2018年5月8日火曜日

帯状疱疹にだまされた2例

ボクが外来をやっていて「しまった!」と思うことは滅多にないが、それでも時に同じ失策を繰り返す。反省を込めて掲載する。

先週の月曜日に外来にきた56歳男子の主訴は右側腹部痛であった。過去歴に右尿管結石があること、大酒家であり軽度の肝機能障害があることが背景だ。エコーでみるとかなりの脂肪肝がある。右腎結石があるが腎盂拡張はない。CTでは右尿管の最後(膀胱への入口部直前)に石灰化(石?)があるが尿管拡張はない。検尿では潜血は(±)である。「尿管結石」であったのだろうが、なんかすっきりしない。現に今も痛がっている。検査結果と現症がやや乖離気味なのだ。ロキソニンを渡して様子見で帰宅された。

その56歳男子が昨日再度来院した。痛みが尋常でない、夜も寝られなくなった。ビリビリ、バリバリする。そして「昨日からこんなものが出てきた。」と上着をまくろうとする。

小生の内心「えっ、帯状疱疹なの!!」とまくれる前からおののいている。

そうなのだ。そこには一週間前にはなかった新鮮な疱疹の集簇が二箇所認められる。

思わず「帯状疱疹だったんですね」とつぶやいてしまうワタシ。

痛みの出現から9日目にやっとでてきた疱疹。

腹痛、尿閉、心筋梗塞・・・なんにでも絡んでくる帯状疱疹。わかってはいるけれど、まれに見逃すんだよね。10年で二例目ですかな(見逃しがはっきりと意識できる症例としては・・だ)
この間150例以上を帯状疱疹で入院させているから二例はやはり少ないのだが不徳のいたすところだ。甘いのだ判断が。あとから考えると痛みの性状がやはり違うのだ。

こんなのがあったよな〜、と過去掲載noteを検索すると2012年にあった。ありました。

2012年2月3日金曜日


帯状疱疹にだまされた一例。小生は帯状疱疹に縁が深いので、帯状疱疹を見落すことだけは避けたいと思っているが、2週間前のAさんには参った。臀部・大腿部痛があるため近くの整形外科に行き、通常の検査では整形外科的疾患ではないといわれ紹介受診した45歳女性患者である。来院時の主訴は右下腹部痛と臀部・大腿部痛であり、ちと不思議なことを言う。「おしっこをすると、恥骨の右側がひどく痛むのです」理学的所見に見るべきものはない。2日にわけていろいろ調べ、最終的にはCT まで撮ったが子宮筋腫以外異常ない。こまったなあ。その翌日外来に電話があった。「実は今日になってお尻の横に湿疹ができているのに気がついた。皮膚科に行ったところ典型的な帯状疱疹だったので、前のお医者さんたちに連絡しておいてくださいといわれた」という。
女性の臀部やその前方などなかなか診察するものではないのである、が、やはり診ておかなくてはいけないなあと思った次第である。この人その次の日わざわざ小生に
帯状疱疹診せに来てくれた。まぎれもないそれであった。いかんなあ。いかん、いかん。

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