2014年6月19日木曜日

最近の外来患者から:「上腕二頭筋断裂」等々

手術が対象となる外科消化器癌の方々は話題にするようなノートするようなことは余りないが、外科周辺外来では今日もいろんな病気の方々が現れる。

1)リンパ管腫3例目の方現れる。

先週の金曜日に78歳の元気なおばあちゃんが「足が腫れたので診て」とやってこられた。右足の甲から足関節にかけて50 mm x 45 mmの皮下腫瘍がある。2週間前に気が付いたのよとおっしゃる。皮膚変化は一切ない。触診上、辺縁は比較的はっきりしている。表面はやや粗大な感じ。硬度であるが「柔らかくはない」。かといって硬くもない。「握雪感」に近いようなやや硬い感じである。自発痛も圧痛もない。直感では「リンパ管腫」か「脂肪腫」である。エコーをしてみたが嚢胞状である。しかし多房性でもある。そこで刺してみたが例によって25mm程度の黄色淡明なリンパ液が引けた。そして皮下腫瘍はほとんど消失した。
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           2012年4月3日火曜日


            リンパ管腫二例目は鼠径部腫瘤だった。 

  •   めったに見ることのない病気が立て続けにくることがある。小生の場合最近ではBaker嚢胞がそうであった。他にも調べればいくつかはあるだろう。鼠径部腫瘤の中年女性がやって来たのは、先の頸部腫瘤の方の翌日であった。 
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例によって「ばあさん、また腫れてくるかもしれないな」といって5日後の今日、また腫らして外来に現れた。今回はやや硬い部分が触知されるのが気になるので、MRIを撮ることにした。下方への浸潤がなければ切除も考えたい。あるいはピシバニール療法をまたやりたい。このピシバニール療法であるが例の東京女子医大の頚部リンパ管腫の子供への治療で話題になった療法である。いやあの女子医大ではピシバニールというよりは麻酔のプロポフォールが話題になったのですな。

小生の世代は「静脈麻酔」に対して極度に恐怖感があった世代である。その前の世代が「静脈麻酔」で苦労してきたからだ。事故も多かったと聞いている。それゆえ外来で「静脈麻酔」をすることなどかつてはあり得なかった。

ところがだね、最近はカメラの際に「静脈麻酔」をどんどんやるようになったので抵抗感が全くなくなってしまった。当初は「セルシン」そのうち「ミタゾラム」今では「プロポフォール」である。今の職場では本当に「プロポフォール」をよく使う。そして小生も自分がカメラを受ける時には「プロポフォール」を経験した。これまで2回静注されたが、寝起きはセルシンやミタゾラムよりも良いと思う。だけど、本音をいえば自分で使うとすれば、外来での「静脈麻酔」には相当神経を使う。造影剤の静注以上に神経を使います。

さて「プロポフォール」、添付文書によればICUなどの子供に投与は禁忌であるとのことだが、女子医大で使われていたとしたらどういう事情があったのだろう。鎮静の方法は他にいくらでもあろうに・・・・。

2)27歳女子:肛門皮膚腫瘍

20歳台の女子の皮膚腫瘍に縁がある今日この頃である。今回の腫瘍は肛門から3cm離れた会陰部方向であり、皮膚から10mm位、角(つの)のように急峻に立ち上がる腫瘍である。 触ると気になるのも無理はない「できもの」である。更に先端が「びらん」を起こしている。場所が場所だけに切除しにくいのだが、最低量の局麻で、円刃の一番小さなメスで最小限に切り込んで、4-0で一針掛けて終わらせた。その病理がアポクリン嚢胞腺腫という腫瘍であった。もちろん悪性所見はないのだが、不思議な腫瘍に最近縁がある。

3)43歳男子:上腕二頭筋断裂

先日写真を上梓した御仁である。MRIの結果を待って整形外科に診てもらったが、やはり「上腕二頭筋断裂」のようである。治療は放置である。痛みもなにもないのである、この方。力が入らないだろうと心配するのだが、実質20%程度の筋力低下で納まるらしい、「二頭筋には長頭と短頭がある」そんなことを忘れていた。このうち長頭の腱が断裂している模様。短頭がついていれば良いらしい。老人では老化とともに切れることがよくあるという。小生この商売を初めて結構長いが、自分や身の回りで「上腕二頭筋断裂」を診たことがこれまでないのだ。ありふれた病態とはいえないと思うがどうだろう。整形外科の先生方に尋ねてみたいものである。なお英語でこの病態をBiceps RuptureあるいはTearという。

4)55歳男子:前腕の石灰化上皮腫

リハビリ病棟を回診していたら「せんせ、これ取ってくれない」と50台男子に声を掛けられた。診ると左前腕の皮下に長径10cm、幅3cm程度の皮下腫瘤を認めるのだった。かなり大きな腫瘤であるが、表面がごつごつとしており、特徴的なのはこれがおそろしく硬いのである。ほとんど骨である。そして可動性が良好である。前後左右、自在に動かせる。強いてたとえて言えば「かにの足」 がそのまんま皮下に埋もれているような感じである。切除は極めて容易であった。メッツェンバウム(はさみのことです)で切るというよりはずしていくだけ。出血などほとんどない。切除後に割を入れたが、これは失敗した。糸切りはさみを使ったのだが、刃こぼれしそうなほど硬い。で病理に出した結果が「石灰化上皮腫」であった。英語ではPilomatricomaあるいはCalcifying Epitheliomaという。 子供や若年層に多く、好発部位は頭頸部。女性にやや多い。

5)67歳男子:右腎血管筋脂肪腫のその後

二年前くらいに整形疾患で入院させた患者に腎の大きなAngiomyolipomaが見つかってエベロリムスが使えるかどうかという話題をノートしたが、先週病院の帰りに寄ったコンビニでその患者殿に出会った。元気であった。「腎臓はお元気ですか?」と聞くと笑いながら「半年に一回エコーで診てもらっていますが、あまり大きくならないのです。」といわれる。「大きくなる場合は血管に詰め物をすると言われています」とのことだ。

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  2012年12月29日土曜日


13cmの腎血管筋脂肪腫とエベロリムス

  今入院中の患者に偶然13cmの腎血管筋脂肪腫があることがわかった。
  このときのレポートに興味深い臨床研究を引用してある。
  •  本当に有意義な臨床研究とはかくのごときものである。健診で発見された腎血管筋脂肪腫 (AML) の追跡
  • エコーでみつかるAMLは増大することがほとんどないという観察である。
  • 優れて臨床的実感を反映しているのではないか?たとえは悪いが「乳癌マンモ検診」のある部分に通じるような話である。
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