2011年1月31日月曜日

新燃岳の噴火と「死都日本」





















「死都日本」は2002年に出版され、08年に文庫化された火山爆発災害小説であるが、発刊当初そのリアリティが火山学者を驚かせたという話題の本だった。とにかく面白い小説だった。


(残念ながら、ハードカバーも文庫本も絶版のようだ。)

数日前からの新燃岳の噴火を側聞するに、この本のことが鮮やかに思い出されてならない。とにかく舞台が同じ霧島連山なのだ。最大の噴火は「韓国岳」だったような気がするが詳細は覚えていない。このあたり(霧島連山)が一つの火山ではないこと、すなわち南九州最大の加久藤カルデラという巨大な火山に点在する火山群であることなど、知らないこと満載でかなり興奮した。水蒸気爆発というのがとにかく恐ろしい事象であり、これが起こると山体崩壊というすさまじいカタストロフが起こる。小説では韓国岳のあのコバルトブルーの大浪の池の水がマグマ道に落ちていき、瞬間的に山全体が飛び散る様子が描かれていた(はずだ)

被害を受けるのが宮崎。都城や最近避難勧告が出された高原町である。小説ではその後大火砕流が宮崎県南部を襲うことになるのだが、これは現実には起こってほしくないことである。

書棚の奥にあるはずなので、もう一度読んでみよう。


  • 文庫: 644ページ
  • 出版社: 講談社 (2008/11/14)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062761955
  • ISBN-13: 978-4062761956
  • 発売日: 2008/11/14
本は手に入らないのでせめてHPで・・・・・・・・

《画像で追う死都日本

2011年1月29日土曜日

香川の第五中足骨骨折:Jones骨折なのか?

「サッカー  第5中足骨骨折」とググるとJones骨折が出てくる。これは小生が外来でよく見る 第5中足骨骨折・・・・下駄骨折と違ってやっかいだそうだ。
  1. 一つには小生がみる良くみるような下駄骨折(今ならWii骨折と呼ぶのか??)は一瞬の介達力で破断するだけだが(慢性的素因はない)、このJonesは慢性疲労に耐えかねて破断するもののようだからだ。つまり回復力が悪く、下手な治療だと偽関節化する。

  2. 今ひとつは血行の問題だという。Jonesは中足骨の随分手前、基節部で折れる。ここは血行が悪いのだ。

下駄骨折は4週間の固定で済むことが多いのに対し、Jones骨折はちゃんと固定治療しなくてはいけない。香川選手に手術が必要と報道されているが、これは病態がまず間違いなくJones骨折である可能性を示しているのだと思う。 ちゃんと治療すれば良くなるはずだ。

参考
 2010年2月9日火曜日

下駄骨折とJones骨折 vs Wii骨折

ちなみに文献は

  1. Brasington R. Nintendinitis. N Engl J Med 1990;322:1473-1474.
  2. Bonis J. Acute Wiiitis. N Engl J Med 2007;356:2431-2432.
  3. A Wii Fracture N Engl J Med 2010; 362:473-474
1は任天堂のゲームをやり過ぎておこる「任天堂炎」について1990年のNEJMであり、Wiiをやり過ぎて起こす炎症あるいは第五中足骨骨折が2、3であり、これは2007, 2010年のNEJMである。NEJMに冠名付きで載るくらいの病名である、任天堂もWiiも大したものである。

2011年1月28日金曜日

Michael R. Strattonらの最新の総説:Genomics and Continuum of the Cancer Care

Michael R. Strattonらの最新の総説:Genomics and Continuum of the Cancer Careがニューイングランドの最新号に載っている。11ページの大部である。今日は午前が公休なので読んでみた。
  1. 前半はマンマプリントなどが乳癌で広く用いられてきたことを中心にアレイと診断ー特に早期乳癌への治療介入が論じられている。確かに欧米におけるアレイの臨床応用は着実に進んでいるように見える。FDAも認めており、2007年にはアメリカの臨床癌学会はオンコタイプによる診断を勧奨するようになった。

  2. イレッサが話題になっているから書くが、EGFR変異が無い患者への奏功率は1%であるが、EGFR変異のある患者の奏功率は71%もあるという(2009年のMok et al NEJM)書き込みが印象的。

  3. PARPを初めとする開発中、早期治験中の分子標的薬剤の紹介も網羅的でないから読みやすい。

  4. 分子標的と言えばCMLのグリベックがその皓歯であるが、現在新しく診断されグリベックで治療されるCMLの5年生存率は89%もあるのだね(2006年、Drucker et al NEJM)。そのグリベックで治療されるGISTの奏功率は50%である・・・とあるがこれは参考文献がちと古すぎるな。

  5. この論文中で最もインパクトが大きかったのはBRAFとメラノーマのことである。70%近くのメラノーマにはBRAF変異があり、これをターゲットとした分子標的薬剤の臨床一相試験が2010年発表されたが、素晴らしい効果と書いてある(論文中には治療前後のPET画像が引用されているが、凄い効果の一例である。元論文は2010年、Flaherty et al NEJM)。メラノーマでBRAF変異が発見されたのが2002年であり、10年経たずにここまで来ているこのペースを賞賛している。確かに素晴らしい。

    Results(これは参考文献からの引用)


    Inhibition of Mutated, Activated BRAF in Metastatic Melanoma

    Keith T. Flaherty, M.D., Igor Puzanov, M.D., Kevin B. Kim, M.D., Antoni Ribas, M.D., Grant A. McArthur, M.B., B.S., Ph.D., Jeffrey A. Sosman, M.D., Peter J. O'Dwyer, M.D., Richard J. Lee, M.D., Ph.D., Joseph F. Grippo, Ph.D., Keith Nolop, M.D., and Paul B. Chapman, M.D.

