2011年12月31日土曜日

2011年の10大論文を選んでみた

1) 2011年4月23日土曜日

 メタゲノムで面白そうな論文:ヒト大腸フローラは3種類ある?

Nature(2011) 20 April 2011
Enterotypes of the human gut microbiome

メタゲノムでヒトである。人種差を超えた3種類のフローラの可能性を示唆する論文で面白い。

2) 2011年1月14日金曜日

chromothripsisなる新しい概念が提唱されたよ。

癌化に伴うゲノムの改変は普遍的に おこるイベントとして認知されている。そしてこれは長年かかってゆっくり起こってくるものと考えられていた。しかしある種の腫瘍ではこの改変が、少なくと も一染色体レベルの改変なら数十から数百の断片化を経て一挙に改変されてしまうという驚くべき事実が報告された。

Cell, Volume 144, Issue 1, 27-40, 7 January 2011
Massive Genomic Rearrangement Acquired in a Single Catastrophic Event during Cancer Development

その後も続報が少数ながら続いている。まさにカタストロフであり面白い。

3) 2011年10月14日金曜日

腸管幹細胞にはLgr5より上位細胞が存在するかもしれない:nature

なにやら穏やかでない論文がnatureに登場した。腸管幹細胞にはLgr5より上位細胞が存在するかもしれないというものだ。小腸には予備の幹細胞集団が存在するためLgr5陽性細胞は必ずしも必要ではない

Nature 478, 255–259 (13 October 2011)
A reserve stem cell population in small intestine renders Lgr5-positive cells dispensable

2007年に初めて報告されたLgr5であるが、他の腸管ステムセルと必ずしも概念的に折り合いがついているとはいえなかった。この話はまだまだ先がありそうである。

4) 2011年8月27日土曜日

子宮筋腫の7割にMED12遺伝子の突然変異がある:フィンランドのAaltonenの報告

Science  15 August 2011.
MED12, the Mediator Complex Subunit 12 Gene, Is Mutated at High Frequency in Uterine Leiomyomas

良性腫瘍に高頻度の遺伝子異常。これには驚いたのだ。Aaltonenのところからの報告でなければ模様眺めしておくところである。このような報告に「そんなこともあるでしょう」と平然としているヒトがいる。一応「正しく」驚愕すべきだと思うのだが・・・・。

5) 2011年9月12日月曜日

MDS臨床症例におけるスプライス関連蛋白高頻度突然変異: 東大小川誠司博士のnature

Nature(2011) 11 September 2011
Frequent pathway mutations of splicing machinery in myelodysplasia

その後 2011年9月28日水曜日 MDSにおけるスプライス蛋白変異(2): サンガーからNEJM

ごく最近では
  N Engl J Med 2011; 365:2497-2506 December 29, 2011

SF3B1and Other Novel Cancer Genes in Chronic Lymphocytic Leukemia

スプライス異常による発癌というのが血液腫瘍に偏倚するというのが面白い。当初はMDSだったが最近ではCLLである

6) 2011年3月18日金曜日

最近気になる論文から・・・3報

Nature 471,325–330 06 February 2011
DICER1 deficit induces Alu RNA toxicity in age-related macular degeneration

加齢黄斑変性症の原因の一つがDICER1(RNA のプロセッシングユニット)によることも面白ければ、こともあろうに反復配列「Alu」が蓄積することが細胞毒になるというという事象も初めて聞く話で面白かった。

7) 2011年6月19日日曜日

Hairly cell leukemiaで驚くべき遺伝子変異!:NEJM

N Engl J Med 364:2305-2315  June 16, 2011
BRAF Mutations in Hairy-Cell Leukemia

Hairly cell leukemiaではBRAF変異が100%認められるという報告だ。これにも驚かされた。100%の変異率である。他施設からの報告も相次いでいるようだ。話がどうなっていくか興味深い。

8) 2011年10月13日木曜日

最新の哺乳類の類縁関係:natureより

29種類の真獣類とヒトゲノムを比較し、その類縁関係を探る報告がでた。

Nature  12 October 2011
A high-resolution map of human evolutionary constraint using 29 mammals

小生はこんな研究報告が一番好きだ。

9) 2011年9月14日水曜日

大腸癌でも融合遺伝子(natrure genetics):VTI1A-TCF7L2融合蛋白

Nature Genetics (2011)  04 September 2011
Genomic sequencing of colorectal adenocarcinomas identifies a recurrent VTI1A-TCF7L2 fusion

大腸癌で融合遺伝子でありよくぞとは思ったが実は頻度が低い。これくらい低いと続報で確認しないと信頼性に欠ける。頻度は低くてもコンスタントに異常が認められれば、それはそれでいいのだが。

10) 2011年2月11日金曜日

体内のpHを直接2D表示する技術:最新のPNAS

PNAS February 8, 2011 vol. 108 no. 6 2432-2437
2D luminescence imaging of pH in vivo

こういう研究は楽しいねえ。

2011年12月22日木曜日

心嚢気腫症:NEJM今週のイメージ

NEJM今週のイメージはここのところ皮膚病変等々が多く、なんとも引用がはばかられた。今週はまあまあなので引用。

Images in Clinical Medicine

Pneumopericardium Associated with a Peptic Ulcer

Alexandre Andrianov, M.D., and Michael A. Nissenbaum, M.D.

