲンで大腸拡張が認められ、盲腸の径が10cm以上で、保存的治療で24時間以上軽快しない場合、大腸内視鏡などで減圧処 置をする前にネオスチグミンの静脈注射が有効という報告がある(文献2)。ネオスチグミン2mgを3-5分かけて静注。奏功率は91%、効いたかどうか、 あるいは副作用有無の見極めには4時間。腎機能正常であればネオスチグミンの半減期は1時間20分。主な副作用は徐脈・徐脈性不整脈で、その場合は硫酸ア トロピンで対処する。

ネオスチグミンは抗コリンエステラーゼ薬で、安価(ワゴスチグミン注2mg:¥277)。β遮断薬使用中や、RMIの症例では禁忌(心筋梗塞へのOgilvie症候群の合併が報告されているが)。

  1. 文献1:Vanek VW et al. Acute pseudo-obstruction of the colon (Oglivie's syndrome). An analysis of 400 cases. Dis Colon Rectum 29:203-210, 1986
  2. 文献2:Ponek RJ et al. Neostigmin for the treatment of acute colonic pseudo-obstruction. NEJM 341:137-141, 1999

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