2022年5月3日火曜日

Nanoporeシークエンスの原理をおさらいしておこう!

Nanoporeシークエンスの原理について簡単に復習しておこう。

スマホと同じくらいの大きさのデバイスを10万円で購入する。製品名は「MinION」。カバーを開け、前処理済みのDNA(RNA)溶液を滴下。一枚の膜に2048個のポアと呼ばれる蛋白が埋め込まれている。この蛋白は、細菌のタンパク質CsgG(Cell Surface Glycoprotein)あるいはその派生物が用いられるが、これは膜貫通型のチャネル蛋白質と考えれば良い。DNAはこの穴の間をするすると流れ通っていく。

「流しそうめん」のイメージだ。二本以上通らないのか、一本も通らないポアがあるのでは? これはポアソンの確率によるのだと理解すれば良い。

動画でみるように、DNAは断端処置がされている。アダプター配列(ポアとは別に膜表面に生えているtether[つなぎ縄]と親和性があり、DNA鎖をポアへ誘導。)とDNAポリメラ➖ゼが結合している。このポリメラーゼには2つの役割があり、一つは二重鎖の開裂であり、DNA二重鎖はこれで一本鎖になる。今一つは一本鎖DNAがポアに突入するスピードを一定値にコントロールする役割であり、これは後述電位差データをより正確に測定するために必須の機能であり「Stepping Motor」と表現されることもある。

以前の報告ではDNAの通過スピードは毎秒1000塩基とされていたが、現在では400塩基と記述される。2048個のポアがあるので、100%の効率なら一秒間のシークエンス数は81万9千。一秒間のリード数(Read数)が82万、分速で5000万、時速で30億ということだ。

奇しくもヒトのハプロイドゲノム塩基数に等しい。設計段階で幹部から「一時間でヒトゲノム解析が可能なスピードにしろ!」という必達目標が厳命されたに違いない(笑)。

追記)古びた頭で間違ったことを書いてしまった。しれっと訂正するより、自分に対する教育もあるので、追記で書きます。上記一秒間のリード数(Read数)が82万は全く間違いです。一リードはDNA一本という意味でした。だから82万リードも読めるわけがない。ちなみに1リードの最高値のめやすは200kオーダーと書かれている(20万塩基!!)だから、この一本を読むのには500秒かかる。およそ8分間、延々と読み続けるわけです。

ちなみに「MinION」とは古い英語で子分、召使いという意味です。お気に入りという意味もあるようだ。

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