2020年5月23日土曜日

コロナワクチン:ヒューマン・チャレンジについて

コロナ・ワクチンについてヒューマン・チャレンジという驚くべきプロジェクトが進行中である。

ワクチン開発でもっとも時間がかかる第三相試験を短時間で乗り切るためのプロジェクトである。第三相は「ヒトへの投与が可能」であることがわかったワクチン の「至適投与量」が決まった後、いよいよ大規模にワクチンの予防効果を調べる臨床試験であるが、必要な対象者が万の単位であり、おそらくプラセボとの二重盲検比較試験で、最終目的は「感染予防効果」を見ることであろうから、判定を下すのには時間がかかりますな。

この病気では80%が軽症、臨床症状を呈しないヒトも相当数いるといわれているから、治験対象者は万単位でいるだろうし、自然感染にまかせていたら観察期間をどこまでおいたらよいかがこれまた難しい。

そこでヒューマン・チャレンジである。これはボランティアにコロナウイルスを積極的に暴露する臨床研究である。二重盲検で振り分けられたボランティアに対する臨床研究である。ワクチンを投与後2020年7月1日に一斉に40000人に暴露させて、およそ一ヶ月後の結果を見れば良いから2020年8月1日に鍵箱を開ければその日のうちに、結果がわかる。

私は真に驚いた。でもこのヒューマン・チャレンジは今回湧き出たアイデアではなく、2016年にはすでにWHOは指針を出しているのである。


今回のコロナではワクチン開発には少なくとも一年はかかるだろうと予想している国内の先生方が多い。おそらく最初の有望なワクチンはこのヒューマン・チェレンジに乗るのではないだろうか?そうすれば、運が良ければ今年の秋には結果がでているかもしれない。

I Day Sooner」というホームページがあり、ボランティアに名乗り出ている方がすでに102カ国から24300人(5月23日17時現在)いるのである。

確実に死者が出るのが明らかな臨床試験である。日本では議論にもなりえないようなプロジェクトだ。世界は広い。そして凄い。





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