2018年10月2日火曜日
本庶佑先生のノーベル賞への感慨
本庶佑先生がノーベル賞を受けられた。感慨深いものがあります。これで日本の生理学・医学賞は5名になったが、小生がその研究に馴染み深い方が受賞されたことは実はあまり多くなく、大村先生や大隅先生は直近になるまで知らなかったし、山中先生の例のCellはリアルタイムで知っていたがなんせあのセルから受賞までが極めて短期間であったからまざに疾風のようにあらわれて・・・だった。
やはり利根川先生が感慨深い。すごい研究だと思ったし今でも超弩級の研究成果だと思う。
本庶佑先生は利根川ノーベル賞のころからすでに超一流の研究者だった。その先生が30年後にノーベル賞を取るのだからすごいことなのだ。小生にとっての本庶佑先生は抗体のクラス・スイッチの先生であった。小生が苦労に苦労を重ねて単離したモノクローナル抗体がIgMだったとき、生物学的に活性のあるIgG3にどうにか変換できないかといろんな工夫をしていた時代のことである。P3U1ミエローマに変異原を与えたり放射線をかけたり様々な工夫をしたことを思い起こす。であるから同時代的に本庶、利根川、坂野先生の研究は馴染み深いのである。
本庶佑先生はその延長線上で PD-1 を見出される。発見から性格付け、抗体治療の動物実験から小野薬品との提携。メラノーマでの劇的治療効果とNEJMその後の肺癌治療への展開。素晴らしいお仕事でありまさにノーベル賞にふさわしい。そのノーベル賞のお仕事も彼の多くの一流の研究の一つに過ぎないというのが超弩級なのである。
(1)本庶佑先生の学問的姿勢の一端は次の論争でよくわかると思う。
日本免疫学会 ニュスレターへの2000年9月の寄稿文
”ネットによる公開討論会”独創的研究とは:本庶 佑”
(2)本庶佑先生の生い立ち・来歴はここが詳しい。(とはいえ、この来歴はPD-1以前のいわば旧約聖書に時代のものである。PD-1以前でこれだけ分厚いのだから全貌は推して知るべしであろう。)
生命誌研究館の本庶佑先生のコーナー
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