2013年6月24日月曜日

clinically malignant GIST症例の術後フォローアップについて

先日吐下血で緊急入院した方は、出血性胃腫瘍ということで(Biopsyは過形成ポリープだということであったが)胃切除をしたが、結局巨大GIST(15cmくらいはある)であった。大きくて核分裂像も結構認めるのでハイリスクである。切除断端を含め肉眼的にはabsolute curativeであるが、問題は術後のフォローアップである。

癌治療学会のガイドライン

  1. 高リスク,中間リスクまたはclinically malignant GIST症例では(アルゴリズム2.外科治療c),適切なフォローアップCTは,最初3年は4~6ヵ月に1回,5年までは6ヵ月に1回,その後10年までは年に1回程度とする。低リスク或いは超低リスクのGIST症例では,術後5年間は6~12ヵ月毎の,以後年1回程度の腹部CTによるフォローが勧められる。
  2. 術後補助療法に関しては、プラセボ対照第三相無作為二重盲検臨床試験が報告され9)、イマチニブ400mg/日の安全性と忍容性は確認され、無再発生存期間(Recurrence Free Survival: RFS)はイマチニブ投与群が非投与群より良好である(内科治療参照)。但し、全生存期間の改善の有無は未確認であり、術後補助療法の対象となるGIST,術後補助療法の期間に関してコンセンサスは無い。これ等の事項に関しては、現在進行中の幾つかの臨床試験の結果を待たねばならない。

  3. カプセル剤100mg 1錠 2,749.00円  一日約一万円ということになる。

  4. KIT陰性GISTの診断にc-kit遺伝子変異の検索は有効か。KIT陰性GISTの診断にc-kit遺伝子変異の検索が有用なことがある。

    KIT陰性GISTには,免疫染色の問題でKITの陽性像が得られなかったGISTやPDGFRA遺伝子変異を持つGISTなどが含まれる。また,免疫 染色でKIT陰性と判断された場合でもc-kit遺伝子に変異が検出されるものがあり,KIT陰性の消化管間葉系腫瘍にc-kit遺伝子やPDGFRA遺 伝子の突然変異が検出されれば基本的にGISTと診断してよい(GIST,マスト細胞性腫瘍,精上皮腫以外でc-kit遺伝子の変異が検出されることはな いと考えても差し支えない)12)


  5. イマチニブ治療効果予測にc-kit遺伝子変異の検索は有効か。 c-kit遺伝子変異部位とイマチニブの効果には関連があることが報告されている。

    例えばc-kit遺伝子のexon 11の変異は一般にイマチニブの効果が高いが,c-kit遺伝子のexon 9の変異はイマチニブの効果がやや悪い。c-kit遺伝子検索をすることで,ある程度のイマチニブの効果は予測可能と考えられる13)14)


  6. イマチニブ治療効果予測にPDGFRA遺伝子変異の検索は有効か。 PDGFRA遺伝子変異部位とイマチニブの効果には関連があることが報告されている。

    例えばin vitroではPDGFRA遺伝子のexon 12の変異は一般にイマチニブの効果が高いが,PDGFRA遺伝子のexon 18の変異の多くはイマチニブ抵抗性である。in vivoでの十分なデータには乏しいが,PDGFRA遺伝子検索をすることで,ある程度のイマチニブの効果は予測可能と考えられる10)14)


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