N Engl J Med 2011; 365:2412December 22, 2011
























まず上の写真だが、心嚢に空気が!

患者は63歳であり急な呼吸困難と酸素2lでSpO2が92%なんですと。この患者、元来胃潰瘍があり。CT等によるとFundusにあった潰瘍が横隔膜に穿通しそのまま心嚢腔につながっていることが判明したという。まあ緊急の心嚢穿刺により、症状は劇的に改善したという。一種の心タンポナーデですな。

腸管気腫症の原因の一つが胃潰瘍であるというのは教科書にも良く書かれているが、「心嚢気腫症」こんなのもあるのですな。緊急性が高いので胸写を見たら直ちに反応できるようにしておきたいものだ。取り敢えず原因は二の次でいいから、『心嚢に空気が貯まっているから直ぐに脱気しなくてはいけない・・・』という意識の流れ。


2011年12月20日火曜日

大腿骨顆上骨折

頚部骨折は飽きるほど診たが、骨幹部骨折は1例、高原骨折は3例である。さて今回の入院は初めての大腿骨顆上骨折である。受傷後20日、術後14日で転院である。何気なく「良いですよ」と言ってはみたが、なかなか大変そうだ。まず荷重がかけられない。術後6−8週は患肢荷重フリーであるが、どれだけ筋が痩せるか、考えただけでも憂鬱である。

  1. 大腿骨の内側顆と外側顆の近位で折れた大腿骨骨折を大腿骨顆上骨折
  2. 観血的整復固定術とは、手術で切開を加えて、患部露出して、解剖学的に正しい位置に骨折部を整復し、内固定材で固定。
  3. 内固定材に何を使ったか、切開の部位によって起こりうる合併症(神経麻痺など)、術後早期に気をつける点(ROM訓練、筋力強化、創からの出血量、神経麻痺、安静度など)がポイント。
  4. 通常、内固定はプレート固定。外固定(ギプス)を加えていれば、腓骨神経麻痺に気をつける。
  5. 外固定がなければ、関節拘縮をおこさないようにCPMマシンでROM運動をすぐに始める。
  6. 貧血に注意する。
  7. 後遺症として、膝関節の拘縮、筋力低下がもっとも重要、術後は脂肪塞栓にも気をつける必要があり。
  8. 高齢者であれば、長期臥床で痴呆の出現。

2011年12月17日土曜日

千島列島:ウシシル島

このブログで千島列島を話題にするのは2回目である。

小生が興味あるのは北方4島の更に先にある、中部〜北千島列島である。なかなか行くことができない島々であり、写真集もたくさんあるわけではない。

小生の手元にあるのは北海道新聞社が1994年に出した「千島縦断」という写真集である。小生がこの中部〜北千島列島に興味を持ったのは実はGoogle Earthが登場した時である。これまで是非行ってみたいと思っていた場所に上空から行けるではないかという感動を持って、その日は何時間もGoogle Earthを楽しんだ。
行った場所
  1. 喜望峰(南アフリカ)

  2. ロカ岬等々(ポルトガル:エンリケ航海王関連)

  3. ノモンハン(旧満州の辺境:ノモンハン事件の現場)

  4. 青ナイル河畔

  5. ノバスコシア(カナダ:セントローレンス河口付近、小生がアメリカで行った北限)

  6. 韃靼海峡: (これはもちろん「安西冬衛」の「春」の蝶(てふてふ)が飛んで渡った現場が見たかったからである。)
    計測すると樺太島(サハリン)とロシア本土間は最短で7.6kmある。殺伐とした風景でなかなか良い。


  7. そして千島列島を空から遊覧したのである。

    この千島列島漫遊が素晴らしい。そのうちのひとつウシシル島の写真を掲載する。
















これは最南端の湾である。湾の長径は1.2kmである。海に面している入り口が360m。この湾からこの島には接近するらしいが、上陸後が大変らしい。急峻な崖であり、高いところ(こんな写真が撮れるところ)に上がるのが一苦労なんですって。

またこの島は千島列島で一番霧が発生する場所であり、こんな写真は滅多に撮れないらしい。

いずれにせよ「冒険島」のようで、一度はいって見たいではないか。















上空からの写真がまた素晴らしい。北島と南島の間はわずかに600mである。両島の端から端まで6.4kmである。

2011年12月15日木曜日

「福島第一原発を国有化せよ」:鳩山前首相のnature投稿

鳩山前首相が「福島第一原発を国有化せよ」とという論考をnatureの今週号に投稿している。今朝その事実を知ったとき思ったのは、
  1. なぜ日本国前首相なのか?
  2. なぜnatureなのか?
  3. なぜ鳩山さんなのか?
  4. なぜnatureは採用したのか?
  5. 鳩山さんにこのような論考を書かせたのはだれなのか?あるいは真の執筆者はだれなのか?
  6. その論考の内容は?