    N Engl J Med 2010; 363:809-819August 26, 2010

    A total of 55 patients (49 of whom had melanoma) were enrolled in the dose-escalation phase, and 32 additional patients with metastatic melanoma who had BRAF with the V600E mutation were enrolled in the extension phase. The recommended phase 2 dose was 960 mg twice daily, with increases in the dose limited by grade 2 or 3 rash, fatigue, and arthralgia. In the dose-escalation cohort, among the 16 patients with melanoma whose tumors carried the V600E BRAF mutation and who were receiving 240 mg or more of PLX4032 twice daily, 10 had a partial response and 1 had a complete response. Among the 32 patients in the extension cohort, 24 had a partial response and 2 had a complete response. The estimated median progression-free survival among all patients was more than 7 months.


  6. 一方変異遺伝子にたいする分子標的がすべて上手くいっているわけではないことも事実である。悔しい思いをしているのはRASの研究者だろう。変異する場所もほぼ一定であり、多くの癌腫で変異が認められているのに発見以来30年で有効薬なし。しかしこのRASシグナルにも光が見えてきているという。RAS変異のある細胞ではSTK33, TBK1という分子をターゲットにすれば良いことがわかってきたらしい。
本日はここまでにしておこう。

Genomics and the Continuum of Cancer Care

Ultan McDermott, M.B., B.S., Ph.D., James R. Downing, M.D., and Michael R. Stratton, M.D., Ph.D.

N Engl J Med 2011; 364:340-350
January 27, 2011

The provision of the human genome sequence in 20001 set in motion several waves of cancer research. The identification of an essentially complete set of protein-coding genes, coupled with the discovery of novel transcribed elements such as microRNAs (see the Glossary), has fostered an explosion of investigation using array-based approaches into patterns of gene expression in most cancer types. Similarly, the development of systematic approaches to identify somatic mutations has prompted exhaustive analyses of changes in cancer genomes, including copy-number changes (deletions and amplifications of DNA), rearrangements, small insertions and deletions, and point mutations.2 Recently, these efforts have culminated in . .

2011年1月27日木曜日

なんか笑えるnature geneticsの表紙


最新号のnature geneticsの表紙だ。思わず笑ってしまった。この写真が出したいから、あの二つの論文をアクセプトしたのではないかと思ってしまった(冗談!)。なかなか素敵な雑誌であるnature genetics



あの二つの論文とはこれだ・・・

2011年1月26日水曜日

あの人達は今・・・・

急患やらなにやら、いろいろな患者殿がここ数ヶ月現れたが・・・・・

  1. 乳癌でマルゲーヌ骨折のおばば様は、骨折線のずれが極小だったのか、骨盤骨折は治りが早かった。一ヶ月の安静を我慢できずに退院してしまった。外来でタイケルプをニコニコしながらのんでいるが、ゼローダがどうしても苦手のようだ。この方肝臓(転移巣)が破裂するのではないかと心配だが、とにかく自宅でニコニコしといてもらおう。お元気で!

  2. 前立腺癌で骨転移のおじいさまはMAB療法が余程良かったのか、みるみる元気になって退院してしまった。退院時のPSAは4000を越えているが、それでも約2週間の治療で3分の一に減ったわけだ。考えてみればL4-5が骨転移で破壊されているわけだ。良く歩けるなあ。ご飯ももりもり食べるようになった。「私は治ったのでしょうか?」と訊いてくる。「どうでしょうかねえ。薬は悪くないみたいですな」と答える。この方もできるだけ自宅でもりもりしといてください。

  3. 頸椎症性脊髄症の症状がすぐれなかった方は、今週退院だ。車の運転をし、ワープロ復帰に余念がない。いよいよ悪かったら脳外科を紹介するよと言いました。

  4. 外来は相変わらず忙しい。原則昼間は交通事故や骨折はお断りしているのだが、それでもなにかと紛れ込んでくる。1月に入っていわゆる下駄骨折(足の第五中足骨骨折)が2人とか・・・。先週はなにげない腰痛で「解離性大動脈瘤」のヒトが来たなあ。

  5. 昨日は「右のお腹にこぶができちゃって、最初は親指の爪くらいだったのに・・」という87歳のおばばが来た。

    「何時気が付いたのですか」
    「そうねえ1月に入ってからかな」「急に大きくなっちゃたの・・・」と言う。

    ちょっと触らせて貰ったが15cmはある。アッペの術創はあるし、腹壁はスカスカだしちょっと硬いが腹壁瘢痕ヘルニアかしらんね、手術で修復かな・・とCTを撮ったら「巨大卵巣腫瘍」だった。骨盤はほとんど占拠されている。あれあれだ。不思議なのは立位と臥位でいかにもヘルニア様なのだ。立つと飛び出している。寝ると上手に触ると還納する。これは本人も気が付いている。これはヘルニアも併発していますな。卵巣腫瘍は20cmはある。solid partがいかにも悪そうな顔つきだ。大病院の産婦人科に早速紹介したら、来週入院手術してくれると夕方返事があった。ヘルニア内容が卵巣腫瘍というのはしゃれにならんぜ。

2011年1月24日月曜日

なかなか素敵なラ・ヴァルスをお一つ

ラ・ヴァルスの面白い演奏に出会った。吹奏楽だぜ。後半はまあ並みでしょうが、前半は素晴らしい!
演奏は1977年のものらしい。


イレッサの和解勧告に対する国立がん研究センターの見解

イレッサの和解勧告に対する国立がん研究センターの見解

がんセンターの嘉山孝正理事長が今回の「イレッサの和解勧告」に対して、極めて明快な批判見解を発表した。イレッサの副作用に関しては実に残念であるとは思うものの、一連の間質性肺炎が起こったあとの、この薬の扱われ方は極めて理不尽であり、さらには今回の和解案は極めて困ったことだと思っていただけによく言ってくれたと感謝したいくらいだ。引用したいのだが、このような微妙な案件に関しては、全文引用でもしないと間違って伝わる可能性がある。小生が読んだ記事にしてから、発表元原稿と同じものかどうかわからないのであるが、それでも見解の核心(と思われる点)を引用してみる。

