2010年12月2日木曜日

頸椎症性脊髄症のこと:あれこれ

小生が消化器病を主戦場とし、しかし病院の方針で整形外科リハビリともお付き合いしていることはしばしば述べている。人生の後半になっていきなり整形外科のある種の病気とお付き合いすることになったわけだが、いわば門外漢から眺めた最近の整形外科学はそれなりに興味深い。非専門医ならではの見え方というものがあると思うよ。そいつらをいつかまとめてみたい思っている。

専門ではないから、合併症のオンパレードの患者はお断りであると言いたいところであるが、これがそうはいかない。糖尿病、高血圧、脳血管障害を初めとする様々な病気と長くつきあっている方に限って、折れる、転ぶ、潰れるようである。受け持ちで一番多いのは大腿骨骨折の患者であるが、余病の一つもないヒトは珍しい。それでも大腿骨頚部骨折は比較的先が読める。良くなるヒトが多い。次に多いのは胸椎・腰椎の圧迫骨折である。次々に別の骨を圧迫骨折していくヒトも多いが、まあこの病気も先が読める。この2大疾患(小生にとって)以外の病気は比較的少ない。変形性股関節、膝関節症患者への人工関節置換を時にみるなあ。

そんな中、入院が予定されると「いやだなあ」と思う疾患がある(こんなこと書いていいのかね?)。それは頸椎症性脊髄症と呼ばれる病気である。多くは頸椎の椎弓形成術という手術を受けてくる。これまで5人くらいしかそのリハビリにお付き合いしたことがないのだが、たった5例の経験しかないのだが、これが決まってすっきりしない。しびれ、麻痺が思ったほど軽くなっていないのだ。いくつかあった症状のいくつかは良くなる・・・こともある。リハビリの後半で、しびれが再燃することも多い。下肢と違って、手とくに指の巧緻運動が障害されることが多いのがかわいそうである。お箸を落とすのである。ボタンがかけられないのである。

この病気を調べてもなぜ起こってくるのかよくわからないのだ。正直、小生が一番なりたくない病気の筆頭である。予防法がないのか真剣に調べているのだよ。整形外科を研究する若手の皆さん。頸椎症性脊髄症の予防法をひとつ真正面から研究してくだされ。よろこばれると思うよ、きっと。

2 件のコメント:

  1. こんにちは脳神経外科医です
    頸椎症の手術で椎弓切除では50-60%しかなおりません。
    整形外科医の中には同じ風邪薬でも効く人と効かない人がいるからこんなものだと説明しているひとがいると、きいています。そもそも頸椎症の原因で脊髄を圧迫している場合と脊髄神経根(脊髄から枝分かれして椎間孔からでて上肢に分布する)を椎間孔内で圧迫する場合またその両方の場合があります。多くの大多数の症例で神経根への圧迫が認められています。椎弓切除では椎間孔の減圧はできません。だから治らないのはあたりまえです。ぼくはずっと顕微鏡下の手術で頚椎の前方固定術で椎間孔の完全減圧を行っています。むずかしくないです。99.5%完全に症状は消失しています。腰も同様です。整形外科医は椎弓切除を肉眼で行うことをもう卒業してほしいです。

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  2. 小助川先生

    コメントどうもありがとうございます。あれこれ悩み多いリハビリ介助ですが、貴重なご意見どうもありがとうございました。一度椎弓形成・切除された患者さんに、再度椎間孔減圧手術を追加することは可能なのでしょうか?ご教示頂けますと幸いです。

    いずれにせよ自分が頸椎症になった場合、脳外科にお願いすることも可能だと知りとても気が楽になりました。

    重ね重ねコメントありがとうございました。

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