2011年1月24日月曜日

イレッサの和解勧告に対する国立がん研究センターの見解

イレッサの和解勧告に対する国立がん研究センターの見解

がんセンターの嘉山孝正理事長が今回の「イレッサの和解勧告」に対して、極めて明快な批判見解を発表した。イレッサの副作用に関しては実に残念であるとは思うものの、一連の間質性肺炎が起こったあとの、この薬の扱われ方は極めて理不尽であり、さらには今回の和解案は極めて困ったことだと思っていただけによく言ってくれたと感謝したいくらいだ。引用したいのだが、このような微妙な案件に関しては、全文引用でもしないと間違って伝わる可能性がある。小生が読んだ記事にしてから、発表元原稿と同じものかどうかわからないのであるが、それでも見解の核心(と思われる点)を引用してみる。

  • 間質性肺炎が、添付文書の重大な副作用に記載されていても、4番目だったことが問題視されているようだが、臨床医はどんな順番であっても、対等に重大な副作用として扱う。裁判所の判断は、こうしたことを全く理解しておらず、副作用の責任が問われるようでは医療ができなくなる。私は外科医だが、手術では合併症を伴うことがある。その危険を患者に説明し、同意を得て手術を行う。合併症が生じた場合には、その責任を誰かに押し付けることになるのか。医療における 不可避の副作用を認めず、その責任を問うことになれば、医療、手術ができなくなり、医療を受けて助かる患者さんの人権が侵害されることになりかねな い」(嘉山氏)。

ある確率で起こることが不可避である副作用・・・・副作用はある確率で確実に起こるのである。ゼロには出来ない。ゼロに限りなく近づける努力は怠らないが、でも100例治療すれば一例おこる副作用なら、全国で10000例治療すれば必ず100人に副作用が出る。イレッサはそれだけ期待された薬だったということである。補償は国民皆で行えば良い。副作用を言挙げしてはいけない。

和解というのは「誰かが悪かったということを認めることでもある」  しかしそんな誰かはいないのである。だから和解してはいけない。まずいよ。

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