2023年10月8日日曜日

シカゴマラソン:女子も素晴らしい記録(2時間13分台)なんだけどアセファの前には霞む

 シカゴは女子も素晴らしかった。優勝したハッサンは2時間13分44秒だもの。

アセファの記録さえなければ、これは世界最高記録だったはずの記録。

女子も11〜13分台が当たり前になってぅるんだろうな。









全体を見たい方は表をダブルクリックしてください。

男子マラソンも世界最高記録が・・・ 2023年シカゴ:ケビン・キプタム 2時間0分35秒!

 男子マラソンも世界最高記録が・・・ 2023年シカゴ:ケビン・キプタム 2時間0分35秒!


キプチョゲはこないだのベルリンで最高記録を逃したが、本日のシカゴではケニアのキプタムがキプチョゲの前世界最高2時間1分9秒を34秒上回る2時間0分35秒で優勝した。

普通のレースで二時間を切るタイムがでるのも間もないだろう(3年以内くらいか?)

このレースキプタムはすべての5kmラップを14分30秒以内でこなし、30〜35kmが13分51秒、35〜40kmが14分1秒と超絶的スピードで走り抜けた。上がりは6分12秒である。

まったくすごい記録である。


もうひとつこのレースもちろんnegative splitなんだけど、その前半は1時間48秒なんだ!!!

後半が一時間かかっていない。59分47秒である。

20km走ったあと、ハーフマラソンを59分台で人間は走れるものなんだ。

まったくなんという・・・・




2023年10月7日土曜日

ティギスト・アセファの世界最高記録 によせて:女子マラソン 2023年ベルリン

 

先週の日曜日ベルリン・マラソンでエチオピアの女子マラソン選手ティギスト・アセファがこれまでの世界最高を大きく上回る2時間11分53秒の歴史的大記録で優勝した。

 Youtubeの同時放映でこの偉業を観戦できた幸運に感謝したい。

このレース当初は男子キプチョゲの世界最高記録更新(および2時間1分を切るタイム)が期待され、放映の焦点は男子にあった。レースが折り返しを迎えたあたりから、女子の記録が破格に進んでいることを知り、小生の関心はアセファ一点となる。ベルリンのHPには個人情報が経時的に掲載される(5kmごとのラップ、予想走破タイムなど)が、これをBib6に合わせるとリアルタイムでアセファ選手の記録が掲載されていく。画面は依然としてキプチョゲ中心であったが、画面右側に併設されていたチャットには、ただならぬ状況に気がついたマラソン・コアファンによるアセファ情報の書き込み(英語ですが)が増えていく。小生も普段はやらないチャット書き込みを何回行ったことか! 

ときたま映る女子映像ではペーサーと思しき男子選手がとてもレース展開が上手であるように思えた。中間点が1時間6分20秒というかなりしんどいペースを無難にまとめ、さらにマラソンでもっともきついとされる30km以降につなぐ。アセファの脚は衰えず、汗もちょうど良い加減であり、なにより表情がイカしていた。「これはなにかをやりとげそうだ」という予感を多くの人に感じさせた。そのころ世界記録の更新がありうるかもしれないと多くの人が期待し始めた。(しかしマラソンの世界記録更新は、最後の最後までわからないものだ。多くは裏切られるのだということを皆知っている) 

アセファは20kmから25kmを15分48秒のペースで刻むと、25kmから30kmは15分32秒、30kmから35kmは15分29秒とさらにピッチを速めた。 

男子キプチョゲがゴールしたのちは、アセファの画像が中心となる。威風堂々と走っている。小生は東京オリンピックでのアベベの走り、同じエチオピアの英雄の60年前の走りを思い出した。世界最高ペースで間違いなく走り抜きそうだと思うとうれしくなったが、そのスピードがゴールに近づくにつれますます加速するのを見て最終ゴールの記録予想に汗がでそうになった。 

アセファ選手は40kmを2時間5分13秒で通過したあとは、ラストの2.195kmも6分40秒。後半のハーフは1時間5分33秒と、前半より50秒ほど速いタイムでまとめ、従来の世界記録を2分以上縮めたのだった。 