  • 間質性肺炎が、添付文書の重大な副作用に記載されていても、4番目だったことが問題視されているようだが、臨床医はどんな順番であっても、対等に重大な副作用として扱う。裁判所の判断は、こうしたことを全く理解しておらず、副作用の責任が問われるようでは医療ができなくなる。私は外科医だが、手術では合併症を伴うことがある。その危険を患者に説明し、同意を得て手術を行う。合併症が生じた場合には、その責任を誰かに押し付けることになるのか。医療における 不可避の副作用を認めず、その責任を問うことになれば、医療、手術ができなくなり、医療を受けて助かる患者さんの人権が侵害されることになりかねな い」(嘉山氏)。

ある確率で起こることが不可避である副作用・・・・副作用はある確率で確実に起こるのである。ゼロには出来ない。ゼロに限りなく近づける努力は怠らないが、でも100例治療すれば一例おこる副作用なら、全国で10000例治療すれば必ず100人に副作用が出る。イレッサはそれだけ期待された薬だったということである。補償は国民皆で行えば良い。副作用を言挙げしてはいけない。

和解というのは「誰かが悪かったということを認めることでもある」  しかしそんな誰かはいないのである。だから和解してはいけない。まずいよ。

2011年1月23日日曜日

腹部動脈炎:悩ましい患者殿が・・・

60歳男性、主訴は1月9日に始まる腹痛・腰背部痛。一昨日21日に初診時38度の発熱。小生が診たのは昨日夕方からであるが、白血球20000、CRP> 21.0、血沈105mm(1時間値)、CT所見として腎動脈より下の腹部大動脈周辺の浮腫・脂肪織炎。これ以外に有意な所見無し。血圧120/80(左右の上肢・下肢で測定するが血圧に有意な差を認めない)。脈は左右橈骨動脈、左右大腿、足背動脈で差を認めない。気になるヒトなので本日も外来に来てもらったが、自覚症状はこの2日で随分改善し食事も良好にとれている。ちなみに初診医は初診時の所見から憩室炎等を疑い点滴・抗生剤を処方したがこれはこれで有効だった。

本日は日曜日で一応の診察を行い点滴等を行ったが、明日以降基幹病院に紹介したいものだと考えている。
簡単にまとめると
  1. 2週間続く腰背部痛
  2. 白血球、CRP、血沈が極めて高値
  3. CTで腹部大動脈炎の有意な所見(大動脈瘤は明らかではない)
  4. 末梢動脈に有意な所見(少なくとも左右差、上下肢差、脈の消失)を認めない。
  5. 眼症状や循環器症状は認めないようだ(本日、一応takayasuの臨床所見診断基準をためしてみたのだ)
この方の病態をどう理解したらいいのだろうか?

それより何科に紹介したらいいのだろう?

  • aortitis syndromeの関連で内科? 循環器内科?(takayasuは考えにくいがなあ・・・)

    それとも
  • 炎症性大動脈瘤の関連で血管外科?(動脈瘤はなさそうだが・・・)

    それとも

  • 慢性動脈周囲炎(Chronic Periaortitis: CP) (これの初期像?)

    あるいは

  • 特発性後腹膜線維症(Idiopathic retroperitoneal fibrosis (Ormond病) )の関連?

    それとも単なる一過性の炎症であり・・・・

  • 当院で継続観察?
最後の可能性が高いが、それでも診断はやはり餅は餅屋でやってもらおう。小生があれこれするのはここまでだ。

腫瘍のクローナリティについて:パラダイムは変わりゆく・・か?

今現在パラダイムシフトが起こりつつある(あるいは転換終了した?)ことの一つは腫瘍のクローナリティの問題であり、どうやら『腫瘍(臨床癌はもちろんのこととして細胞株も)は様々なクローンから構成されている』というアイデアが定見化していると見て良さそうだということ。

新しいパラダイムというのはややこしくて、遅れてきた世代にとっては既に当たり前のことであるし、先行世代にとっては2つの受け止めされ方をするものだ(と思う)。


すなわち、定見が無く次から次へとアイデアを求め、ヒトの研究の批判で食べている(あるいは自分ではもはや何もしない・・・小生?)先行世代には、実は余りインパクトがない。時代の流れに取りあえず敏感だから、いつの間にか常識が移り変わっているという感覚がない。まるで自分が常識を変えたんだという思い上がりさえある。「だから言ってただろう・・・」というタイプ。

一方信念に基づいて研究を進めてきた研究者はなかなか受け入れない。早々簡単に受け入れられるものではない。自分の持つ理念や基礎概念は少々のことでは揺るがないから、あるいは揺るがないが故それまで研究を進めてこれた。それゆえ後輩の指導が出来てきたわけだからね。こういう人は最後まで信念を曲げずに、時代に取り残される。そのまま消えていく。まれにパラダイムが元に戻ったとき、再び脚光を浴びる。しかしこんな栄誉は滅多にない。

立派な研究者で頑固だと思われたヒトの中に、随分時間はかかるが、しかしある日を境に豹変する研究者もいる。こうなると弟子はたまらんな。こんなヒトは(元が優秀なだけに)豹変したとたん次のパラダイムの先頭に躍り出る。(躍り出るヒトもいる・・・かしらん)。

さて、『腫瘍(臨床癌はもちろんのこととして細胞株も)は様々なクローンから構成されている』は正しいのか?

