2010年5月27日木曜日

ベンターの人工細菌のはなし

ベンターの「人工生命」(括弧付き)について日本国内での反響が余りに小さいのはなぜか?似たような仕事は1997年ころから少しずつ進んでいたし、ベンターの興味が(我々の興味でもあるが・・)「生命を維持し子孫を残すために必要な最小の遺伝子セット」であったことは昔から有名であった。小生がそれに最初に気が付いた論文は

Science. 1999 Dec 10;286(5447):2165-9.

Global transposon mutagenesis and a minimal Mycoplasma genome.

Hutchison CA, Peterson SN, Gill SR, Cline RT, White O, Fraser CM, Smith HO, Venter JC.

The Institute for Genomic Research, 9712 Medical Center Drive, Rockville, MD 20850, USA.


だったと思う。それ以前に・・・・・・

......In a comparison of the first two bacterial genomes sequenced, Mushegian and Koonin (2) projected that the 256 orthologous genes shared by the Gram-negative Haemophilus influenzae and the Gram-positive Mycoplasma genitalium genomes are a close approximation of a minimal gene set for bacterial life. More recently Gil et al. (3) proposed a 206-protein-coding gene core of a minimal bacterial gene set based on analysis of several free-living and endosymbiotic bacterial genomes.

というような文章はあって、200個内外という想定であった。確かにわくわくするような話なのだが、日本では余り興味を持って語られることはなかったように思う。

今回のサイエンスの発表はその延長線上にある研究である。これについて今週号のNatureはかなりの熱を込めて論評している。

Life after the synthetic cell

Nature 465, 422–424
Date published:(27 May 2010)
Published online
26 May 2010

7人の識者に思いを語らせている。生命倫理学者などからはこの報告をもって「生気論の終焉」と論じるものもいてなかなか面白い。

日本でも月刊誌で特集をぜひして欲しい。福岡伸一ならどう語るだろうか?あと毎日新聞の記者の元村さんや団まりな先生のご意見を拝聴したい。
このような話題で最近ご意見番として相応しいヒトの顔が思い浮かばないのが残念だ。大阪大学の四方哲也さんなんかも面白いかもしれない。

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