30km以降のラップ・タイムが15分48秒→32秒→29秒と短縮していったのも驚きだが、注目すべきは上がりの2.195kmのタイム6分40秒である。 

 マラソンが好きな方ならご存知であろうが、上がりの2.195kmのタイムの男子の目標は6分36秒である(であった、ここ50年くらい)。マラソン記録の目標の一つはkm3分を切るスピードで走ることであるが、 このスピードで走ると2時間6分36秒という記録がでる。 

日本男子で2時間6分36秒はいまでも好記録であり、超一流の証といいたい。その6分36秒にほとんど迫る6分40秒でアセファは走り抜けたのである。しかも40kmを走破し終えた、最後の最後のペースである。これはすごい記録なのである。マラソンのコアファンならこれがどれくらいすごいことか、同感してくれるものと思います。 

そしてアセファ選手はそのゴール後に軽くジャンプをしながら、まだまだ余裕の表情だった。小生にはこれが60年前の東京オリンピックのアベベ選手のゴール後の姿に重なる。余裕で芝生の上での敏捷な屈伸運動を行い、その後平然と歩いた姿である。「あと一回走れるがごとく・・」と当時形容された(ような気がする)

従来の世界最高記録を2分以上縮めたことはすごいが、女子では2000年初頭に現れたポーラ・ラドクリフの2回の世界最高記録更新が思い出される。2002年シカゴの2時間17分18秒→2003年ロンドンの2時間15分25秒では2分にわずかに届かないものの1分53秒の短縮である。当時小生はこの15分台は未来永劫更新されることはないものと思っていた。 そして確かに次の世界最高までには16年を要している。次の最高記録は2019年ブリジッド・コスゲイの2時間14分04秒であり1分21秒の更新である。 

今回は2分11秒の短縮であり女子マラソンの世界最高記録には2時間13分台と12分台が存在しないことになってしまった。(実際には16分台もありませんが)。 

さてマラソンで2時間11分というと、どうしても1960年台の男子マラソンを思い出してしまう。二度のオリンピック・マラソンをそれぞれ世界最高記録で制覇したエチオピアのアベベ・ビキラ。この頃目まぐるしく記録は更新されたが、アベベ以外にも東京大会銀メダルのヒートリー、もちろん円谷選手。別大で世界最高を出した寺沢徹、ウインザーで世界最高を出した(福岡大学)重松森雄などなどの雄姿が目に浮かぶ。2023年の現在でも寺沢さんも重松さんもお元気のようですが、日本の陸上界やマスコミはどうも、この方々への敬意が足りないと小生は常々不満である。もっと大事にしてあげてほしいです。 

最後は愚痴になってしまったが、小生実は久しぶりにマラソン熱が再燃しており、明日はシカゴ・マラソンをネットで追いかけようと思っています。 

 シカゴの女子は良い記録が出そうな気がします。

2023年5月7日日曜日

ChatGPTでキリスト教を学ぶ

5月に入り、ChatGPTの話題が少し落ち着いてきている。相変わらず書店の書棚は変化が少ない。(ネット上の話題はますます盛んであるが、一般人が実際に使える環境の変化があまりないのが現状)

下は4月23日のものだが「AI」という言葉のタイトルを持つ既刊書に「ChatGPT」の帯を付けただけの俄仕立ての本はいくつかあるが、 「ChatGPT」本は一冊だけだ。




下は5月5日の別の中堅書店の書棚だが「ChatGPT」の文字が目立つ月刊誌はまだない。


オンラインの書店で調べると、 kindle本は数多く出ているが、紙の本だと・・・





この程度である。

月刊誌では5月24日発行の「月刊PC21」が特集を組むようだ。




さて「ネット上の話題はますます盛んであるが、一般人が実際に使える環境の変化があまりないのが現状」と書いたが、実際には小生行き詰まりかけている。

まず一回に処理できる文字数の限界に耐えられない。少なすぎるのである。私あまりトリッキーな技を持たないので、APIというものを使った二次ソフトやpromptを工夫することによる技術になじまない。