   Vogelsteinらの先の膵癌の研究でも、臨床の癌(剖検例)遺伝学的もヘテロであることが示されている。

最新のnatureではトロントのJohn E DickのところからBCR-ABL1白血病の臨床例を追いかけることでクローナリティの変遷を診ている。診断がついた段階でのクローンと再発時のクローンを比較している。検索手法はゲノム・コピー数の違い(CNA:copy number alteration)が指標だ。採取した白血病細胞をNOD/SCIDに移植し、増殖させたあと細かいクローンをソーターで分離CNAをみているようだ。NOD/SCIDに移植・増殖という過程でサブクローンの内部変遷がどうなるのかよくは読み取れないのが残念だが、結果はとてもきれいでサブクローンの系統図が複雑なのにはおどろく。


Nature
   Volume:469,Pages:362–367
   Date published:(20 January 2011)
   Received 10 June 2010
   Accepted 03 December 2010
   Published online 19 January 2011

Evolution of human BCR–ABL1 lymphoblastic leukaemia-initiating cells


Faiyaz Notta,Charles G. Mullighan,Jean C. Y. Wang,Armando Poeppl,Sergei Doulatov,Letha A. Phillips,Jing Ma,Mark D. Minden,James R. Downing & John E. Dick

Many tumours are composed of genetically diverse cells; however, little is known about how diversity evolves or the impact that diversity has on functional properties. Here, using xenografting and DNA copy number alteration (CNA) profiling of human BCR–ABL1 lymphoblastic leukaemia, we demonstrate that genetic diversity occurs in functionally defined leukaemia-initiating cells and that many diagnostic patient samples contain multiple genetically distinct leukaemia-initiating cell subclones. Reconstructing the subclonal genetic ancestry of several samples by CNA profiling demonstrated a branching multi-clonal evolution model of leukaemogenesis, rather than linear succession. For some patient samples, the predominant diagnostic clone repopulated xenografts, whereas in others it was outcompeted by minor subclones. Reconstitution with the predominant diagnosis clone was associated with more aggressive growth properties in xenografts, deletion of CDKN2A and CDKN2B, and a trend towards poorer patient outcome. Our findings link clonal diversity with leukaemia-initiating-cell function and underscore the importance of developing therapies that eradicate all intratumoral subclones.

頸骨頸部:高原骨折











来週は頸骨頸部高原骨折の術後リハビリの方が入院してくる。その予習である。

高原骨折とはなんという懐かしい響きか!
ここを骨折するということは相当な応力がかかったということであろう。また治り難い場所であると聞いている。手術も微妙なalignmentを調整(高原がなだらかになるように・・・・・・)してあるはずである。











例によって「交通事故110番」によると(図もここから)
術後は膝の可動域制限を防止する観点から、CPM=持続的他動運動器を使用しなければなりません。 とある。前医では先週からCPM開始されたとある。



CPM(Continuous Passive Motion)

高原骨折術後の患者さんの経過の一例を示す

   2007/02/11
      脛骨高原骨折、前十字靭帯剥離骨折
      (観血的整復固定術)
   2007/02/28
      リハビリ開始(膝 屈曲 30度)
   2007/03/31
      退院(膝 屈曲 100度)
   2007/04/30
      膝 屈曲 120度
   2007/05/31
      膝 屈曲 130度(階段OK)
   2007/06/30
      膝 屈曲 145度(自転車OK)
   現在
      膝 屈曲 150度(座布団をはさんで正座)

Zeissの素晴らしい写真集:Cell_Picture_Show

Zeissの素晴らしい写真集を「Cell」のホームページから眺めることができる。 リンパ球とマクロファージの絡み合いは昔から格好のターゲットであり優れた写真が多い。この「Cell_Picture_Show」にも惚れ惚れする写真が載っている。

ところでボクがもっとも息を飲んだのは、マクロファージがライム病の病原体Borrelia (スピロヘータである)とからんでいる写真である。ブルーがボレリアである。




残りを診たいときは「Cell_Picture_Show」
http://www.cell.com/Cell_Picture_Show に飛んでみましょう。




Dangerous Rendezvous(危険なランデブー)

by eye of science/ Nicole Ottawa and Oliver Meckes

A macrophage (pale brown) interacts with Borrelia cells (blue), the spirochete bacteria that cause Lyme disease. Although the outer membrane of Borrelia contains a strong antigen, the OspC protein, the bacterium successfully evades the human immune system by hiding out in places less accessible to immune cells, such as the central nervous system.

帝王切開術後創部に発生した腹壁子宮内膜症の1例

本日の32歳のヤングママの病理が子宮内膜症だったので結構ショックだった。というのは、小生は腹壁の子宮内膜症の経験がこれまで2例あったにも関わらず、今回の症例では全くそのことが念頭にのぼらなかったからだ。

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2009年2月8日日曜日

臍周囲炎と子宮内膜症

僕はなぜか臍の周りの子宮内 膜症に縁があるようだ。といっても2例見ただけだが、その一人は先週来た32才女性で、前日から臍の上部(尿膜管って上にもあったか??)に1cm大の有 痛性腫瘤を認めるのだった。圧痛はかなりのもの。皮膚の発赤はない。特徴的なことは前々日から生理が始まっていたこと。子宮内膜症は鑑別診断の2番目にはきます。抗炎症剤3日で痛みは取れたが「来月生理時に再度痛んだら切りましょう」といっておいた。患者さんには悪いが、来月が楽しみである。
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この女性は下腹部の帝王切開創皮下にしこりが触れ、それが痛いということで外来に現れた。3ヶ月前のことである。エコーで15mmの不整型、境界やや不明瞭腫瘤(髙エコー)であった。先日やはり痛みがありエコー再検で17mmであり、残糸膿瘍あるいは残糸肉芽腫を考え局麻で切除したのだ。本日の病理で「子宮内膜の腺腔巣が認められ、子宮内膜症である」との所見に驚いた。二番目の文献にあるとおり「創部子宮内膜症は帝王切開後に出来やすい」とあり、なるほどこのママさんもそうだったのである。言葉は適切ではないが「播種」したのであろう。そして増殖した。子宮内膜はちょっと不思議な「正常組織」なのであるな。

下に引用したのは子宮内膜症が術創部に認められた症例報告である。

引用元
(1) 日本臨床外科学会雑誌Vol. 69 (2008) , No. 5 p.1232-1237

帝王切開術後創部に発生した腹壁子宮内膜症の1例
奥野 厚志1), 越川 尚男1)
1) 住友重機械健康保険組合浦賀病院外科
(受付 2008-01-21)
(採用 2008-03-19)



帝王切開術後創部に発生した腹壁子宮内膜症の1例を経験した.症例は30歳,女性.6年前の第2子出産時に帝王切開の既往がある.疼痛を伴い,次第に増大する腹壁創部腫瘤を主訴に来院した.画像検査所見では手術創部やや右側を中心にほぼ全長にわたる腫瘤が存在しており,月経周期に一致して症状が変化 し,CA125の変動も参考に腹壁子宮内膜症の診断で摘出手術を施行した.内膜組織の残存がないように周囲の健常組織を含めて切除を行い,筋・筋膜欠損部 にはメッシュによる補修を必要とした.術後1年以上経過しても症状の再燃はなく,画像検査でも再発徴候のない良好な結果を得た.腹壁子宮内膜症は非常に稀 な疾患とされるが,婦人科手術の既往があり,月経随伴症状を伴う手術創部腫瘤に対しては,本症を念頭におく必要がある.