次々にいろんな疑問が浮かんだ。普通あり得ない投稿であり、採用だと思ったのだ。そしてその内容は日本語でnature誌のウェッブサイトで読める。コメントに対するnatureの態度が興味を引く。丸ごと引用はさすがにはばかられるので、途中だけ一部。

・・・福島第一原子力発電所の事故から9か月以上が経過したが、そこで起きたことについては、根本的な疑問が答えられないまま残っている。これらの疑問に 対する答えが与えられないかぎり、日本はもちろん、世界の国々も、何がいけなかったのか、今、何をするべきなのか、今後、同様の事故を防ぐためにはどうす ればよいのかを知ることはできない。

Nature 2011年12月15日号313ページの Comment 欄では、こうした懸念がまとめられている。日本国民にとって気がかりなことの1つは、この論文の執筆者である。執筆者の2人は与党の政治家で、そのうち1人は元首相なのだ。彼らのような立場にあっても、答えを入手できないのだろうか?・・・


「首相や元首相にもアクセスできない情報」という書き方が、やむにやまれずnatureへの投稿という道をとらせたという背景を示唆するが、しかしいかにも不自然さを感じてしまう。この元首相の投稿はきっと国内のみならず世界に波紋を投げ掛けるが、さてその顛末やいかにだなあ・・・・当事者の一つである日本学術会議の意見を聞いてみたい。








2011年12月11日日曜日

ミニチュア風の動画:こんなのがはやりだった

逆ティルト撮影の動画集




ジオラマ風写真:備忘録

昨日の忘年会は最高だった。こんな面白い宴会も久しぶり。そこでいろんなことを教えて貰った。

(1) ジオラマ風写真がここのところ何年か話題である。

たとえばこんな写真。一見模型風であるが、実は実写。

二〇世紀ひみつ基地から参照させていただいた。

始めた人は有名で週刊誌では随分取り上げられた。

  1. 本城直季
  2. ドイツのマルク・レダー(Marc Rader)
  3. フィンランドのミクロス・ガール(Miklos Gaal)

実はそこからいろんなことが派生していた。

そのうちの一つが
「ユニクロのカレンダー」である。

今朝見ているが、いいんだこれが!

地方もいいし、また都会も良い。21世紀版「新日本紀行」のようだ。

http://www.uniqlo.com/calendar/

2011年12月2日金曜日

今時のテレビに絶望している諸兄へ

普通のテレビ番組がさっぱり面白くないと見限っているのは小生ばかりではなかろう。私にとって普通でないBSやCSにはきっと面白い番組があるに違いないと想像するのだが、探しにいくのも億劫である。退潮ムードのテレビ番組ではあるが中には面白い番組もあった。

出始めの頃の「サラリーマンNeo」は面白かったよなあ。特に冒頭の中田有紀と生瀬勝久のニュースは最高にシュールだった(今は色あせてしまったが)。

今の番組でひときわ輝いているのはなんといっても朝の連続小説「カーネーション」であろう。時々しか見れませんが、大変皆さんが魅力的である。尾野さんも麻生さんも田丸さんも濱田さんも正治さんも栗山さんもみんな生き生きして輝くばかりにキレイだ。小林も宝田も味がよく出ている。音楽も素敵だ。小生がこよなく愛す椎名林檎である。よくまあこんな変調音楽をテーマ曲に選んだものだNHKさん。
これからも楽しみな番組です。


番組ガイドに面白そうなページを見つけたのでメモ  http://gendai.ismedia.jp/articles/-/28513

『China Wow!』(BS1・月・14時~)
  • 現代中国の姿を淡々と追うドキュメンタリーである。例えば11月21日放送の「世界最大の老人ホーム」という回では、北京郊外に完成した東京ドーム11個分の広さをもつ老人ホームが紹介『高騰するチベット犬』という回では、富裕層が希少種のチベット犬を1億円とか2億円で買っていく実態を取り上げていましたが、その人たちというのが、日本のその辺にいるオジさんのようで、とても富裕層に見えない

『メーデー! 航空機事故の真実と真相』(CSナショナルジオグラフィックチャンネル、放送不定期)
  • 事故調査委員会が多くの事故原因の可能性を一つ一つつぶしていく過程が良質な推理ドラマのようで、非常に面白いんです。事故原因も様々で、構造上の欠陥などのほかに、パイロットの頭がおかしくなっちゃった、なんてケースもある

CSのアニマルプラネット・チャンネル



『BS世界のドキュメンタリー』(BS1・月~木・24時~)のBBC制作のもの

『世界ふれあい街歩き』(NHK総合・金・22時~ほか)

  • 世界の街を旅人目線で歩きながら風景や人々の暮らしをとらえていく紀行番組

『猫のしっぽ カエルの手』(BSプレミアム・金・19時半~)

  • 母国外で暮らす女性のナチュラルライフを紹介する番組

『小さな旅』(NHK総合・日・8時~)

  • 日本各地の風景と、そこで暮らす人々の関わりを紹介する旅番組

『KIRIN~美の巨人たち~』(テレビ東京系・土・22時~)

  • ルネ・マグリットの『ピレネーの城』が紹介された回は、あまりに感銘を受けたので、エルサレムのイスラエル美術館まで観に行ってしまいました

『鑑賞マニュアル 美の壺』(BSプレミアム・木・19時半~)
  • 美術品ではなく、暮らしの道具の美を追求する番組。その道具の選び方や、製作する職人の技を勉強できて、非常に実用的。

