DCIS の基礎と臨床への新たな展開((2007 年 10 月 13 日(土)・14(日)開催 JCCNB 国際公開研究会)
病理側から乳癌の分子分類を現状どうみているかという興味深い報告である。この問いかけそのものが病理医にはいらいらするであろうことは容易に想像がつく。10月の日本乳がん情報ネットワークの報告を見ていこう。
(1)病理医Boeckerらによると基底細胞(Basal cell)はサイトケラチン(Ck5, 4, 7)が陽性
(2) -1:乳腺前駆細胞 / 幹細胞は Ck5/ 4 陽性、ER 陰性の Basal cell の特性を持つ
-2:成熟した腺 / 上皮細胞(Ck5/ 4 陰性、Ck8/ 8 陽性、ER 陽性)、
-3:筋上皮細胞(Ck5/ 4、p63 や SMA(Smooth muscle actin) 陽性)
(3)Bassal type は遺伝子解析にもとづく分類概念であり、ER 陰性、PR 陰性、HER2 陰性のいわゆる triple negative とは同一概念では括れない。浸潤癌の約0%が Basal marker である Ck5/ 4 が陽性であるがおそらくすべてがいわゆる triple negative cancer もしくは Basal type tumorというわけではないであろう。High grade tumor の 5- 0%、髄様癌の 54.8%は Ck5/ 4 が陽性であり、ほかに Adenosquamous cell carcinoma, squamous cell carcinoma, metaplastic carcinoma なども Ck5/ 4 が陽性が陽性となる。
(4)乳癌の場合、85-93%が Luminal type の癌であるのに対し、Basal type の癌は 7- 5%存在し、一般的に予後が悪い。この Basaltype の癌は前駆細胞 / 幹細胞から分化した幹細胞であり、これに対し Luminal type の癌はより分化した Luminal cell から発生したものであり、幹細胞からは分化しない。このことからもLuminal type tumorとBasal type tumorは全く異なるものと考えられる。
(5)一般的に日本人の乳癌は予後がよいとされている。年齢分布の違いなどが従来指摘されているが、日本人乳がんでは Luminal Aが 63.3%、Basal type が 8.4%であるのに比し non African American ではそれぞで 54.0%、 6.0%であり African American では47.4%、26.5%と腫瘍特製の分布に違いがあることも一因の可能性と推察される。
(6)Basal marker として何が最も有用かという質問があったが、Boecker 氏は Ck5 とCk4に対する混合抗体がよいとされた。日本では Ck5/6 に対する混合抗体が用いられるが、Ck6 は乳癌の診断に関しては有用性が高くはないようである。
2007年12月の現状認識である。
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