子宮内膜症・良性腫瘍
・皮膚子宮内膜症の3例


野口 唯, 松島 隆, 深見 武彦, 島田 博美, 米澤 美令, 佐藤 杏月, 中川 道子, 立山 尚子, 西田 直子,
土居 大祐, 可世木 久幸, 朝倉 啓文
日本医科大学武蔵小杉病院産婦人科

子宮内膜症のうち皮膚に生じるものを皮膚子宮内膜症といい帝切術後創部に好発するため産婦人科領域では常に念頭に置く必要がある.皮膚子宮内膜症の3例を経験したので報告する.

症例1;38歳1経妊1経産(帝切1回)主訴;側腹部痛術後1年頃より創部皮下腫瘤が増大.創部右側に弾性硬,可動性不良,圧痛の ない腫瘤を触知.CA125は正常範囲.経腹超音波にて皮下に29×17mmの高・低輝度が混在する充実性腫瘤を,CT検査にて腹部皮下に38×18mm 大の軟部組織腫瘤を認めた.

症例2;39歳 2経妊2経産(帝切1回)主訴;帝王切開術創部痛術後1年頃から創部上端に腫瘤出現.徐々に増大し月経周期と 一致し疼痛出現.創部上端に圧痛を伴う可動性良好の腫瘤を触知しCA125が49U/mlと上昇.経腹超音波上直径26.2mm内部均一単胞性の低輝度領 域を,MRI上T1/T2強調像ともに腫瘤内に顆粒状高信号域を認めた.

症例3:37歳 1経妊1経産(帝切1回)主訴;帝王切開術創部痛術後3年頃から 創部近傍皮下に腫瘤出現.徐々に増大・月経周期と一致して疼痛が増悪.創部上端に圧痛を伴う可動性良好の腫瘤を触知しCA125が42U/mlと上昇.経 腹超音波上直径18.1mm内部均一単胞性の低輝度領域を,MRI上腹直筋に接しT1低信号T2高信号の腫瘤性病変を認めた.

上記3例とも腫瘤摘出術施行 し病理にて診断確定.術後再発なく経過中.

まとめ:本疾患は全子宮内膜症の1.9%を占め,うち80%が帝切創部に発生するとされている.最終診断は病理所 見によるため術前正診率は低い.婦人科領域の手術瘢痕に結節を見た場合本疾患を念頭に置くべきと思われた.

2011年1月19日水曜日

粉瘤三兄妹・・・

粉瘤と書いて「ふんりゅう」と読みアテローマとも言う。まあ外科や整形外科、皮膚科で診察する皮下腫瘤では最もありふれた病態であろう。何気なく粉瘤と書いて済ませるが、心得ある医師はこれを「表皮嚢胞」(or epidermal cyst)と記述する。こう書かなければいけない。少なくとも病理組織学的には「表皮嚢胞」が正しい病名である。 ・・・・・と最近まで思っていた。ところがどうやらこれはあやしい。粉瘤には少なくとも2種類(記載によっては3種類)があるようだ。そこで調べてみた。
  1. 表皮嚢胞  epidermal cyst
  2. 外毛根鞘嚢胞 trichilemmal cyst
  3. 脂腺嚢腫 steatocystoma
結論は出ない。皮膚科、形成外科、外科、整形外科等々なんだかよくわからない。この3種類をもって粉瘤とするとする記載は捜せば意外に多いのである。しかし小生は粉瘤に3. 脂腺嚢腫 steatocystomaを混ぜるのことには反対だ。なぜなら臨床像が余りに違いそうだ。(正直切除してこの病名を貰った記憶が小生にはないので、遭遇したことがないのかもしれないので強くは言えないが、まずもって大きさが違う。北大清水教授の「あたらしい皮膚科学」p367によると、せいぜい1~3mmの大きさであるといい、写真もいわゆる「粉瘤」とは異なる。 しかし2.外毛根鞘嚢胞 trichilemmal cystはこれはやっかいだ。実は相当多く遭遇している可能性があるのだ。これは頭皮下にできる粉瘤である。
















































これならおいらもよく見るというお医者さんは多いと思う。意外と膿(pus)が出なくて、きちんと取れたりしてうれしかったりする。これは病理学的には表皮嚢胞とよく似ているが、「ちと」違う。(すべての頭皮下腫瘤が病理に出されるわけではないからなあ・・・・
病理無しの症例もまた多いだろう)
これ外科的にはきちんと取れるのに英語ではトリキレンモーマという。(というようなつまらないことを大学院時代考えていたことを思い出した、失敬) このトリキレンマル シストというのは病理学教室では比較的ありふれた病態である。

切除後、暫定病名「epidermal cyst」と付けて病理に出して「trichilemmal cyst」と診断が帰ってきても全く恥じる必要はない。それはそれでよいのだ。ほとんど同じだし。

しかし頭皮に出来ているので外毛根鞘嚢胞かもしれないので「trichilemmal cyst」と付けて病理に出したとしよう。もしそれが正解だったら、病理の医者から尊敬されるかもしれない。

まあお好きにされよ・・・というような話だなぁ。

狭窄性腱鞘炎 (ドゥ・ケルバン de Quervain病)

