2013年6月23日日曜日

ウナギで黄疸を診断するの巻(Cell):ウナGというのだ。

土用ウナギの季節が近づいた。去年あたりからウナギは高騰を続けている。とても面白い研究がウナギからでた。ウナGというのだ。

理研の研究者、熊谷 安希子 (くまがい あきこ)さんはビリルビンと混ぜると直ちに蛍光発色する発色物質をニホンウナギから単離し、これをUnaGと名付け最新号セル誌に発表した。これがセルに相応しい論文である理由を推測するに

  1. 複雑で煩雑なビリルビン定量法を一新しそうだということ。特異性が極めて高く、反応は一瞬だという。混ぜるだけなのだそうだ。UnaGは大腸菌で人工合成するが、出来たUnaG(HoloUnaGという)は乾燥物でも極めて安定であり、筆者らいわく、アフリカ奥地で新生児黄疸の診断に役に立つという。これはいい。大学研修医のころ血ガスや一般採血は結果が直ぐ出るので自分で器械を操作していたが、ビリルビン緊急測定は時間がかかるのでいやだった。今の職場でもビリルビンだけは時間がかかる。

  2. もともとウナギの筋肉が蛍光発色することは2009年に鹿児島大学の林征一教授が見出していたとのことだ。熊谷さんらはこれに注目し、この物資をニホンウナギ5匹から単離した。クローニングした遺伝子を大腸菌にいれても発色しないがほ乳類細胞に入れると発色する。ほ乳離特異的なリガンドがあるはずだと。それがビリルビンだった。

  3.  ビリルビン特異性が極めて高く、血漿中のアルブミン濃度に影響を受けないとのこと。これはいい。

     
  4. この物質UnaGと名付けられた。理研のホームページはユナGと発音記号が載ってるが、国内ではウナGでしょうな、これはいいね、このネーミング。
Cell, Volume 153, Issue 7, 1602-1611, 13 June 2013

A Bilirubin-Inducible Fluorescent Protein from Eel Muscle 

Akiko Kumagai, Ryoko Ando, Hideyuki Miyatake, Peter Greimel, Toshihide Kobayashi, Yoshio Hirabayashi, Tomomi Shimogori, Atsushi Miyawaki

Cell Function Dynamics, Brain Science Institute, RIKEN, 2-1 Hirosawa, Wako-city, Saitama 351-0198, Japan


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