第一段階の処置としては、助けを呼ぶこと、しっかりとABCを確認すること、1:1000のアドレナリンを0.01mg/kg(最大0.5mg)筋肉注射 で投与すること、14〜16ゲージの太い針でしっかりと血管確保をし、大量補液をすること、バイタルサインをモニターすること、酸素6〜8L/分をマスク で投与すること、仰向けに寝かせて、下肢を挙上すること、などです
日本国内で売られており病院内において静注用に使われるボスミン製剤は一種類であり、1mg/1ml製剤だけであること。これ以外の濃度・容量のものは存在しない。医療者として確認しておくことはこの一つだけであることを最初に確認しておこう。
ボスミンを使うときはきまって緊急事態。緊急事態であるから間違えたくない。通常間違えることはない。ないのであるが、頭のどこかに引っかかっているもやもやがある。形容詞といっていいのだろうか?ボスミンは他の薬にはない形容詞が付いており、緊急事態でこれら余計なことを思い出すと混乱する。形容詞とは「1000倍ボスミン」の「1000倍」とか「ボスミン注」とか「ボスミン液」の「液」「注」である。
「液」は1mg/1ml製剤であるが、これは気管支喘息などの時気管内に投与するための製剤であり、一アンプル8円と安い。「液」を静注してはいけない。
1000倍であるが、これは忘れても良い。1倍ボスミンや100倍ボスミン製剤などは製剤として存在しないからだ。この1000倍は単に1mlの中に1mg入っているということを表現しているにすぎないが、なぜにこんな人心を惑わす表現が生き残っているのだろう? 初心者が「1000倍」と聞くと、絶対にこれは戸惑う。看護師がこれを聞くとパニックだ。彼女(彼)たちはよく「10万倍ボスミンを用意して」と言われるからなあ。彼らはボスミンを薄めなくてはいけない。これは実際には生食100mlにボスミン1A 1mlを混ぜればいいことなので(これで1000倍 x 100倍 =10万倍)、それなら職場では「ボスミンを100倍に薄めてください」あるいは「100倍ボスミン薄め液を作ってください」と言えばいい。「10万倍ボスミン」という業界用語を廃絶すればよいと思う。これからの看護師の中には10万倍ボスミンといわれて、1mlを10万倍希釈しなくてはいけないものと勘違いするものがきっと出てくるはずだ(実害はないけど、これでは鼻血は止まらない)いうまでもないことだが、ボスミンは薬の中の薬であり、これくらい激しい作用を持つ薬もない。作用・効果が激しい。その割には使われ方が一定しない。きちんと教えられていない。怖い薬なのに・・・。
さて話を戻そう。ボスミンは製剤としてどのようなものがあるのだろう?少し詳しくみてみよう。
1921年に国内で販売開始されたボスミンであるが、現在では第一三共から2種類(「注」と「液」)、ジェネリック類似品として「アドレナリン注0.1%」とか「エピネフリン注0.1%」がテルモから販売されている。病院内でみるのはこれだけである。救急トレイには「液」は入っていないはず。ジェネリック製剤はオリジナルよりも高価(97円に対して180円)なので、普通の病院の救急トレイに入っているのは、まず第一三共の97円のボスミンであろう。全国津々浦々まで注射薬でアンプルにはいっているのは1mgが1mlに溶けているボスミンなのだ。だから余計なことは考えないこと。
添付文書には(1)皮下あるいは筋注をする(2)0.25mgを超えない量を静注する・・・と書いてあり、書いてあるからにはそのように使っても妥当性があり、訴えられることはないだろうが、最近の救急医療特にアナフィラキシーショック時の使い方はより洗練されてきている。0.01mg/kg(最大0.5mg)を出来るだけ早く筋注(大腿に打つこと)としている。皮下注は論外であるとの論調である。また静注も論外なのだそうだ。
ボクはこれまで皮下注も静注も心注も、やっていたよ、もちろん筋注もやっていた(これからは筋注だけになろうが・・)
大事なことはでっかいルート(18G以上)はとった上で、普通の大人なら半アンプルを吸って直ちにふとももに打つということ。どれくらいの量だったか・・・?なんて考えている暇はない。爺さんばあさんなら遠慮して3分の1を吸って打つくらいか・・。添付文書を読むと、つい変な気になる。まず皮下注で打ち、効かなければ筋注でとかわけのわからん判断をしてしまうことがある。あるいは打つタイミング。つい待ってしまう。バイタルが下がってくるのを待つ。呼吸障害が発現してくるのを待つ。ボスミンを打つのに相応しい状況が揃うまで待つ・・・ありがちではないであろうか?呼吸抑制もショックもない時期に打ち代わりに頻脈や高血圧を引き起こしてしまうボスミンへのためらい。ボクなどは大いにあるぞ、ボスミンへのためらい。
エピの規格は単一なのですね。日頃の疑問がクリアになりました。これで迷い無く、使用できます。ありがとうございました。
返信削除ご参考になって幸いです。
返信削除エピペンについて知らないうちに保険が適応になっていました。これ皆さんご存知でしょうね。
ネットで講習を受けてわたくしも処方が可能な医者として登録してもらいました。
追加のご参考までに。