2014年3月14日金曜日

2N chimeraの謎

小保方さんの実験に関しては様々な疑義と幅広い意見が広がっている。「小保方さん頑張って」というノートを書いた翌日に理研のプロトコールが発表されSTAP  stem cellにはTCRの再構成がなかったこと(8クローン中8クローン)が公表された。見た瞬間「脱力した」というのが正直なところであるが、いろんなご意見をネットで拝見していくうちに、「脱力した」ことが正しかったのかわからなくなる。

小生はあくまで STAP細胞というものが存在する可能性があると(今に至るも)考えている。

確かに論文構成は言われるとおりなら、こんなにひどいものはない。本日の理研の説明ではTcellの由来は脾臓ではなく骨髄なのだそうだ。これなら学位論文骨髄由来の写真が流用されたと広く報道されたのもfakeではなくなる。なくなるが、余りに杜撰なnature論文である。このように小保方さん論文にはかなりの「いらだち」を感じ始めている今日この頃なのだが、それでも彼女が見つけたという現象には惹かれ続けている。

1)初期のSTAP細胞の中には確かにT-cell由来のものが存在する可能性はいまだに否定されていないのではないだろうか?
2)”STAP  stem cell”に育ちあがるクローンはT-cell由来ではなかった。これは正しいのかもしれない。TCR再構成が認められないのだから。
3) STAP細胞のソースは何なのだろう?
  1. 分化したT細胞か?
  2. T細胞以外の分化細胞か?
  3. 間質に混じる未分化細胞か?
  4. あるいは様々な背景(もちろんここにはfakeもあるわけだが)から混入したES細胞か?

この二週間くらい事態の推移を見ていて、これはやはり混入した未分化細胞を拾っているなと思い始めていた。世の中にはSTAPがES細胞の混入という説明もある。しかし若山先生が説明されたように、
  1. ESなら酵素処理して単細胞にして胚盤胞に入れてもマウスに育ちあがるが
  2. この「STAP細胞」は細胞塊を酵素処理するとうまく育たない、microdissectionが必要である
  3. 若山先生にとっても 「STAP細胞」が「ES」 である可能性と戦いながらの実験であったはず 
 以上の説明からESではないのではないかと思う。

ところで本日の理研の発表資料の中には「さらなる謎」が含まれていた。

二枚の写真であり、Fig 1i のゲノムPCRの原図である。lane3は世評どおり切り貼りであった。拡大したり加工もされているようだが、これは許容範囲であろう(本当はダメよ!よい子の皆さんは真似しちゃダメです)。小生が興味をもったのは二枚目の写真の右側にある 2N chimera(CD45  STAP cell)というレーンである。再構成しているのである。しかも通常のラダーよりも数が少ない(??)。これはいったいなんのDNAなのですか?マウスのDNAではないの??



こんな悩ましいデータを晒されたら、また混乱してしまう。でもね、これから類推するに、主任実験者たちはマウスのゲノム解析もしっかりやっているのではないかしら。論文が発表された瞬間から世間が望んでいたマウスのゲノム解析である。

存在するならデータを出してくださいな。

追記:その後貴重なコメントを頂きました。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...
いつも勉強させてもらってます。
Articleのmethodには以下の記述があってchimera mouseの解析をやっていると書いてあるのですが、なぜかその結果を示すデータも記述もありません。

TCR-β chain gene rearrangement analysis
Genomic DNA was extracted from STAP cells and tail tips from chimaeric mice generated with STAP cells derived from CD45+ cells. PCR was
performed with 50 ng DNA using the following primers,,,





















この電気泳動で示されているのがもし2N chimeraの解析結果だとすると、なぜ著者たちはこのデータを論文に使わなかったのでしょうか?謎ですね。

Epistasis さんのコメント...

コメントありがとうございました。

早速論文を見直してみましたが、仰せの通り書いてありますね。

これには驚いた。確かにキメラマウスのtailのDNAのようですね。

なぜ使わなかったのでしょう?

自分たちの実験の正当性を担保する強力で貴重なデータであったかもしれないのに、もう少しこだわれよ、といいたい。

それとも2Nキメラマウス組織にもある割合で血球細胞(非STAP由来のT-cell)が混じっているはずだけど、これをPCRで拾ったと解釈せざるを得なかったのかな。

Material & methodで述べておきながら、結果データは載せていないというのもひどい話ですね。


2 件のコメント:

  1. いつも勉強させてもらってます。
    Articleのmethodには以下の記述があってchimera mouseの解析をやっていると書いてあるのですが、なぜかその結果を示すデータも記述もありません。

    TCR-β chain gene rearrangement analysis
    Genomic DNA was extracted from STAP cells and tail tips from chimaeric mice generated with STAP cells derived from CD45+ cells. PCR was
    performed with 50 ng DNA using the following primers,,,

    この電気泳動で示されているのがもし2N chimeraの解析結果だとすると、なぜ著者たちはこのデータを論文に使わなかったのでしょうか?謎ですね。

    返信削除
  2. コメントありがとうございました。

    早速論文を見直してみましたが、仰せの通り書いてありますね。

    これには驚いた。確かにキメラマウスのtailのDNAのようですね。

    なぜ使わなかったのでしょう?

    2Nキメラマウス組織にもある割合で血球細胞(非STAP由来のT-cell)が混じっているはずだけど、これを拾ったと解釈せざるを得なかったのかな。

    しかしながらそれでも自分たちの実験の正当性を担保する貴重なデータになるはずだったのに、もう少しこだわれよ、といいたい。

    methodで述べて、結果データは載せていないというのもひどい話ですね。

    返信削除