『ワールドビジネスサテライト』(月~金・23時~)
『報道特集』(TBS系・土・17時半~)

『トラッド ジャパン』(Eテレ・木・23時~)

  • 「銭湯」「文楽」など日本独特のものを英語ではどう表現すればよいかを学ぶ語学番組で、「日本人も知らないような日本文化の雑学も勉強でき、重宝している」

『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系・金・24時20分~)
『ブラタモリ』(NHK総合・木・22時~)

『吉田類の酒場放浪記』(BS-TBS・月・21時~)

  • 酒場詩人・吉田類が日本各地の酒場をめぐる

『熱中スタジアム』(BSプレミアム・月・19時~)

  • 各分野のマニア30人を集めた討論番組

朝ドラの『カーネーション』(NHK総合・月~土・8時~)。


おまけの写真集:Vertual Vendome えぐい写真もなかにはあるが、全体にはなかなかである

クラミジア・トラコマチス抗体の臨床的意義は?

25歳女子。右側腹部痛が続く。いろいろ検査したが、クラミジア腹膜炎も否定できない。小生がこれまで診たクラミジア腹膜炎より経過がマイルドであるが、しかし、しつこい痛みである。エコーでは肝周囲炎はない。血清クラミジア抗体はIgGが陽性でIgAが陰性であった。この解釈に悩みますな。ジスロマックでも投与したら・・・・と言われそうだが、そんな簡単ではないような。さてさて。

CRCのホームページより・・・・

クラミジア・トラコマチス(性器クラミジア)感染症は最も多い性行為感染症(STD)です。女性では子宮頸管炎や卵管炎を起こし、炎症が進むと不妊症の原因になることもあります。妊婦の場合、まれに流産の原因になったり、出産時の産道感染により新生児が結膜炎や肺炎を起こします。男性では尿道炎や副睾丸炎を起こします。


検査法には患部からの擦過検体や初尿検体を用いるEIA法やSDA法、PCR法などの抗原系検査と血清抗体検査があります。


血清抗体価は初感染時にまずIg抗体が1週間以内に上昇します。治療・無治療にかかわらず速やかに消失します(2ヵ月以内に陰性化)。再感染では上昇しません。Ig抗体は約1ヵ月後から上昇し、数年間持続します(約4年で陰性化)。Ig抗体はIgG抗体に遅れて5~6週間で上昇し、数年間持続します(約3年で陰性化)。


一般に、感染症においては抗原検査についで、IgM抗体が活動性感染の指標となりますが、性器クラミジア感染症においてはIgM抗体上昇が十分ではない ため、IgGとIgA抗体が測定されています。ただし、新生児では母親から移行したIgG抗体が介在するため、IgM抗体を検査します。

抗体検査と抗原検査の一致率は30%と低く、IgG抗体およびIgA抗体陽性例には現在の感染と過去の感染が含まれ、鑑別できません。また、オウム病クラミジアや肺炎クラミジアと交叉反応が認められることから、抗体検査は抗原検出が困難な骨盤内感染症、卵管炎、副睾丸炎、新生児肺炎などの深部感染症の補助診断として利用されます。

抗体検査は性器クラミジアのスクリーニングとして使用される場合がありますが、感染初期には出現しないことが多く、治療しても残存することから、感染診断にはSDA法などの高感度な抗原系検査を行います。

2011年11月29日火曜日

タルコフスキー再び:陸前高田の一本松 & サクリファイス

以前タルコフスキーの映画「ストーカー」と東北大地震/福島原発の関連をnoteしたが、それ以来気になっていたのが、陸前高田市に残るあの一本松のことであった。

スケールはかなり違うが、この一本松はタルコフスキーの映画「サクリファイス」のシーンを痛いほど思い出させる。




このようなものを偶然の一致(類似)と片付けるかどうか・・・

・・・・・タルコフスキーが核による最終的、超越的な破壊の脅威、我々の世界がその破壊のスレスレに存在しているに過ぎなかったことを意識させたのは、この遺作(サクリファイス)が最初ではない。

たとえば『ストーカー』は、終末的な核戦争か、大きな核の事故があった後の世界を描く寓話である。・・・・




上が陸前高田、下がサクリファイスである



2011年11月19日土曜日

摩訶不思議・了解不能の由紀さおり1969

由紀さおり1969というアルバムが話題を集めているんですって。
たとえばここ

欧米のヒットチャートで一位になったりしているという。iTune storeでも売れているようだ。
ほとんどの曲は日本語らしい。由紀さおりにはスキャットという武器があるからなあ、わからないでもないとは思うが・・・。

で、iTune storeで試聴してみたのだ。


なんだこれ・・・・。これ絶対おかしいと思う。普通に考えて欧米で流行るとは思えない。


だって、このアルバムまんま60年代歌謡曲そのものなんだもの。少なくとも小生は買おうとは思わない。
彼女のスキャットは好きだったんだよ、これでも。でもなあ。

これが本当に流行っているとすれば、これはこれで実に面白い現象であるが、なぜ、なぜ、なぜ?
本当に理解不能の現象だよ。わからない。




2011年11月17日木曜日

多摩医療センターとNEJM:耳鼻科の渡辺さんやるなあ

Images in Clinical Medicine
Zoster of the Tympanic Membrane

Kenta Watanabe, M.D., Ph.D., and Maki Funaki, M.D.