ChatGPTそのものに数万文字をほおり込みたいのである。今の環境だと日本語では数千文字が限界である。よくYoutube上には「小説を作らせる」とか「論文の要約を作らせる」とか出ているが、400字原稿用紙で100枚レベルのものを処理させたいのに、今のプロトタイプでは受け付けない。処理が止まるのである。

ここを迂回するためのテクニックを探すと、とりあえずの解決法が出てくるのだが、実にまどろっこしい。一挙に受け付けてこその ChatGPTでしょう。

2月ころにあるYoutuberが「英検一級の問題を解かせる」という動画を上げていたが、これだけの量のテキストを一挙にアップロードすることはできそうにないことに気がついたとき、小生はこの動画の真偽そのものに疑問を抱いた次第。その目で見ると、消化のよくない投稿もまた多いのだこの世界。

とはいえ、既存テキスト量の多い領域(たとえばキリスト教)について英語で問いかけた場合のやりとりは素晴らしいのである。この連休ももっぱら「キリスト教」で楽しんだ。不埒だと思わないほしい、私はキリスト教とは無縁であるが、とても興味がある人間なのだ。

たとえばこんな問である。

(1)パウロがいなかった場合のキリスト教がどうなっていたと考えられるか、過去の議論を教えて
(2)西ローマ帝国が滅亡するとき、ローマ教皇庁は焦ったと思うけど、自らの存続に対してどのような手立てを打ったのか教えて?
(3)ユダヤ教徒は「新約聖書」や「イエス・キリスト」をどう捉えているのか?
(4)キリスト教徒でかつ無神論者であることについて、どう説明されるのか?
(5)モーゼの出エジプトについて、エジプト側の文献・記録にはどのようなものがありますか?

などなど、本当にいろんなことを教えてくれる。(英語の問だと、解答はより詳しく体系的です)

2023年4月22日土曜日

ゲノム解析とChat GPT

最近での小生のChat GTPとの会話は「キリスト教」関連と「ゲノム解析」関連が多いです。

「ゲノム解析」ではこの一年の進展(T to T projectなど)がChatGPTのデータベースに入っていないこともあり、やはり頼りない。ヒトゲノムで最大の遺伝子はなんですか?という問いには、まだ正確には答えきれないようです。

「大きなゲノムサイズを持つ遺伝子を10個列挙しなさい」という問に対する解答も、今ひとつ信頼感がありません(日本語でも、英語でも)

だけどChatGTP が偉いのは 最新のゲノムデータベースであるGRCh38p.14に探しに行くのです。米国 NIHのNCBI(National Center for Biological Information)という老舗の巨大なデータベース群のなかで、おそらく最もふさわしいと思われるGRCh38p.14を探しに行く。

偉いなあと思いますが、まだちょっと的が外れているようです。

現在GRCh38p.14では、多くのヒト染色体が端から端まで一本の構造として、遺伝子地図が記載されています。

知らないうちに下図のようなマップが見れるようになっています。小さな19番染色体の例を載せましょう


全長で51.8MBに及ぶ直線上に1385個(現状で!)に及ぶ遺伝子が配列されているのです。これって凄くないですか!!

もっともGRCh38p.14も完璧ではありません。

13〜15番と21〜22番の短腕はアラインメントが載っていません。これは昨年のT-to Tプロジェクト(サイエンスの論文群)でもアラインを取るのが難しい領域と報告されていました。

このあたりが更に洗練されてきて、 ChatGPTのデータに組み込まれてくると、視界は開けてくるのでしょう。



ようやくメディアに Chat GTP登場

 ようやくメディアに Chat GTP登場

(1)東洋経済(2023年4月22日号)




(2)週刊新潮(2023年4月27日号)