もう随分長いおつきあいになる御夫人が昨日外来にやってきた。小生との付き合いは「腰椎圧迫骨折」である。90歳を超えるが昨年ご主人を亡くされて(この方も私が主治医であった)大変だっただろうに、ますますお元気である。「最近右の親指の根元が痛くて・・・・・」と言われる。丁度橈骨茎部あたりに圧痛がある。狭窄性腱鞘炎 (ドゥ・ケルバン de Quervain病)である。整形外科の外来先生もそう言われる。

これ①湿布と抗炎症薬で様子をみる→②ステロイド局注する→③外科的に腱鞘をオープンにするという3段階の治療がある。

大抵は①②で終わるようだが中には③にいたるヒトがいるようだ。ドゥ・ケルバン先生の時代からヒトは親指を酷使してきたのだ。ところで90歳のご婦人はやはり親指を酷使しているのだろうか?と訊いてみたところ「主人の回想録をワープロで打っているのですが、それが悪いのでしょうね〜〜」と言われた。「回想録とワープロ」である。たいしたものだ。思わず「回想録、出来上がったら読ませてくださいね」と言ってしまう。


ところでこのドゥ・ケルバン de Quervain病は親指の根元が痛む病気である。簡単なテストがありFinkelsteinテストという。親指以外の指4本で親指を掌側に包み込む→次いで手を尺側に屈曲させるというものだ。「昔、このテストを覚えたのだろうか私も」と思いながら自分でやってみたのだが「痛い!!!」と飛び上がってしまった。どうやら小生も潜在的なドゥ・ケルバン de Quervain病だったようだ。

2011年1月16日日曜日

ヘテロクロマチンと癌と「ヘリコス」

ヘテロクロマチンと癌の研究がすすんでいるかどうかよく知らないが、以下のような報告がサイエンスに出ている。ゲノム研究で暗黒大陸と呼ばれていた(ホントカ?)のがセントロメア近傍とテロメア近傍である。ほとんど発現遺伝子がない(ことになっている)から興味を持たれなかったという歴史的背景がまずある。ついで技術的に解析が極めて困難であったことがある。その理由は反復配列が極端に多いからである。反復配列が多いと、クローン化もシークエンスも難しいのである。シークエンスした断片がどこに存在していたか決めるのがこれまた難しい。FISHなどの一番適確で異論の少ない検出方法が難しいこともある。取れてくる断片、断片が極めて似ているからend-sequence alignmentが極めて困難である。今その技術的障壁が克服されているのか興味が無いわけではないが、著者の一部が「ヘリコス」あることから技術的なbreakthroughが論文中に提出されている可能性はあるかもしれない。シークエンス技術に関してはヘリコスの評価は必ずしも高いものではなかったようであるので、この論文でヘリコスがどのような貢献を果たしているのかは興味深い。

Published Online 13 January 2011
Science Express Index
Report

Aberrant Overexpression of Satellite Repeats in Pancreatic and Other Epithelial Cancers


David T. Ting1,*,Doron Lipson2,*,Suchismita Paul1,Brian W. Brannigan1 , Sara Akhavanfard1,Erik J. Coffman1,Gianmarco Contino1,Vikram Deshpande1,A. John Iafrate1,Stan Letovsky2, Miguel N. Rivera1, Nabeel Bardeesy1, Shyamala Maheswaran1 and Daniel A. Haber1,3,†

1.Massachusetts General Hospital Cancer Center and Departments of Medicine, Pathology and Surgery, Harvard Medical School, Boston, MA 02114, USA. 2.Helicos BioSciences Corporation, One Kendall Square, Cambridge, MA 02139, USA.3.Howard Hughes Medical Institute.

Abstract

Satellite repeats in heterochromatin are transcribed into noncoding RNAs that have been linked to gene silencing and maintenance of chromosomal integrity. Using digital gene expression analysis, we show that these transcripts are greatly overexpressed in mouse and human epithelial cancers. In 8 of 10 mouse pancreatic ductal adenocarcinomas (PDAC), pericentromeric satellites accounted for a mean 12% (range 1 to 50%) of all cellular transcripts, a mean 40-fold increase over normal tissue. In 15/15 human PDACs, alpha satellite transcripts were most abundant and HSATII transcripts were highly specific for cancer. Similar patterns were observed in cancers of lung, kidney, ovary, colon, and prostate. Derepression of satellite transcripts correlated with overexpression of the LINE-1 retrotransposon and with aberrant expression of neuroendocrine-associated genes proximal to LINE-1 insertions. The overexpression of satellite transcripts in cancer may reflect global alterations in heterochromatin silencing and could potentially be useful as a biomarker for cancer detection.

* Received for publication 28 September 2010.
* Accepted for publication 4 January 2011.

2011年1月14日金曜日

chromothripsisなる新しい概念が提唱されたよ。

























癌化に伴うゲノムの改変は普遍的におこるイベントとして認知されている。そしてこれは長年かかってゆっくり起こってくるものと考えられていた。しかしある種の腫瘍ではこの改変が、少なくとも一染色体レベルの改変なら数十から数百の断片化を経て一挙に改変されてしまうという驚くべき事実が報告された。


Cell, Volume 144, Issue 1, 27-40, 7 January 2011

Massive Genomic Rearrangement Acquired in a Single Catastrophic Event during Cancer Development

Philip J. Stephens, Chris D. Greenman, Beiyuan Fu, Fengtang Yang, Graham R. Bignell, Laura J. Mudie, Erin D. Pleasance, King Wai Lau, David Beare, Lucy A. Stebbings, Stuart McLaren, Meng-Lay Lin, David J. McBride, Ignacio Varela, Serena Nik-Zainal, Catherine Leroy, Mingming Jia, Andrew Menzies, Adam P. Butler, Jon W. Teague, Michael A. Quail, John Burton, Harold Swerdlow, Nigel P. Carter, Laura A. Morsberger, Christine Iacobuzio-Donahue, George A. Follows, Anthony R. Green, Adrienne M. Flanagan, Michael R. Stratton, P. Andrew Futreal, Peter J. Campbell

