2011年6月29日水曜日

1956年頃の癌の生存率:NEJM1956年6月7日号より

NEJMのアーカイブを眺めていて、昔の癌の5年生存率を調べてみようという気になった。1956年発表のこのコネティカットの16年間の調査(1933年に始まる総計75494例)は調査スケールとしては小さなものではないので、あるレベル信頼できると考える。

現在の私たちが参考にしているがんのデータ・・・・今発行されている教科書や学会で先生方が発表されているデータ・・・・・と似たデータなのだと思うがこれらと比較検証するのも悪くはない。

わかりやすい表として1935-1940年,1941-1946年、1947-1951年の5年間づつの比較(診断を受けてから5年間の生存率:5年生存率)を見てみよう。

乳癌:     41→46%
大腸癌:    12→30%
胃癌:     4→5 or 7%   
肺癌:     0→3 or 8%

この頃は皮膚・表面に近いほど予後が良いのだろう。骨、軟部、皮膚腫瘍とならんで乳癌が比較すれば良い成績だ。一方上部消化管は(米国だということもあるが)惨憺たる成績である。大腸癌が30%というのはやはり惨憺たるというべきか。肺はこれは今の成績を考えてもこんなものであろう。
  































この論文のサマリーを訳してみよう。


『コネチカット癌登録センターは1935年から1951年にかけて総計75494例の癌患者情報を収集した。予後調査の結果いくつかの癌腫では生存率の改善が認められる。5年生存率が目まぐるしく向上したのは大腸癌、直腸癌、子宮頸癌、子宮体癌、前立腺癌そして内分泌癌であった。早期発見および現時点で使える医療技術をいかに有効に活用するかが5年生存率を向上させる2大要因である。技術の向上により近年目を見張る効果を上げてきた。生存率を向上させるためにはさらに優れた診断方法と治療手段のための研究が欠かせない。』

2011年の今頃の論文の締めくくりとそうは変わらないのだよね。

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