2009年11月7日土曜日

乳腺症:痛みとタモキシフェン等々

乳房の痛み(メルク・マニュアルより)


乳房の痛み(乳房痛)は多くの女性が経験する症状です。乳房の痛みはホルモンの変化によって生じることもあります。たとえば、月経前症候群の症状として月 経の直前や月経中に痛くなったり、妊娠初期に痛くなることがあります。経口避妊薬の使用や閉経後のホルモン療法も同様の痛みを引き起こします。これは、ホ ルモンの変化によって乳腺組織が増殖するためと考えられています。この痛みは乳房全体にみられ、圧痛(触れると痛むこと)が生じやすくなります。月経周期 に応じて生じる痛みは、数カ月から数年にわたって繰り返すことがあります。

乳腺の嚢胞(のうほう)、炎症、膿瘍(のうよう)なども乳房の痛みの原因となりますが、この場合は普通、乳房の一部 分だけが痛くなります。線維嚢胞性の変化(乳腺症)でも乳房が痛くなることがあります。乳癌によって乳房に痛みが生じることは、一部の例外を除いてまずあ りません。乳房の痛みが1カ月以上続く場合は医師の診察を受けるようにします。

  1. 軽い痛みであれば、普通は治療しなくてもいずれ治まります。

  2. 月経中に生じる乳房痛は多くの場合、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で軽減されます。

  3. 特定のタイプの強い痛みには、ダナゾール(テストステロンに近い合成ホルモン)タモキシフェン(乳癌の治療に使わ れる薬)が処方される場合があります。これらの薬は、乳房に作用するホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの働きを妨げます。これらの薬は長期間使 うと副作用が出るおそれがあるため、通常は短期間に限って使用されます。タモキシフェンはダナゾールに比べて副作用が少ない薬で、主に閉経後の女性に使わ れますが、若い女性でも効果が得られることがあります。

  4. 痛みの原因となっている病気が特定できた場合は、その病気を治療します。たとえば乳腺にできた嚢胞が原因であれば、嚢胞内にたまった液体を排出することで痛みが治まります。

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