今朝の朝刊から




ようやくここまで来たが、週刊誌がなぜ今ごろになって記事にするのか?なにかきっかけがあるのか、それが見えない。

  1. ChatGPT発表(2022/11/30)から5ヶ月
  2. 報道ステーション(2023/2/11)が取り上げてから2ヶ月
  3. NHK7時のニュース(2023/2/12)が取り上げてから2ヶ月
  4. 朝日新聞一面記事(2023/2/13)が出てから2ヶ月
  5. GTP4が発表(2023/3/15)されてから1ヶ月
  6. イタリアで禁止令(2023/3/31)が出てから20日
  7. サム・アルトマンが岸田首相と会談(2023/4/10)して12日
  8. 書店で初めて単行本を発見(2023/4/12)してから10日
これからは怒涛の勢いかもしれない。みなさんも気をつけておかないと、ChatGPT以前がどんな時代だったか、すぐには思い出せなくなると思う。

リタラシーがいつの間にか変化している自分だけは避けたい。例えば将棋の世界では藤井聡太さんたちの対局を「優しく見守る神のAI」が一手ごとに「評価値」を出しつつ進んでいくが、これって当たり前のことですか?

局面を大きく変える一手の場面は、昔のほうが緊張感があったのでは?気がつく人はごくわずか。数手先に初めて気がつく視聴者が多かったりする。

今では数字が大きく振れる(+300→−800)。対局している本人たち以外が、先に気が付かされる。なんとも奇妙な情景です。

さてAIの進化に巻き込まれて身動きが取れなくなるのが一番困るので、ここは自分から積極的に関わりを持つことがよろしいかと思う。とにかく面白いです。いい加減なことも含めてです。人の履歴などを作らせると、よくこんないい加減な、それらしい履歴書をでっち上げるものだと感心します。(続く・・・)



2023年4月16日日曜日

今朝の谷川俊太郎の詩作

 今朝新聞を読んでいたら、詩人の谷川俊太郎さんの詩に気がついた。

この詩がいいんです。何度も何度も読むがますます良いので、忘れないように写メを貼り付ける。(谷川さんも著作権云々なんて言わないだろう・・・ホントかね?)















旧知の96歳は、すなわちご自身でもある。

口が達者でスマホを枕頭においている高齢者は、当院にもいくらでもいる。

ChatGTPが大好きな90歳になったばかりのおばあさんも知っている。

世の中が気になって仕方がない、のではなく、気にしているという温度感が良い。

死のうが朽ちようが人にはまだ先がある・・というのは、すでに自分を離れて、後世のことを言っているような気もする。この「人」というのは「人類」のことを言っている。ある意味で達観とはこんな境地か。

あるいは96歳の自分の未来への未練のほうが、あるいは「たのしみ」の方が大きいと読むか?

文鳥を誤って逃したことを、ほどなく超克できる人間に僕もなりたい。文鳥にとっては新たな旅立ち、それが家出なんだと。長い間変わることがなかった状況の突然の転換に即応できてしまう。なかなかできることではないが、パラダイムの変化に柔軟に対応できてしまう。

できてしまう人になってしまった・・・か? 

哀しいくらいですな。

あるいは乾杯という「見栄」をきれる人でい続けたい。これならできそうだ。得意です。


2023年4月15日土曜日

最近のChatGTP :イーロン・マスクとサム・アルトマンおよび日本政府

 最近のChatGTPについて

(1)書店の様子:変わらず無視が続いている。発表から5ヶ月、騒がれだして3ヶ月はたとうとするのに。新聞やテレビ(特にテレビ東京は積極的)ではほぼ毎日報道があるが、週刊誌、月刊誌は「面白いように」無視が続いている。どうしちゃったんだろう。新学期の大学学長挨拶(ChatGTPとレポート作成等々)が話題になったり、小学校や中学校での態度がテレビにでてくるのに、本当にどうしちゃったんだろう。


(2)そんな中、書店で初めて「 ChatGTP」を表紙に掲げた単行本を発見した

         先読み!IT×ビジネス講座 ChatGPT 対話型AIが生み出す未来


という本でした。1540円で174ページ。アマゾンでは書籍版でChatGTPを謳った書籍はいまだにこの本しかないので、これが記念すべき第一号ということであろう。(ちなみに発行日は4月6日であった)。

