1980年 免疫反応を調節する、細胞表面の遺伝的構造に関する研究
1981年 大脳皮質視覚野における情報処理に関する研究
1982年 イギリス重要な生理活性物質の一群であるプロスタグランジンの発見およびその研究
1983年 転移する遺伝子の発見など、遺伝学上の優れた研究
1984年 免疫制御機構に関する理論の確立とモノクローナル抗体の作成法の開発
1985年 アメリカコレステロール代謝とその関与する疾患の研究
1986年 神経成長因子および上皮細胞成長因子の発見
1987年 多様な抗体を生成する遺伝的原理の解明
1988年 薬物療法に関する重要な原理の発見と新薬の開発
1989年 レトロウイルスの癌遺伝子が細胞起源であることの発見
さて1980年代であるがこの時代は素晴らしい受賞が目白押しである。1980年は「免疫反応を調節する、細胞表面の遺伝的構造に関する研究」と書くとなんのことやらであろうが・・・これ実はHLAの発見である。そして個人的には小生の大学院での研究テーマは詳細を省けば「モノクローナル抗体を作成すること」であったから、ケラーとミルシュテインのmoAbの作成は極めて身近でうれしい84年の受賞だった。85年のコレステロールはスキャンダラスな本(ノーベル賞の決闘)ですっかり有名になった生化学の両巨頭の物語である。この本には松尾教授など日本人もバイプレーヤーで登場するのでリアルで面白かった。(寒川さんは出てきただろうか??)86年はコーエンとモンテニエさんの成長因子クローニングの物語である。これも生化学である。小生はコーエンがノーベル賞を取った年に彼の研究室があるセントルイスのワシントン大学を訪れたことがあるが、この研究所の一階にはこの大学からノーベル賞を取った学者の写真がずらっと並んでいたのに感動した。
そして87年が利根川さんの発見である。こうしてみるといわゆる「分子生物学」がノーベル賞に関連するのはこの「利根川受賞」が皓歯となるといって間違いないな。なんせ利根川さんは制限酵素を自分で調整したといっていたし、ボイヤーから分けて貰った話もされていた。
なにか抜けてやいませんか・・・だ。80年代最高のノーベル賞は実は以上に挙げたテーマではない・・・というのが小生の意見。小生にとってマクリントックは別格である。やはり83年のマクリントックを越える大テーマはないだろうと思うのだ。最高にロマンティックな研究だよ、これは。動く遺伝子。すごい。進化の原動力・・・であろうと私は思う。
こうしてみると1980年代はすごいね。毎年毎年よくまあ素晴らしい研究が続々と受賞したものだよ。
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