2007年11月29日木曜日

Laura D.Woodの大腸癌遺伝子解析

Laura D.Woodの大腸癌遺伝子解析について

The Genomic Landscapes of Human Breast and Colorectal Cancers


Science 16 November 2007:Vol. 318. no. 5853, pp. 1108 - 1113

この論文は2007年10月11日にScience誌にon lineで投稿された。WEB上のニュースではかなりの賑わいを見せたものだ。要旨は大腸癌11例、乳癌11例の臨床切除標本における18000におよぶ遺伝子エクソンの全シークエンスというものであり、いつかは誰かがやるはずの仕事であるとは思っていたが、あのVogelsteinのグループだから出来た仕事であるともいえる。

[要旨]
結論はこのマップがすべてかもしれない。山(moutain)があり丘(hill)がある。一人の癌患者組織には70内外の遺伝子変異がある。多くは癌化に巻き込まれた「paasenger」であり、それら「paasenger」は積極的に癌化に関わっているわけではなさそうであるが、中には本質的に癌化を促進すると思われる遺伝子変異があり、これを「driver」と呼ぼう。driver遺伝子は15個内外である。その多くは変異頻度が5%を超えることがない。つまり同じ大腸癌でも個人により遺伝子変異の大多数はことなり、個性的である。これら遺伝子の多くはしかしある特定のsignal passwayの中に属する。つまりpasswayの変異が大事なのだ。今後の癌研究においてはある特定の遺伝子変異に着目するのではなく(もちろんdriver遺伝子の上位いくつかは共通することが多いとしても)、ある特定のpasswayに注目することが肝要である。

[講演内容]
昨日のミーティングは本当に内容が豊富であったが、上記論文の筆頭著者の話を聞けるとは思っていなかった。これほどタイムリーな講演を聞くことができて感謝に堪えない。
Lauraさんは背の高い実にチャーミングな女性研究者であった。目立つよなあ。彼女とも話ができたが、本当はVogelstein直々にコメントが聞きたい内容でもあった。

この論文は今度の抄読会用に読みたいので、このblogを使ってまとめて見たい。

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