(3)イーロン・マスクの偽善:イーロン・マスクが音頭をとってアップルの創業者ウォズニアックを巻き込んで「生成AI開発一時中断キャンペーン」を巻き起こそうとしていたが、一方でOpen AIのサム・アルトマンは最近日本を訪れ斬新な「7つの提案」を発表している。Open AIの立ち位置は微妙であるが、「日本語 ChatGTP」開発を推めることが、今後の日本の将来への鍵だと小生は思うので、ぜひOpen AIと日本は仲良くしていってほしいと思う。更にイーロン・マスクは自分でAIの会社を立ち上げるとの報道が出た。反対運動で時間稼ぎをしたかったのではないかと疑われているイーロン・マスクである。




2023年4月5日水曜日

メディアの終焉について

 もと癌研有明の中村祐輔さんのブログはシカゴ大学時代から楽しみの一つであり、舌鋒は昔ほど先鋭ではないものの、ご意見番としてはやはりありがたいブログであると感謝申し上げる。そのブログを拝見していたら、「八重洲ブックセンターが今日で閉店」という記事が出ていた。なんとも寂しい話である。44年前開店ということだが、そのころ私は大学生であり、長期の休みになると東京に戻っていたが、この巨大な本屋さんがオープンすると早速馳せ参じた覚えがある。そのころ本屋さんといえば、神保町であり、新宿の紀伊国屋、日本橋の丸善(正直あまりいったことはなかったが)それに池袋の西武のブックセンターが普段は田舎者であった小生のテリトリーであったが、八重洲ブックセンターは超弩級の規模を誇っていた。その頃はジュンク堂書店なんてなかったし、この巨大な本屋さんが面白くて仕方がなかった。

先日100年以上続いたという「週刊朝日」の終刊に触れたが、昨日は「レコード芸術」の終刊の記事が載っていた。こちらは70年に及ぶ。小生が購入したのは、特集があったときだけで、おそらく合わせて20冊くらいにしか過ぎないが、店先で立ち読みくらいはいつもしていた。そんな「本屋にあるのが当たり前の本」が次々と消えていくのだろう。

今朝は「朝日新聞」の値上げの広告が朝刊に載っていた。小生は朝刊のみの購読であるが、これが3000円から3500円へ500円もの値上げとなる。若者は今どき新聞購読なんてしないだろうから、この値上げは高齢者の懐をさらに打撃することになるので、いよいよ高齢者の購読終了組が増えるのだろう。もう新聞社としては規模を保てないのではないだろうか。ネット世間では朝日に対する圧力・攻撃が相変わらずであるが、この旧世界を象徴する会社のメディアとしての存在がなくなるとすれば、これはこれで大変な世の中になると思う。この20年新聞社としてなんども大チョンボを繰り返してきた朝日新聞ではあるが、小生には栄養源として必要だ。小生にとって世の中でなくなると困るものの代表が「紙媒体の朝刊新聞」なので、「応援」の意味でこれからも購読を続けるが、もって数年は困る。不動産業で利益を出して、メディアで頑張る「朝日新聞社」で良いから、頑張ってほしい。

(でもなあ、電子媒体がこれだけ普及すると存続はかなり厳しいかもしれぬ。)NYTimesは電子戦になってから盛り返しを見せているという話を聞くが、大手新聞社もなんとか盛り返せぬものだろうか。

2023年3月29日水曜日

英語の返事をChatGPTに作ってもらう:実例二例

 ChatGPTの実力を知っていただくには、実例を示すしかない。

たとえばJournal of Surgical Gerontologyから「査読で合格した論文をEditorialで取り上げたいからふさわしい研究者を推薦せよ」という以下のようなメールが届いたとする。

返事を二種類作らせてみたい。最初は「Editorialに推薦するほどの論文ではないよ」という返事。2つ目は「Editorialsitとして二人推薦する、その理由はかくかくしかじか」というものである。これが日本語の書きなぐりでできるのである。

              ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

まず第一のやりとりはかくのごとし・・・・・

下のメールに返事を英語で作って 

要点は1)editorialistを選ぶにふさわしい論文ではない、2)rate the priorityは2かな、3)tweetは不要 

以上よろしく!

