2009年4月7日火曜日

遺伝性球状赤血球症による溶血性貧血

昨日深夜から上腹部が痛いという26才の患者を診ていたら、このヒト遺伝性球状赤血球症による溶血性貧血があるんですって。どおりで皮膚が顕性黄疸。総ビリルビン値は18もある。この人の正常値は実は不明。なんせウチの病院は初診だし、前医の最後の診察から早7年も経っている。わからんことだらけ。確実なのは元気で無症状で生活してきたことだけだ。所見はといえば・・・
  1. 巨大な脾臓だ(当たり前か)
  2. 胆石が無数にある・・・中学生のころからあるらしい(当たり前か)
  3. 少量の腹水がある(なんで?)
  4. 肝腫が目立つ
  5. 急性膵炎の像(アミラーゼ>3000)
  6. 総胆管は正常径で石無し
胆石が転げてCBDに詰まり、一過性の膵炎を起こしたのか?それなら絶食数日で良くなるなあ。でもこんなヒトの胆石手術ってトラブルないんだろうな??やらんといかんのだろうね

スペクトリン

赤血球膜の骨格をなす物質(スペクトリン)の欠損が原因で、赤血球が球状(通常は楕円形)になり壊れやすくなります。スペクトリンの欠損の程度によって病気の重症度が異なります。


疫学
  遺伝性
    常染色体優性遺伝(75%)
    常染色体劣性遺伝(25%)
  性差
    ♂:♀=1:1
病因
  原因
    優性遺伝
      β-spectrin欠損(正常の75〜90%の量)・ 軽度の貧血
      ankyrin欠損
      protein 3部分欠損
    劣性遺伝
      α-spectrin欠損(正常の30〜50%の量)・ 重症の貧血
      protein 4.2欠損

  発症機序
    膜のNa透過性↑
      ・ Naのくみ出し↑
        ・ 膜リン脂質交代↑
          ・ 膜脂質の喪失
            ・ 球状赤血球
      ・ 浸透圧抵抗↓
        ・ 膜の安定性↓
    脾臓によるconditioningを受けやすい
      膜がちぎれるなど
        ・ より小さく球状に

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