Summary

Cancer is driven by somatically acquired point mutations and chromosomal rearrangements, conventionally thought to accumulate gradually over time. Using next-generation sequencing, we characterize a phenomenon, which we term chromothripsis, whereby tens to hundreds of genomic rearrangements occur in a one-off cellular crisis. Rearrangements involving one or a few chromosomes crisscross back and forth across involved regions, generating frequent oscillations between two copy number states. These genomic hallmarks are highly improbable if rearrangements accumulate over time and instead imply that nearly all occur during a single cellular catastrophe. The stamp of chromothripsis can be seen in at least 2%–3% of all cancers, across many subtypes, and is present in ∼25% of bone cancers. We find that one, or indeed more than one, cancer-causing lesion can emerge out of the genomic crisis. This phenomenon has important implications for the origins of genomic remodeling and temporal emergence of cancer.

chromothripsis: Genomic features imply chromosome breaks occur in one-off crisis (“chromothripsis”)

2011年1月13日木曜日

腱鞘巨細胞腫:手関節掌側皮下腫瘍の病理

腱鞘巨細胞腫という病気がある。手指の軟部腫瘍の中では結構ポピュラーなようだ・・・・・知らなかったが。例えば2004年の下の文献では35例中14例だからかなり多い。先日手関節掌側の皮下腫瘤を手の外科で手術して貰ったらこの病名だった。ガングリオンかと思ったら違っていた。お恥ずかしい。


  • 手部軟部腫瘍症例の検討:Treatment of soft tissue tumors in the hand
    畑中渉*, 柴田定**, 越智比呂子**, 高畑直司**, 佐々木豊***
    *勤医協中央病院整形外科, **勤医協苫小牧病院整形外科, ***勤医協中央病院病理科
    北海道整形災害外科学会雑誌, 46(1) : 19, 2004.

    によると 1993年から2002年までの10年間に, 手術的に加療し, 病理組織学的診断を得た35例を対象とした. なお, ガングリオンと診断された症例は除外したところその頻度は

    1. 腱鞘巨細胞腫が再発手術例1例を含み14例と最も多く
    2. 表皮嚢腫が6例,
    3. 血管腫が5例,
    4. 脂肪腫3例,
    5. グロームス腫瘍と
      骨外性骨軟骨腫が2例,
    6. 神経鞘腫と腱鞘線維腫, 顆粒細胞腫が1例であった.
Wikiによれば、良性腫瘍であるので正確な発生頻度を記載した報告はないが、整形外科医が治療目的に切除する良性軟部腫瘍の中では脂肪腫、神経鞘腫に次いで多い疾患である。と書いてあるがホントかね??

まあ少ない病気ではなさそうであるので覚えておこう。小生のような非整形外科医は簡単に切除してはいけないと思った。というのは再発が多そうであるから。

手背は余りこわいとは思わないが、手掌はずいぶん怖いと「ますます」思う今日この頃である。 No man's landは限りなく広いな。

2011年1月12日水曜日

9例目のモンドール病

こんなにモンドール病が多いのなら、もうノートするのはやめようかな。9例目のモンドールが外来に。50歳女性。左の胸が痛いということで外来へ。左というのはやはりポイントなのか。実はこの方、一週間前に息子と喧嘩して左胸を足蹴にされたらしい。これは肋骨を痛めたのだろうと丁寧に肋骨を触診するが、なんかポイントがズレているのだな。頭は完全に肋骨骨折か肋軟骨膜の挫滅に向いている。モンドールなんて思いもしない。で、内側に触診が伸びると、あるのだ有痛性の索条物が。「これはまたしてもモンドールではありませんか」

蹴られて外傷性の血栓性静脈炎になったのだろうね。このひと月で2例。再来を含めると3例目のモンドール、過去2年半で9例目。やはり多いよな。

2011年1月10日月曜日

2011年を迎えて

2011年を迎えても去年までのように文章を一ひねりする気分にならないのは、アカデミズムから本格的に離脱し始めていることの兆候なのか?それとも単なる気分の問題なのかわからない。

この年になっても勉強することは山のようにあるとの思いは変わらないし、日々実感される、そんな外来であり病棟に小生はいる。

さて、1人主治医で患者を持つようになって4年になるが、胃が痛くなるような病態・環境・状況を抱えたヒトがいつも必ずいる。いつも思うことは、主治医の自分が前に進めないと、物事は解決しないということと、動けば必ず事態は良い方向に向かっていくということである。この年になって実感するのもおかしな話だが、あれこれ考えるのは良くないということだ。見定めたら、あとはできるだけ早く飛べということだな。年をとることのメリットは助けてくれる、相談に乗ってくれる仲間がいつのまにか増えていると言うことだろう。ありがたい話である。

年頭にあたって特に言うことでもないが、今年も逃げずに頑張ろう。なんでも首を突っ込むほどの余力はないが、すれ違っただけの知り合いでも、何かの縁だと思いたい。どんな人でも縁がある限りは診よう。最善手が再紹介であっても良いではないか。自分の持ちカードを増やすことは幾つになっても大事だ。自分から寄っていかないと経験は増えないぞ。

学会について:なるほど一年以上学会に御無沙汰した上で、久しぶりに学会に出てみると面白いことも多い。ついて行けないほど学問は進歩しないだろうと思っていたが、これは悪い意味で裏切られなかったがね。願わくはもっと革命的に進歩してくれていたらもっと面白かったのに。

しかし、なんだろう、なんだかややこしいご時世にはなっているのだね。なんでもかんでも診療指針というのが出来ていて、これに則った治療が求められる風潮はますます強くなっている。エビデンスとやらが巾をますます効かせているわけだ。化学療法でエビデンスを前面に出して標準治療をどこでも誰でも受けられるようになったのは良い。むちゃくちゃ金がかかるがね。でもその後が問題だな。エビデンスがある治療なんて数が知れているのである。大抵の治療法はやられた後の患者殿がこまるのではないか? 「もう治療がありません」としか言えない医者が急増しているのではないかと想像する。だってそれ以外の「あやしい」治療を彼らはやったことがないからね。そうするといわゆる「癌難民」と呼ばれる人々が生ずる。かれらの相談に乗れる医療施設が減ってきているのではないかと危惧するものである。大学や基幹病院との付き合いの中で、そのような風潮を感じさせるこの1〜2年であった。

