2014年12月28日日曜日

心筋梗塞はこわい、大動脈瘤もこわいぞ〜。

年末が近づいている。ますます外来が混んでくる。昨日の外来もお腹が痛い、頭を打った、切った、血が出た・・・と多くの患者さんがやってきた。

そんな患者さんたちの中にAさんが紛れ込んでいた。Aさんは当院は初診で問診票には「のむと胸が苦しい」と書いてある。56歳でバスの運転手。

「昨晩は久しぶりに娘夫婦と飲みまして、ビールを10缶くらいとブランデーを5杯くらい・・・」「眠っていたら夜中の1時頃から吐きたいような、吐けないような・・上腹部が痛くて、水を飲むときつい」とのこと。理学的には季肋部に圧痛がある。過去歴に胃潰瘍があるとのこと。高血圧・糖尿病などはない。常用薬はない。

いつもなら直ぐに内視鏡に案内するところだけど、なんか気になって心電図を撮ってみたところST上昇が僅かにあり、技師が「これcoronary Qではありませんか?」といやなことを言う。直ぐに緊急採血をしたところトロポニンが陽性である。小生たまたま反応を見ていたが4分で強陽性のバンド。

患者はといえば外来の椅子の上で文庫本を読んでいる。こちらの脇の下を冷たい汗が・・・。急いで救急室に運び、簡単に説明した後、酸素を始め、ルートを取ったころ残りの採血が出てくるがAST/ALTが3桁、 CPKは4桁であった。

PCIができる最寄りの病院に救急車で急いで搬送してもらった。長距離バスの運転手さんだというこの患者殿、これを機会に運転止めることを強くお薦めする。今回1人助けた(助かったと思う)が、後日30人のお客の生命が危険に晒されることにでもなれば浮かばれない。

今月は冷えることが多い。

月初めには44歳の腹部大動脈瘤の切迫破裂がやってきた。血管外科に送ったところその日のうちに手術をしてもらったが、開腹時には後腹膜にはかなりの血腫ができていたという。開腹の上グラフト置換であったが、幸い腎下部であり一週間後には退院して、再度当院に現れた。わたしゃ、幽霊をみたような気がしたが、とりあえず一安心である。血管外科には多謝。多謝である。ちなみにこの患者の主訴は「嘔気・嘔吐」であった。CT撮ってよかったという一例であった。臨床はスリリングである。

外来があと二日あるが、つつがなく大晦日を迎えられますように・・・アーメン!

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