これほど面白くインパクトの強いChatGPTであるが、旧来のメディアである週刊誌や月刊誌はほとんど記事にしない。私がChatGPTの出現に最初に気がついたのが2023年1月20日ころであり、すでに2ヶ月経つ。この間月刊誌であれば2回、週刊誌は10回ちかく記事にする機会があったはずなのに、全くといって触れない(気がついた範囲では週刊文春が「品のない高齢者記事について」一回、それと今月のアエラが「ChatGPTと仕事」について書いていただけだ)。
僕はここのところ本屋を定期定点観測しているが、ITやAI関連の書棚も全く変化がない。アマゾンで新刊を調べても電子書籍としてのChatGPT関連本は多いが、紙媒体はほぼ皆無だ。 なぜ僕がそこまでするかというと、2月の上旬にChatGPTを詳しく知るに至って、これは「パラダイム・シフト」を目撃できるかもしれないなと気がついたからなのだ。一般人の一人に過ぎない僕にとってこれまで起こった「パラダイム・シフト」(たとえば iPhoneの登場)は終わってしばらくして気がつくというパターンであり、渦中には気がつくことなどありえなかった。「パラダイム・シフト」を目撃したい、渦中にいてもあとから振り返って忘れないようにその移り変わりを記録しておきたいと考えた理由である。終わってしまうと、なかなか昔がどうだったが思い出せなくなる。
ChatGPTによるパラダイム・シフトは確実に訪れる。間違いない。例えば僕は最近では査読事務関連の英語レター返事はChatGPTに書いてもらっている。これはとても便利である。ChatGPTに相手のメール内容(固有名詞はセキュリティ上、変更しておく)を貼り付け、返事の要点を日本語の単語レベルで書きなぐる(例えば(1)アサインは東都大学の岡本太郎さん(メルアド:otaro@totouniv.jp)(2)評価はレベル4(3)大事な内容なので指定のアドレスでtweetしておいて)以上の要点で返事を書いて!といえば、素晴らしい英語の返事が直ちに帰ってくる。面白い。なにより時間の節約だ。
そんなことをしていると、まてよ、査読そのものもChatGPTでできないかしらと思ってしまうが、今のレベルではまだ無理であろうことは、この二ヶ月の経験でわかっている。最新の医学生物学を任せるにはまだまだ実力不足である。しかし1年もすれば、十分可能となるであろう。それくらいのポテンシャルはありそうだ。
ところで査読をChatGPTでやれるなら、論文作成はもっと更にChatGPTに向いているとはいえないだろうか?これが可能になったならChatGPTの出現によるパラダイム・シフトが起こったことにほかならない。なぜならこの変化がすぐに我々に投げかけるのが、根本的には科学研究における成果の評価とは?という問いであり、もっとレベルを落とした表現をすれば「論文執筆ってなんなの?」という話なのだから。
これは医学生物学の狭い範囲に限らず、科学研究や教育に根本的な変化をもたらすことは間違いない。 まったくもって目が離せないし、科学技術ロートルの高齢者である小生でも今ならなんとかついていけそうなレベルだし、可能ならば利用しない手はないと思える。なによりわくわくする。全く恐怖はない。畏れることなどなにもない。自分でどんどん使っていくことができる技術なので、新しいおもちゃを与えれらた子供のようなワクワク感がある。毎日いろんな角度(小説を書かせることが本当にできちゃうのだ! あるいは医師国家試験はそこそこ解けるとの報告があるが実臨床レベルの問いかけにはまだまだ頼りないとか、実感してみるのは面白い)からチャレンジしている次第である。
さて、旧来のマスメディアが無視していることについてだが、その理由は1)記事にする価値がないと旧メディアが判断しているか、2)ChatGPTの価値に気がついていないかだが、おそらく真実はそうではないだろう。僕が推測するに、旧来のマスメディアは「恐怖」してすくんでいるのだと思う。メディアの今後に対する不安から、敢えて目をそらしている。 最近本屋で「ChatGPTと仕事」を載せたアエラの最新号の横に「週刊朝日」が並んでいた。去りゆく旧メディア(「週刊朝日」は5月で終刊する)との対比で象徴的だ。
1 件のコメント:
先生のおっしゃるとおりです。
chat GPTは実際に触ってみると、衝撃以外の何物でもありません。
試しに後輩のライングループで聞いてみましたが、複数名 「やばいです」 の返事がありました。
なにがやばいかというと 全部ですね笑。
論文の発想と地味なデータ集めは人間が行って、どういうふうに解釈するかもそこから導かれる結果もchat GPTが作ってくれるようになるのでしょうか。我々人間は「何が主張したいのか?」にのみ、集中することができるのかもしれません。
人類史上最もいい時代に生まれてきた我々はどこに向かっていくのか。
これからも目が離せません。
先生のブログ いつも楽しみにしています
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