2010年12月29日水曜日

播種性骨髄癌症:DCBM

先日来診ている前立腺癌の患者殿、貧血(血小板も減少気味)と凝固系異常、さらにはFDPの上昇が認められ、旧来の病態解析からはDICを併発していると言わざる得ない。末梢血に異型細胞はいない。原発巣に比べると骨変化が著しいので骨髄転移からの血液異常だと考えられる。播種性骨髄癌症(たとえば・・・>ここ!)という病態を念頭に置きたい。今はホルモン療法は特別の副作用もなく順調だし、食事も随分食べられるようになっているので、播種性骨髄癌症も注意深く見守るという程度にしよう。

播種性骨髄癌症(Disseminated carcinomatosis of the bone marrow ; DCBM)  DCBMとはすごいね。大陸間弾道弾数発分ありそうな迫力だ。

もうひとつ引用させていただく。47回の癌治療学会の抄録から島根大学の皆さんご寛恕を。

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PS68-08 播種性骨髄癌症で発症した前立腺癌の 2 例
和田 幸弘 1、岸 浩史 1、古家 寛司 1、本田 聡 2 大田市立病院 1、島根大学付属病院泌尿器科 2

播種性骨髄癌症はびまん性の転移浸潤が骨髄に生じ,microangiopathic hemolytic anemia(MHA)やDICにより貧血や出血 傾向を主徴とする病態であるが,今回我々は播種性骨髄癌症を合併した初発前立腺癌の 2 例について報告する.

  1. 症例 1 は 77 歳, 男性.排尿困難,肉眼的血尿が主訴で,血清PSA:14795 ng/mlと高値,MRIで前立腺外腺に内部壊死を伴ったmassを認めるも, 前立腺生検では癌は検出されなかった.骨シンチで全身骨に異常集積を認め,骨髄生検で転移性の腺癌を検出した.MHA や DIC に対して MAP および血小板輸血やメシル酸ガベキサート投与を行い,原疾患に対して MAB 療法およびデキサメサゾン 内服を開始し,骨病変にはゾレドロン酸を投与した.さらに,発熱や頭痛に加えて高ビルルビン血症を認め,神経症状や溶血 性貧血の併発から TTP の合併を疑った.ADAMTS13 活性は 80%より前立腺癌に続発した非定型 TTP と診断した.

  2. 症例 2 は 79歳,男性.主訴は腰部,右股関節痛.血清PSA:11421 ng/mlで骨シンチ上super bone scan像を呈した.前立腺生検でGS: 5+4=9 の低分化前立腺癌を同定し,骨髄生検で PSA 陽性の腺癌を認めた.MHA に対して MAP 輸血を行い,MAB 療法およ びデキサメサゾン,ゾレドロン酸投与を開始した.症例 1 は治療開始 2 ヶ月でホルモン抵抗性となったが,症例 1,2 共に集学 的治療の結果 MHA などの症状は軽快している.
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