From: Journal of Surgical Gerontology
Sent: Tuesday, March 7, 2023 11:58 PM
To: Taro Saito, MD Cc: admin@jsgeditorial.org
Subject: Your Editorial and Social Media Recommendations Sought – JSG 2022-12-3170.R1, Prognostic estimates of tumor-associated peroxisome in patients with adenocarcinoma of the lung 

Title: Prognostic estimates of tumor-associated peroxisome in patients with adenocarcinoma of the lung Authors: Judge Smith 

07-Mar-2023 

Thank you for handling the above accepted paper. Please respond to this email by suggesting an editorialist for this manuscript if appropriate. It is the journal's goal to have all topics represented in its published commentary about its articles, including from your section. 

If you think this paper is worthy of an editorial, please rate the priority of this paper on a scale of 1-5, with 5 being the highest priority. Any additional comments you have for Kelit Bushes about the worthiness of this paper as the subject of an editorial are appreciated in advance. 

Also, please let us know if you recommend this paper to be tweeted on Twitter by the JSG Social Media Committee. 

Your recommendations are appreciated in advance. Your editorial leadership of the journal is valued and appreciated. Thank you again. 

Sincerely, 

Geiten Verdenefine
JSG Editorial Office

コピペで貼り付けるだけ。すぐに帰ってくる返事がこれだ。

Subject: RE: Your Editorial and Social Media Recommendations Sought – JSG 2022-12-3170.R1, Prognostic estimates of tumor-associated peroxisome in patients with adenocarcinoma of the lung 

Dear Geiten Verdenefine, 

Thank you for reaching out regarding the manuscript "Prognostic estimates of tumor-associated peroxisome in patients with adenocarcinoma of the lung" by Judge Smith. 

After careful consideration, I believe that this paper is not suitable for an editorialist, as it does not sufficiently contribute to the overall discourse in a manner that warrants additional commentary. Therefore, I would rate the priority of this paper at a 2 on a scale of 1-5. 

Additionally, I do not recommend this paper for promotion on Twitter by the JSG Social Media Committee. I believe there are other manuscripts that may be more fitting for such exposure. 

Thank you for your continued trust in my editorial judgment, and please let me know if you have any further questions or concerns. 

Sincerely, 

Taro Saito, MD

          ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

さて、べた褒めしたいとき、推薦人を二人つけてみたいとき。そんなときは・・・

下のメールに返事を英語で作ってくれ。

要点は

1)editorialist候補の一人目は東京大学外科学教室のDr. Yukio Fujiki であり彼はperoxisome研究の第一人者だから。もうひとり挙げるとすれば、ハーバード大学外科のDr. Sachiyo Nomura であり彼女はcancer-stromal interaction の第一人者だから。

2)rate the priorityは5かな、
3)tweetで広く公知する必要あります。

以上よろしく!

書き込むとすぐに返事がくる。かくのごとし・・・

Subject: RE: Your Editorial and Social Media Recommendations Sought – JSG 2022-12-3170.R1, Prognostic estimates of tumor-associated peroxisome in patients with adenocarcinoma of the lung 

Dear Geiten Verdenefine, 

Thank you for reaching out regarding the manuscript "Prognostic estimates of tumor-associated peroxisome in patients with adenocarcinoma of the lung" by Judge Smith. 

I believe this paper is indeed worthy of an editorial. I would like to suggest two potential editorialists for this manuscript. The first candidate is Dr. Fujiki Yukio from the Department of Surgery at the University of Tokyo. Dr. Fujiki is a leading expert in the field of peroxisome research and would provide valuable insights on the subject. The second candidate is Dr. Nomura Sachiyo from the Department of Surgery at Harvard University. She is a renowned expert in cancer-stromal interaction, which could offer a complementary perspective on the topic. 

Considering the significance of the research presented in this manuscript, I would rate the priority of this paper as a 5 on a scale of 1-5. 

Furthermore, I highly recommend this paper to be promoted on Twitter by the JSG Social Media Committee. It is crucial to share this valuable research with a broader audience, as it can potentially have a substantial impact on the field. 

