2007年12月18日火曜日

StGallen2007におけるPerouの乳癌治療方針

[S7] Genetic profiling: present and future

大鵬製薬のレポートから引用

Charles M. Perou (Lineberger Comprehensive Cancer Center, University of North Carolina at Chapel Hill, USA)

 Perou氏は、遺伝子のプロファイリングにより、乳癌を予後と相関する5つのサブグループ(basal-like、HER2+/ER−、 luminal A、luminal B、normal breast-like)に分類した先駆者のひとりである(PNAS, 2001: 筆者註これは2000年のNatureがより正しい)。今回、各サブグループの特徴から治療方針に至る臨床試験まで、現状と将来展望を詳細に総括してくれた。

(1)HER2+/ER−腫瘍は15- 25%の頻度であり、trastuzumabを基盤とした治療を組み立てる。加えて (a) 化学療法(AC、TCなど)+ホルモン治療、(b) 化学療法±lapatinibなどの分子標的薬剤、また(c) androgen receptor antagonistsとの組み合わせが検討されている(CALGB neoadjuvant trial 40301など)。

(2)luminal/ER+腫瘍は以下の3グループに分類される。(a) luminal A (recurrence score[RS] low)は、化学療法を必要とせずホルモン治療(TAM、SERMs、AIsなど)が有効である。(b) luminal NOS (RS intermediate)は、ホルモン治療(TAM、SERMs、AIsなど)のみでよいのか化学療法を必要とするのかの評価が定まっておらず、注目の 臨床試験(Tailor RX trial, MINDACT trial)が進行中である。(c) luminal B (RS high)は、化学療法を必要とするグループである。

(3)basal-like 腫瘍は10-20%の頻度であり、p53BRCA1に 高頻度の遺伝子変異を認める。EGFR/HER1やc-KITが治療標的となる可能性を示唆した。CALGB neoadjuvant trial 40603、LCCC 0403 などでは、cetuximabやcarboplatinを含むレジメンが組み込まれ、効果に期待を寄せていた。また、術前化学療法 (anthracycline + taxane)の感受性はbasal-like tumorsが高いことも示した。以上のように各サブグループの治療方針と進行中の臨床試験を示した。

 最後に、乳癌治療は腫瘍生物学に沿って行われるべきであり、現在すでに開始されているが、今後もさらに加速していくだろうと締めくくった。

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