N Engl J Med 2011; 365:e40November 17, 2011



多摩医療センターからは今年NEJMのイメージが二例目である。いずれも耳鼻科の渡辺健太医師による報告である。

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2011年6月25日土曜日
恐怖の喉頭浮腫:NEJMそのリアル画像:都立多摩総合医療センタから

N Engl J Med 2011; 364:e55June 23, 2011

Images in Clinical Medicine
Laryngopharyngeal Edema

Kenta Watanabe, M.D., Ph.D., and Muneo Nakaya, M.D., Ph.D.
Tokyo Metropolitan Tama Medical Center, Tokyo, Japan
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明らかに彼は狙っている。帯状疱疹は片側性であるが、鼓膜の帯状疱疹なんて狙っていればいつかは外来に現れそうである。あとは良い写真を残すことだ。

最近では、舌や口腔の帯状疱疹の写真が出た。あとは肛門管や
を狙っていれば貴方もいつかはNEJMであろう。

2011年11月12日土曜日

iPad用にモバイルWi-Fiルーターを買ったよ:

モバイルWi-Fiルーター:これは小生のiPadを外で持ち運んでネットを使うには必要だ。わざわざG3機能が付かないiPadを選んで買った理由は、いずれモバイルWi-Fiルーターを買おうと思っていたからだ。これでiPadのみならずiPod touchやMa Book Airを外に持ち出したときもネットにつなげることが可能になった。(もっともiPadを手に入れたから、iPod touchやMa Book Airを持ち出す機会はぐっと減るだろうが)((備忘録:来年11月には解約すること!必ず!))

ここ2日、我が家はTime capsuleのAirMac接続と
モバイルWi-Fiルーターによる接続が混乱している状態だが、分かったことが一つ。

モバイルWi-Fiルーターの実効速度は遅いということ。

いや正確に言おう。
Time capsuleのAirMac接続(ここ3年くらいこの環境:我が家のTime capsuleは初代機なのだが・・)は極めて高速だということが初めて(比較することで)実感されたことだ。

ここしばらく
iPadで古い漫画を読むことにはまっている。eBookJapanというところから取り寄せているのだが、なかなか便利であると同時に、これだけの画素コンテンツの割にはダウンロードにストレスがなかった。それはAirMac接続だからだった。

しかし、しかしだ。モバイルWi-Fiルーターから落とすと遅いのだ。遅いだけではない。途中で途切れることがしばしば。

ここ数年、こんな経験ない。一旦ダウンロードをはじめたコンテンツが途中で中断されるなんて、90年代ではあるまいし。

・・・・・・・・(続く)
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そんなこんなで2011年代のデジタルライフを楽しんでいるのだ。

2011年11月7日月曜日

今回は胃癌でARID1A変異というnature genetics


ARID(1A)はここのところ様々な癌腫で変異が報告され始めた遺伝子である。今回ファイザー製薬と香港の大学から胃癌について報告された。余り頻度が高くないようである。そのためMSI陽性症例では高頻度であるなどサブセット解析を行っている。
今回22例の胃癌をdeep sequenceしているのだが、22例中6例にARID1Aの変異が認められているとのことだ。30%弱ということになる。そしてこれは頻度でいくとp53に次いでPTENとならんで2番目に高い頻度ということである。





Nature Genetics

Exome sequencing identifies frequent mutation of ARID1A in molecular subtypes of gastric cancer

Kai Wang, Junsuo Kan, Siu Tsan Yuen, Stephanie T Shi, Kent Man Chu, Simon Law, Tsun Leung Chan, Zhengyan Kan, Annie S Y Chan, Wai Yin Tsui, Siu Po Lee, Siu Lun Ho, Anthony K W Chan, Grace H W Cheng, Peter C Roberts, Paul A Rejto, Neil W Gibson, David J Pocalyko, Mao Mao, Jiangchun Xu & Suet Yi Leung

Received 18 May 2011
Accepted 23 September 2011
Published online 30 October 2011

これまでの報告では


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2011年8月8日月曜日
肝細胞癌で変異を起こす遺伝子ARID2・・・アジアでは否定的?
AT rich interactive domain 1A (SWI-like)
Nature Genetics (2011)
   Published online 07 August 2011

Inactivating mutations of the chromatin remodeling gene ARID2 in hepatocellular carcinoma

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2010年11月3日水曜日
卵巣の明細胞癌で高率に変異を起こす遺伝子ARID1A:NEJM続報