Thank you for your continued trust in my editorial judgment, and please let me know if you have any further questions or concerns. 

Sincerely, 

Taro Saito, MD

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

返事としては十分すぎる内容ではないでしょうか、皆様。小生がChatGTPに与えた指示はぶっきらぼうだし、なにより日本語なのだ。それでも返事はこれだ。

僕はChatGTPは使えると思います。

                ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

追伸(1):Journal of Surgical Gerontologyなんて雑誌はありません(笑)。お里が知れないようにでっち上げています。あしからず・・・

追伸(2):以上はChatGTP plus(GPT 4)を使って行った。GPT 3.5でも十分な返事が来るが、ややそっけない。この2つのバージョンの差をAI業界は驚異的に捉えているが、もともとのGPT 3.5でも「やるなあ!」というのが小生の評価であります。バージョンの違いを試されるのも面白いですよ。










2023年3月26日日曜日

koukun さんのコメント...

早速コメントを頂きました。このブログ・システムはコメント表示が苦手なので、全文引用でもう1ページつくりました。koukun さんありがとうございました。



koukun さん

先生のおっしゃるとおりです。
chat GPTは実際に触ってみると、衝撃以外の何物でもありません。

試しに後輩のライングループで聞いてみましたが、複数名 「やばいです」 の返事がありました。
なにがやばいかというと 全部ですね笑。

論文の発想と地味なデータ集めは人間が行って、どういうふうに解釈するかもそこから導かれる結果もchat GPTが作ってくれるようになるのでしょうか。我々人間は「何が主張したいのか?」にのみ、集中することができるのかもしれません。

人類史上最もいい時代に生まれてきた我々はどこに向かっていくのか。
これからも目が離せません。

先生のブログ いつも楽しみにしています

koukun さんコメントありがとうございます。論文については、作成して投稿→査読にまわり→返送され→実験を追加し書き直し→再度投稿→再査読→アクセプトというスタイルは早晩なくなるとの見方があります。我々が研究にせよ、臨床にせよ参考にすべき指針は一体この先どうなるのでしょうね。新しいスタイルは既存のスタイルを超克すると信じたい。

今の時代を生きてきて、「人類史上最もいい時代に生まれてきた我々はどこに向かっていくのか。」と言えるkoukun さん素晴らしいと思います。このポストコロナで、気象がおかしくなりかけていて、「いわし」も「さんま」も「さば」も取れなくなって、「卵」も希少なものとなっている時代にね。皮肉でなく、私も完璧に同意したいと思います。久しぶりにワクワクできるものに出会ったからです。


なぜChatGPTを旧来のマスメディアは無視するのか?


これほど面白くインパクトの強いChatGPTであるが、旧来のメディアである週刊誌や月刊誌はほとんど記事にしない。私がChatGPTの出現に最初に気がついたのが2023年1月20日ころであり、すでに2ヶ月経つ。この間月刊誌であれば2回、週刊誌は10回ちかく記事にする機会があったはずなのに、全くといって触れない(気がついた範囲では週刊文春が「品のない高齢者記事について」一回、それと今月のアエラが「ChatGPTと仕事」について書いていただけだ)。 

僕はここのところ本屋を定期定点観測しているが、ITやAI関連の書棚も全く変化がない。アマゾンで新刊を調べても電子書籍としてのChatGPT関連本は多いが、紙媒体はほぼ皆無だ。 なぜ僕がそこまでするかというと、2月の上旬にChatGPTを詳しく知るに至って、これは「パラダイム・シフト」を目撃できるかもしれないなと気がついたからなのだ。一般人の一人に過ぎない僕にとってこれまで起こった「パラダイム・シフト」(たとえば iPhoneの登場)は終わってしばらくして気がつくというパターンであり、渦中には気がつくことなどありえなかった。「パラダイム・シフト」を目撃したい、渦中にいてもあとから振り返って忘れないようにその移り変わりを記録しておきたいと考えた理由である。終わってしまうと、なかなか昔がどうだったが思い出せなくなる。 

