2009年2月8日日曜日

最近の論文より

余り最近論文を読まなくなっている、が、しかし、せめて読んだ論文くらい備忘しておこう。

(1) Transcriptome sequencing to detect gene fusions in cancer

Christopher A. Maher, Chandan Kumar-Sinha, Xuhong Cao, Shanker Kalyana-Sundaram, Bo Han, Xiaojun Jing, Lee Sam, Terrence Barrette, Nallasivam Palanisamy & Arul M. Chinnaiyan

今日の時点でいまだNatureのオンライン。融合遺伝子を包括的に見たもの。高速並列シークエンス(イルミナのやつかな)。発現遺伝子を片っ端からシークエンスして、前半と後半がことなるものを融合遺伝子としてカタログ化したもの。当然発現コピー数に比例して検索されるわけだが、面白いと言えば面白い論文であり、元ゲノム屋としては「何年に一回」の、あるいは「待ち望んでいた」論文である。前立腺癌でっれいのPMRS-ERGが一回しか現れない(発現コピー数が少ないと言うこと)のには驚いた。よく見つかったものであることよ。


(2)腸がんの起源細胞としての陰窩の幹細胞
Crypt stem cells as the cells-of-origin of intestinal cancer
p608

Nick Barker, Rachel A. Ridgway, Johan H. van Es, Marc van de Wetering, Harry Begthel, Maaike van den Born, Esther Danenberg, Alan R. Clarke, Owen J. Sansom & Hans Clevers

先週号のNatureではハンス・クリバースが面白い論文を出している。例のLgr5とApcをノックイン・アウトして腸管幹細胞から腫瘍細胞が供給されていることを系時的に示したもの。もちろんマウスの閉じた世界であるし、いわれる腫瘍が腫瘍かどうか(転移・浸潤するのか??)若干ケチを付けたくなるが、しかし実験系としては見事に完結している。この論文も5年に一度くらいしか現れないものだろう。ところでLgr5は一昨年登場して以来Hans Cleversのところからしか論文がでてこない(に等しい)。誰か別の人間が検証できないものかね。
うちらも後追いしようとしたが、抗体はないし、マウスの系しか実験が進まないし、すぐ行き詰まるのだね。Hans Cleversは出せばNatureだから、凄いものだ。なによりわくわくさせてくれるぜ・・・。

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