ARID1A Mutations in Endometriosis-Associated Ovarian Carcinomas

N Engl J Med 2010; 363:1532-1543October 14, 201

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2011年11月4日金曜日

リリカと体重増加・対称性浮腫

いつぞや下腿の対称性浮腫についてメモしたが、きっかけになった患者についてはいろいろ調べた。

結論をいえば「リリカの副作用」ということになろう。

元来進行直腸癌術後一年の患者殿であり、先月はひどい左上肢帯状疱疹で入院していた。この二年で診た帯状疱疹のなかでも皮膚症状は最悪に近かった。ビランではなく3カ所皮膚潰瘍ができてしまったからな。痛みも強く、ペインクリニックを通してリリカの処方が始まったわけだが、これはよく効いてくれていた。外来で調子良くいっていた。

ところが振り返って勘定するとリリカ処方開始2週間くらいから、下腿浮腫が始まった。その後一週間で呼吸喘鳴(軽度)が始まったという。食欲は良好だったが、体重増加も顕著である。一般状態は悪くないのだが、見かけがかなり顕著に変化した。だって二週間で体重が8kg増加したというから。入院させて、循環器内科といろいろ検討した。心エコーは二回したがまず重症心不全はないだろうと。アルブミンや腎機能は悪くない。凝固能やD-dimerもまあまあ。TSH/F-T4もまずまず。癌の再発もなさそうだし、骨盤内占拠病変もない。


結局のんでいたロキソニンをまず中止したが、あまり顕著な変化がなかった。しばらくして「リリカの副作用」に気がついたのだ。まあ、これを止めるのはつらい選択だったが(PHNによく効く薬を再度探すのはなかなか大変)、やめると一週間で体重が減り、下腿のしわが戻ってきた(利尿薬は随分前から出していた・・・)

下腿の浮腫なんて、よく調べれば入院患者のほとんどに見られるくらいありふれているが、急にくるとなるとそれなりに理由があるということだな。それと薬剤の作用は一度は調べておかなければいけないのだ。ちなみにリリカによるこの「体重増加」という副作用は〜 1%と記載されているから必ず知っとかなければいけないというほどでもないのだが、しかしネット記事によると「体重増加」は一部ではよく知られているようでもある。いずれにしても反省させられましたな。

2011年11月3日木曜日

バルバラのシャンソンのこと

古い曲で所在が不明だった曲がネットのおかげで数十年も経ってわかった経験をかつて書いた。
  1. ハンプトン・ホーズの「ソノーラ」のこと

  2. 「NHKのフランス語講座のテーマ曲」が三保敬太郎さんの作曲で実はこの人が同時に11PMのテーマ曲作曲家であることも知った。

今朝病棟を回診している際に「ふつふつ」と第三の曲を思い出してしまった。これも探しているのだが見つからない。時代は70年代前半だっただろう(小生と接触があったのが)。フランスの女流シャンソンだから有名人である。いやもったいつけるわけではない。バルバラのことである。

大学生の頃は音楽の趣味が最も広かったのだが、このバルバラを知ったのは偶然だと思う。だってシャンソン基本的に好きでないから小生(昔も今も)。ただこのバルバラだけは好きだった。有名な「黒いワシ」ではない。フランス語に縁がなかったせいか、アルバムタイトルを失念してしまっている(というか初めから覚えていないのかも)。

一枚強烈に引かれるアルバムがあった。2曲だけ内容をよく覚えている。一曲は牢獄につながれている恋人に向けて獄舎の高い壁の外から唄いかけるというもの。もう一曲は男に捨てられたあとに身ごもっていたことがわかり、そして生まれてきた娘を唄ったもの(だったかな?)。

日本にもバルバラの後援会とそのホームページらしきものが相当昔からあることは知っているのだが、敷居が高すぎてアプローチしていない。大抵のことには物怖じしないが、この手のハイブラウには抵抗がある。


これも数年以内に解決することを楽しみに待ちたい。

ハンプトンホーズは感動したしね。

2011年10月31日月曜日

2011年フランクフルトマラソンは大阪マラソンより凄かった

昨日は大阪マラソンというのがあっていたようだが低調だったみたいだ。日本では報道もされなかったようだがフランクフルトマラソンは凄かったようだ。
  1. キプサングは惜しくも世界新記録(世界最高)を4秒で逃す。
  2. 2時間6分台の好記録でも6位
  3. 8分台の記録でも10位
  4. サブテン記録を出しても14位
ベルリンもすごいがフランクフルト・マラソンもいつの間にか大変貌を遂げている。例年この時期はニューヨークと福岡を残すだけの空白期間だったのだが、面白い大会が一つ増えたものだ。

1 Kipsang, Wilson (KEN)      02:03:42
2 Matebo, Levy (KEN)        02:05:16

3 Matebor, Albert (KEN)       02:05:25
4 Sanga, Philip (KEN)      02:06:07
5 Cheruiyot, Robert Kiprono (KEN)   02:06:29
6 Kirui, Peter (KEN)        02:06:31
7 Kiptolo, Chumba Dickson (KEN)   02:07:23

8 Gena, Siraj (ETH)         02:08:31
9 Koech, Duncan (KEN)       02:08:38

10 Sugut, Henry (KEN)        02:08:56

11 Kandie, Raymond (KEN)      02:09:30

12 Szost, Henryk (POL)         02:09:39
13 Abdellatif, Meftah (FRA)       02:09:46

14 Reunkov, Aleksey (RUS)       02:09:54

15 Maiyo, Johnstone (KEN)       02:10:02



2011年10月29日土曜日

両下肢の左右対称性浮腫

両下肢の左右対称性浮腫について

あまりにありふれている病態ではあるが、一応鑑別するとしてある参考ページによると・・・・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