かつてボクのいた病院では癌であれば初診から最後まで全て診ていたので(中には20年以上の付き合いになった患者殿もいるわけだ)、標準治療もも怪しいこともなんでもやっていた。(怪しいといっても第三相試験までには至らない治験レベルの治療であったわけで、それなりに学問的根拠はあるのである。今世の中で言うエビデンスが無いだけだ。誤解無きよう願いたい。)癌治療の5年後がいまより数段進歩していることが予想できるなら、我慢もしよう。でもどうだろう。なかなか難しいような気もする。

病院とつながりを断たれずに治療を変わらず受ける患者・・・というイメージは今後なかなか難しくなりつつなろう。患者はあくまでも治療を受けたいのである。「もう貴方への標準治療は無くなりました」といって放り出されたくないのである。問題なのは医療経済学がますます伸してきていることである。エビデンスのない、非標準治療と見なされる可能性のある治療は保険診療として通らなくなる事例がますます増えてきそうだということである。医者はそちらサイドからの横やりには極めて弱い。レセプトに瑕疵の多い医者というのは、どう考えても病院経営サイドが嫌いそうである。

なんの話だろう?  まとまりのない愚痴になりそうだから、年頭の所感など書きたくないと今年は思ったのか?でも、書いてしまった(笑)。

2011年1月9日日曜日

街場のマンガ論:面白かったよ。

内田樹さんの本は出来るだけ読むようにしているが、最近はなかなか追いつかない。ご自身でもでも何冊出したかわからないくらい出版数が多いのである。「断筆宣言もどき」をされたのが去年の秋ころだったか・・・。しかしその後も本は出る出る。この人の本はおなじこと、同じモチーフの繰り返しである。それでも買ってしまう。買う理由というのがある。何冊に一回は「再度腑に落ちる」ことがあるからである。

でも去年の本にはあまり共振させられることが少なかった。日本辺境論なんかは随分文章が荒れていると思ったりもした。で、今日、本屋さんに言ったら「街場のマンガ論」という本が出ているのに気が付いた。街場のシリーズは何冊かあるから随分古い本だと勘違いしていたのであろう。手に取ると昨年10月の本だという。あらま。立ち読みしている間にはまってしまった。これは久しぶりに面白い本であった。

ベトナム戦争の終焉で日本の左翼活動が事実上終わり、男子はここで引退を決め込んだが、心ある女子選手たちがその心意気を引き継いで描きつつけたのが一連の女子マンガだというのだ。この世代の心意気のある男子・女子のテーマは脱アメリカ。反アメリカ文明である。日本の女子マンガには3つの世界があり、語られる語法には7つの相があるという説明にはのけぞった。女子マンガにはまったく縁のない小生であるが、こんな処に世界に冠たる日本文化が息づいているのね。読んでみてもいいけど、リテラシーに欠ける小生には訳がわからん世界のようだな。このあたりは養老孟司の感想と同じであるが、養老さんよりは読めるかもしれないと思ったりもした。

とにかく日本の少女マンガはゲイ、同性愛から不倫、倒錯までありとあらゆるテーマを扱うが、決して題材に現れないのがアメリカの学園生活であるという。実際読んでいないので判断がつかないが、これが本当だとしたら随分面白い。アメリカ的なものを徹底的に嫌悪する姿勢、旧西欧的なものへの好感が通底しているらしい。これが日本の女性の間で強く受け入れ続けられていることが面白い。こんなマンガ論はなかなか聞いたことがなかっただけに新鮮だった。

これが本当だとしたら日本のアニメ・マンガが世界で幅広く受け入れられている理由がわかるではないか。それは「アメリカ的なものへの嫌悪」「アメリカの存立基盤であるところの旧ヨーロッパ的なものの排除:その姿勢への反発」これが日本のマンガに暗喩・通底しているからということになりそうだから。

面白いね。

シドニー・ブレナーの伝記:「ご冗談でしょブレナーさん」


シドニー・ブレナーの伝記といえば知る人ぞ知る沖縄の出版物(琉球新報社)が存在する。2005年に発行されている。シドニー・ブレナーが大好物の小生はもちろんその伝記を手に入れて読んだが、正直あまり質の良い自叙伝ではなかった(ような気がする)。

エレガンスに魅せられて—シドニー・ブレナー自伝

ルイス・ウオルパート (著), シドニー・ブレナー, エロール・フリードバーグ, エレノア・ローレンス, 丸田 浩, 丸山 一郎, 丸山 李紗
  • 単行本
  • 出版社: 琉球新報社 (2005/03)
  • ISBN-10: 4897420660
  • ISBN-13: 978-4897420660
  • 発売日: 2005/03
ところが新年最初のサイエンスに次のような記事が載った。

Science 7 January 2011:
Vol. 331 no. 6013 p. 32
Molecular Biology

Surely You're Joking, Mr. Brenner

Sydney Brenner A Biography by Errol C. Friedberg
Cold Spring Harbor Laboratory Press,
Cold Spring Harbor, NY, 2010. 379 pp. $39. ISBN 9780879699475.

Summary

This first biography of Brenner draws on its subject's personal recollections as well as correspondence and interviews with his friends and colleagues.

CSHLプレスから出たこの自叙伝は初版が2010年9月ということになっている。著者は先の琉球新報から2005年に出た本の執筆者のひとり Errol C. Friedbergなのである。しかしながら小生にはこの本と先の2005年版の関係がよくわからない。もっと言えば先の自叙伝には飽き足らなかった小生はこの新版を購入すべきかどうか迷うところである。おおいに悩むなぁ。

Sydney Brenner: A Biography

Author: Errol C. Friedberg
Format: Hardcover
Publish Date: September 2010
ISBN-10: 0879699477
ISBN-13: 9780879699475
List Price: $39.00


謎である。世界に先駆けて日本版のブレンナー自伝があるということなら、稀覯本的には面白いね。