 ChatGPTによるパラダイム・シフトは確実に訪れる。間違いない。例えば僕は最近では査読事務関連の英語レター返事はChatGPTに書いてもらっている。これはとても便利である。ChatGPTに相手のメール内容(固有名詞はセキュリティ上、変更しておく)を貼り付け、返事の要点を日本語の単語レベルで書きなぐる(例えば(1)アサインは東都大学の岡本太郎さん(メルアド:otaro@totouniv.jp)(2)評価はレベル4(3)大事な内容なので指定のアドレスでtweetしておいて)以上の要点で返事を書いて!といえば、素晴らしい英語の返事が直ちに帰ってくる。面白い。なにより時間の節約だ。 

 そんなことをしていると、まてよ、査読そのものもChatGPTでできないかしらと思ってしまうが、今のレベルではまだ無理であろうことは、この二ヶ月の経験でわかっている。最新の医学生物学を任せるにはまだまだ実力不足である。しかし1年もすれば、十分可能となるであろう。それくらいのポテンシャルはありそうだ。

 ところで査読をChatGPTでやれるなら、論文作成はもっと更にChatGPTに向いているとはいえないだろうか?これが可能になったならChatGPTの出現によるパラダイム・シフトが起こったことにほかならない。なぜならこの変化がすぐに我々に投げかけるのが、根本的には科学研究における成果の評価とは?という問いであり、もっとレベルを落とした表現をすれば「論文執筆ってなんなの?」という話なのだから。

 これは医学生物学の狭い範囲に限らず、科学研究や教育に根本的な変化をもたらすことは間違いない。 まったくもって目が離せないし、科学技術ロートルの高齢者である小生でも今ならなんとかついていけそうなレベルだし、可能ならば利用しない手はないと思える。なによりわくわくする。全く恐怖はない。畏れることなどなにもない。自分でどんどん使っていくことができる技術なので、新しいおもちゃを与えれらた子供のようなワクワク感がある。毎日いろんな角度(小説を書かせることが本当にできちゃうのだ!  あるいは医師国家試験はそこそこ解けるとの報告があるが実臨床レベルの問いかけにはまだまだ頼りないとか、実感してみるのは面白い)からチャレンジしている次第である。

 さて、旧来のマスメディアが無視していることについてだが、その理由は1)記事にする価値がないと旧メディアが判断しているか、2)ChatGPTの価値に気がついていないかだが、おそらく真実はそうではないだろう。僕が推測するに、旧来のマスメディアは「恐怖」してすくんでいるのだと思う。メディアの今後に対する不安から、敢えて目をそらしている。 最近本屋で「ChatGPTと仕事」を載せたアエラの最新号の横に「週刊朝日」が並んでいた。去りゆく旧メディア(「週刊朝日」は5月で終刊する)との対比で象徴的だ。




2023年2月23日木曜日

ChatGPT登場

 ChatGPTが話題である。小生が ChatGPTに気がついたのはちょうどひと月前の1月25日である。youtubeで知ったが、この一月気になって気になってしょうがない。いろいろ調べてみたし、もちろん ChatGPTを利用してみた。

ご存知ない方のために、今朝の私のやり取りを載せてみよう。











もうひとつ行ってみようか・・・













更に・・・・



















現代における・・というのをcontemporary societyと訳しているのが秀悦です。













一ヶ月前に自分が一発でこの新技術の虜になったyoutubeを取り上げる。

https://youtu.be/NRGdxJjGhwk




直近の英検一級問題を ChatGPTに解かせる試みであるが、通常の人間が60〜80分必要とする問題群を1〜2分で解いてしまったのには驚いた。以前のソフトなら、問題文の加工(ソフトが理解できる形への・・)が必要であったが、 ChatGPTにはいきなり問題をコピペして、「解いて」と命令するだけである。

感動的なのはこのあとである。一級の単語集を作らせる課題、それらの単語集を使った4択問題を作らせる課題、その解説集を作らせる課題等々を次々にこなしていく。これはこのChatGPTが私達との一連のやりとりを覚えているからできるのであり、私には「context」が理解できているように見える。