☆☆外来患者では心不全>甲状腺機能低下症>アムロジピン服用>長時間歩行>原因不明>クッシング症候群の頻度


☆☆肝・腎・心・内分泌・CCB(カルシウム拮抗剤)・リンパ管・骨盤腫瘍・廃用性・など以外によく(または時に)出会う両下肢の左右対称性浮腫の患者背景は;

  1)脊椎管狭窄症
  2)ロキソニン
  3)糖尿病性末梢神経障害
  4)インクレチン薬(Januvia)(+ACE-I)
  5)インスリン浮腫
  6)アクトス

とのことである(ロキソニンは確かに要注意であろう

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あと全く知らない病態であったのでメモだけしておこう。

☆☆RS3PE (Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema)は、おそらく自己免疫性の機序を持つ関節炎疾患:
  1. 両側性で対称性の関節炎
  2. 圧痕性浮腫を伴う手背の腫脹
  3. リウマチ因子および抗核抗体陰性 (現在では感度特異度から関節リウマチとの鑑別には抗CCP抗体を測定すべきと考えられる)[2]
  4. 悪性腫瘍では、前立腺癌胃癌大腸癌の合併が比較的多い。

2011年10月26日水曜日

iPadのアプリ駆け足評価中(4):iPad本について

iPad書籍について

今日まで3冊読んでみた。評価としては☆☆☆が初心者の小生にはピッタリで役にたつ本だった。☆☆☆☆はそれ以上に面白い。☆☆は読んでみても良い・・・くらい。
  1. iPad2 ハイパーナビゲーター(秋葉 けんた、いとう あき、井上 真花、 佐藤 新一:¥ 1,554)
    ☆☆☆

    iPad導入時にはこの手のアプリ実装紹介モデル本が必須だと思ったので買ったが、小生にはピッタリであった。これ以上に良い本もあるのだろうが、本屋さんでの立ち読みではこれ以上手が回らない。写真も解説もちょうど良い。導入時にはお薦めである。

  2. iPad仕事活用術!(山崎 潤一郎:¥ 1,050 )
    ☆☆☆

    iPadで何ができるのか漠然とでも知りたいでしょう。自分の想像している(狭い)世界の他にどんな世界があるのか知りたくて読んだが、まあこんなものかと。やはり
    iPadは購入して初めて良さがわかるIT機器なのだろう。この手の解説本はどうしてもサラリーマン相手となるのか、現実的すぎるのが寂しいが、それでも最初は一冊くらいこのような本を読むのだろうな、誰でも。

  3. iPadバカ タブレットにとり憑かれた男の究極の活用術(美崎 栄一郎:¥ 1,365)
    ☆☆☆☆

    iPadで何ができるのか、この本はとても面白い。著者は研究者のようである。800くらいのアプリを実際試した実践者だから、説得力がある。最低この人が使ったことのある環境を次の一週間でそろえてみようと思った。(昨日買って読んだ本である)

2011年10月25日火曜日

iPadのアプリ駆け足評価中(3)

毎日進化する駆け足評価である。本日見つけたのは「AppBank」

iPhoneアプリ / iPadアプリをおすすめするAppBank

今のところベストサイトかもしれない。そこで気になる情報が・・・・

reader&viewerであるべきiPadではあるが、やはりオフィス書類を読む機会は多いのだ。そんなとき良く勧められているのがDocuments To Go® PremiumやOffice² HDというソフトである。この2〜3日に色々なサイトを渉猟して非常に良く推薦されるソフトなんですな。

ところがそれら標準品よりも
 Quickoffice  というソフトの方が優れているという気になる記事が、さてさて。

[iPad] Quickoffice® Pro HD

Documents To Go® PremiumOffice² HDなど、iPadでMSオフィスのファイル(パワポ、エクセル、ワード)を編集するアプリは幾つかありますが、現段階ではQuickoffice® Pro HDがベストだと思います!・・・・とのことだ。

2011年10月24日月曜日

iPadのアプリ駆け足評価中(2)

iPadを購入して気がついたことがいろいろある。大きく分けて2種類だ。

(I) いろんなソフトウェアがあるのだなあ・・・最近は

  1. 一つには小生がいかにソフトウェアの新しい潮流から遅れを取っていたかがよくわかったということ。マックでもWinでもスマートフォンでもいいのだが、この数年の新しい潮流にほとんど気がつかずいていないことに驚いた。

  2. papersもそのひとつ。文献といえばEndNoteというのが定番であり、小生のなかには、論文執筆時の参考文献作成支援ソフトとしてのEndNoteへの思いはつきないわけだが、そういった方面とは別物の文献整理ソフトというのがあることに気がついて新鮮な気分でいっぱいである。

  3. おととい気がついたソフトがevernoteである。小生にはどこがいいのかさっぱり実感できないソフトであるが、とりあえず文献、 HP、写真、なんでも放り込めるので瞬く間に中身がふくれかえっている。皆さんから賞賛されているソフトのようであり、次第に分かってくるであろうと思い、今後使い込んでみようと思う。なにかがきっと実感される日がくるのであろう。

