2014年6月3日火曜日

家族性大腸腺腫症の覚書

FAPの診断は臨床的または遺伝子診断により行われる

【臨床的診断】 以下の(1)または(2)に合致する場合はFAPと診断する.

 (1)大腸にほぼ100個以上の腺腫を有する.家族歴の有無は問わない.

 (2) 100個に達しない多発性腺腫が存在するがFAPの家族歴を有する(大腸外随伴病変は補助診断として参考になる)

 【遺伝子診断】 APC遺伝子の生殖細胞系列変異を有する場合はFAPと診断する.

































FAPでは臨床診断がついた時点で,外科治療を考慮するようになり,また血縁者への大腸内視鏡検査の勧奨により,大腸癌による死亡は減少傾向にある. 最近ではデスモイドへの配慮が重要である.女性に発症頻度が高く,開腹手術後3年以内に発症することが多い.そのほか,十二指腸乳頭部の病変についても計画的な観察により,早期の段階での内視鏡的切除が可能となった.

デスモイドが問題なのは開腹手術がリスクファクターとなることである。予防的大腸切除がサーベイランスのスタートであるとみなされるひとつの由縁である。

 十二指腸腫瘍については過去の報告では(特に岩間のデータ下↓)1991年以降 FAPの死亡原因として比率が相対的に高まってきているとの報告だが、一方で飯田・松本の84例の報告では腺腫は多いが癌は1〜2例と頻度は必ずしも高くない。

















0 件のコメント:

コメントを投稿