2009年3月6日金曜日

メルカゾールとチラージンを同時に出すか・・?

糖尿病の持ち患者で前医から引き継いだ患者に出されていた
1)メルカゾール 1T 1x 隔日
2)チラージン 1T 1x
なる処方には「???」と思っていたが、同僚に尋ねるとやはり同じような処方が内分泌専門医からの引き継ぎで出るという。

ネットにもあったので引用



<気になる処方箋>
以下のような処方箋が出る。

Rp1 
チラージンS(50μg) 1T
1×N(朝)      28日分

Rp2
メルカゾール(5mg) 1T
1×N(朝)      28日分
・チラージンS(レボチロキシンナトリウム)
甲状腺ホルモン(合成品)
粘液水腫・クレチン症・甲状腺機能低下症に使われる。
また甲状腺腫に使われることも(後述)
投与開始時には1日に25〜100μg。
これを徐々に増やしていき、維持量を1日あたり100〜400μgとして処方されることが多い。
基礎代謝を亢進させるホルモンなので、心臓にも負荷がかかるため狭心症・動脈硬化・高血圧などの重篤な心・血管障害のある患者に対しては慎重投与。

・メルカゾール(チアマゾール)
抗甲状腺薬。
バセドウ病のような甲状腺機能亢進症に使われるのがメイン。
5〜9歳には10〜20mgを1日2〜4回に分けて。
10〜14歳には20〜30mgを1日2〜4回に分けて。
15歳以上は30mgを1日3〜4回に分けて服用する。
(ひどい時は1日量が40〜60mgに増えることも)
維持量としては5〜10mgを1日1〜2回に分けて。
副作用として重要なのは無顆粒球症。
白血球の成分のひとつである顆粒球が減って、細菌に感染しやすくなる。
初期症状は発熱・喉の痛みといった風邪に似た症状。
この症状を早期発見するために、投与開始から2ヶ月の間は2週間に1回血液検査をするように、とされている。

上記の通り、チラージンは甲状腺ホルモン。
メルカゾールは抗甲状腺薬。
相反する二つの薬が同時に処方されるのはなぜ?
というか、どちらの症状で薬が出されているの?
そう思って色々と調べることに。

患者さんの薬歴より、今まではメルカゾールの単独処方。
ということは、この処方のメインはメルカゾール。
投与量も5mgと維持量である(青字参照)ので間違いないでしょう。
では、なぜチラージンが追加されたのか?
これはメルカゾールによって必要以上に甲状腺機能が低下したので、それをカバーするために追加されたと考えるのが妥当でしょう。
先輩曰く、このような処方は結構見かけるのだとか。
チラージンを追加せずにメルカゾールを半錠にして量を減らす、という選択も考えられるのですが、そんなことをするよりもチラージンを追加したほうが症状のコントロールがしやすいのだそうです。

それに、メルカゾール半錠にして半錠の加算料金取られるよりも1錠10円程度のチラージン追加したほうがお財布にも優しそうですし。
・補足
メルカゾールはこんな形をしています。



参考リンク:http://tinyurl.com/bl3tk
このように割線がなく、糖衣錠であるために半錠に割るには適さない錠剤です(その気になれば割れそうですが、上手く割れなかったり、コーティングが割れるのでひどく苦くなったりします)
なので、医者側としてもあまり半錠を指示しないかと思われます。

*補足:甲状腺腫へのチラージン投与。
甲状腺腫になると甲状腺ホルモンがいっぱい出ます。
それに対してメルカゾールを使うわけですが。
甲状腺機能低下症を避けながら十分な量の抗甲状腺薬(メルカゾールなど)を使いたいから、チラージンが併用されることもあるそうです。

差し引きゼロになって意味ないじゃん、と勘違いしていた自分に反省

私も反省

ちなみにこの患者殿、退院時にTSH,FT-3,FT-4測定したが、見事にノーマルレンジに入っていた。たいした匙加減であるものと感心.

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