2015年6月26日金曜日

LECSという内視鏡と腹腔鏡の合わせ技について

LECSという内視鏡と腹腔鏡の合わせ技について最近よく聞くようになった。

自分の持ち患者で最初に関係したのは二年前の正月頃にお見えになった42歳女性の噴門部GISTであった。boring Bxでは低悪性度であったため胃部分切除を考えたのだが、結局全身麻酔で腹腔鏡手術を行いながら、胃内視鏡でアシストするという手技で大した侵襲もなく切除ができたのだった。これが小生にとってのLECSの初の症例であった。

最近十二指腸腺腫で15mmくらいあるやや怪しげな症例にであった。昔ならばPD(膵頭十二指腸切除)も考えるような症例であるが、これは上手な内視鏡医にESDをお願いしたところ、LECSが良いのではないかと逆にサジェストされた。

LECS: Laparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery のことである。

現在どのような症例が対象になるのかしらべてみた。

腹腔鏡内視鏡合同手術研究会



というのが5年前くらいからあり今年の10月には12回目が開かれるという。消化器外科医と内視鏡医がコラボするというのだからたいしたものである。適応症例がどんどん拡大するとは思えないが、現状どんな病気が対象になるのであろうか?


研究会の抄録を8回分読んでみた。

その結果対象のほとんどは

1)胃粘膜下腫瘍
2)十二指腸病変


であることがわかった。なるほど小生の2例はこれらに当てはまる。

この他には

横行結腸巨大脂肪腫(結局開腹しても良かったのでは?・・と思われるなあ)
食道平滑筋腫(粘膜下腫瘍)などが僅かに報告されている・

今後はくれぐれも無理はしないでくださいね。と申し上げたい。

でも

1)胃粘膜下腫瘍
2)十二指腸病変

特に解剖学的に問題のある症例には絶大な効果があるというのは小生の症例で実感できた。これは本当である。


2015年6月24日水曜日

CSCI(オピオイド持続皮下注)のprotocol

CSCIとはオピオイドの持続皮下注だが、そのprotocolをメモしておく。

最近は我が社のinfusion pumpが新しいものに変わり、特にレスキュー法が更新されたので。

我が社ではフェンタニルかオキファストがよく使われる。


2015年6月14日日曜日

聴くとは、動けなくなることだ。





















ここから引用。

とても良い言葉である。 ひとは音を、言葉を、楽曲を、選んでしまう。絵も写真も文字もそうだ。視覚的にも選んでしまうようだ。端的にいえば、聞きたいから聴く。見たいから観る。でも時にハッとする。聞きたいとも、見たいとも思っていなかったものに出くわして。

さて、ハッとすることがなくなった自分に気がつくことになったらずいぶん寂しいことだろう。これからも身じろぎできないような瞬間に出会いたいものだ。

鷲田さんの折々の言葉は順調だ。鷲田清一先生は阪大総長時代にその講演をお聞きしたことがあるが、素晴らしいお話だった。それこそ身じろぎできなかった思い出である。総長にこのような人材(失礼!)を持ってこれる大阪大学の懐の深さには感心した。鷲田先生のお話は「とてつもなく深い真理」を18歳の高校卒業生の体の深いところに注ぎこむというようなお話であった。気持ちよく聞いていられるが、聞いた当初はわからない。20年くらい経つとじんじん効果が現れるというような話である。こんな話は理系の先生からは聞けないなあと今更ながら思うのは、最近国が大学の文科系学部を縮小(廃止?)するとかいう政策を打ち出したからだ。

この「折々の言葉」のようなコーナーに文科系のエッセンスーひとつの極致が現れていると思うのだが、このようなものが無駄だと思うひとがいるのだろうね。とんでもなく残念なことである。鷲田清一先生のような方を一人産むのには同じような志を持つひとが1000人はいるだろう。このようなことを述べているのが、最近の内田 樹である(たとえば「旦那芸について」)。小生は「保守」という言葉があまり好きではないが、鷲田さんや内田さんの考えておられることの根幹はまぎれもない保守のような気がする。彼らの言葉が好きな小生は、実は「保守」なのかしら。

内田さんも頑張っているのに最近はマスコミが無視を決めている。一時は「朝日新聞」もよく投稿を取り上げていたが、久しく投稿を見ない。ここ二〜三年くらいは大江健三郎とも疎遠のようだし最近「朝日新聞」まで転向しているような気がしてしょうがない。そんなことをしたらますます売れなくなりますよ朝日さん

今頑張っているのは憲法学者の先生方である。「曲学阿世」にはなりたくないという矜持があふれている。