  4. ワコムのタブレットのような手文字入力がiPadでは可能なことは新鮮だ。アナログでもデジタルでも保存可能であり、しかも利用可能であるというのが良い。
(II) iPadの思想性について

  1. iPadを使い始めてしばらくして気がつくことであるが、基本的にiPadでは持ち主がテキストを入力することは望まれていないようだ。ReaderでありViewerとして使ってほしいのだろうと思う。iPod やiPhoneやコンピューターであるMacintoshにはないものを作りたかったから出来たものがiPadなのだと、この3日でとてもとても強く意識されたよ。IT機器を購入して、そんなことを考えさせられたことなんてここしばらくない。とにかく長い文章を書くために使ってほしくないのだろう。大きなスプレッドシートの上で計算なんかしてほしくないんだと思う。iPad上で動くオフィス(ワード、エクセル)やファイルメーカーなんてきっと邪道なのだ。

  2. ReaderでありViewerとしてなにが望まれるか? 不思議とiPadは食卓の上にあるのが似合う。料理のレシピ集なんてぴったりではないか。あるいはルーブルの全作品なんてどうだろう? それとやはり書籍であろう。ジョブズの伝記は今日発売であるが、これが電子書籍で手に入るのなら記念の第一冊めとして購入してもいいなと思う。医療で言えば、自分が参考にする薬品集、処方集、診断の手引き等々。あるいは患者に見せるものとして手術の説明、病気の説明等々。

  3. もうひとつしばらくして気がつくことが、iPad は基本single taskなのだということ。これは素晴らしい退却である。今時のコンピューターでmulti taskが可能な画面の大きさとCPUスペックを持ちながら、あえてsingle taskにしているのが面白い。Mac SEの時代みたいでいいな。single taskの意味がわからない方がいるかもしれないので説明すると、同時に二つのソフトを立ち上げることができないということである。二つ目のソフトを立ち上げたいなら、一個目はquit。この退却路線が小生には極めて革新的に思える。

  4. この器械にはかなり強い思想性が込められていると思うのだ。この思想性に気がつかず、iPadが不便だと思うのは不幸だ。この不便性、制約性を我慢しながら遊んでみることで、なにかが見えてくるような気がするのだがどうだろう?

  5. 購入してよかったと今のところ思うのはそんなところ。これが一年続いたら随分おもしろいと思うな。

2011年10月22日土曜日

iPadのアプリ駆け足評価中(1)

  1. 人気ランキング医療:「添​付​文​書​ ​P​r​o​ ​-​ ​Q​L​i​f​e」​はここからダウンロードした。

    膨大な薬剤情報だけど作りがシンプルで気に入った。iPadの大きさにちょうど良いアプリ。無料。


  2. iMedical Appshttp://www.imedicalapps.com/2010/03/top-ipad-medical-apps-clinicians/http://www.imedicalapps.com/platform-os/ipad/

  3. iMods#モバイルな林檎:iPhone + iPad + MacBook Air + α の情報サイト
    医学生・看護学生・筋肉マニア必見!筋肉を3Dで見ることができるアプリMuscle System Pro Ⅱ (動画あり)画面はそそるが、4600円の価値があるかどうかとまどう。

  4. 25 iPad Apps Revolutionizing Healthcare:すべて英語である。オーソドックスなソフトが多そうだ。iPadをうたっているが、画像はすべてiPhoneのようで少し疑問あり。

  5. MedTech News: Papers は、PubMed などの論文をPDFファイルで整理

    10/22(土)  ダウンロード(
    1200円もしたよ)して確認したが、これは良いソフトだと直感する。いままで論文はEndNoteとリンクしていたが、この方法を本日から止めようと思う。この一年ダウンロードしたpdf論文をすべて ''Papres' に入れてみたが、これはいい!

  6. iPad 医学アプリ: NEJM (New England Journal of Medicine)がiPhoneとiPadでチェックできるようになりましたとのこと.もちろんフリーとのこと.

    10/23(日) ダウンロードして確認したが、確かに最新号をブラウジングできる。但しiPadの上でもiPhone画面であるから小さすぎてやや残念。実はNEJMをフリーで読む方法は(非合法ではなく)ちゃんと別にあるので、小生にはiPadでことさら読む必要はないのだが。



  7. 今にも落ちて来そうな空の下で:この小エッセイは約一年前iPadが日本で初めて販売されてころの感想であるが、なかなか良いご意見である。

  8. iPadアプリに東京女子医大の医師20人が制作協力したスライド一挙500点登場~全国の医療現場のインフォームドコンセント支援~:役に立ってくれるとありがたいがどうだろう?

  9. Smart Coverとのコーディネートが可能なiPad用スタイラスペンがワコムから:手書き入力用のペン、いずれいるのなら早めに手に入れよう。
    http://www.ipadnews.jp/news_sHETi9yPL.html?right

    http://www.ipadnews.jp/news_sQa3EqghE.html?recommend

  10. Skyscape:アメリカの医学ソフト取り扱いHP 。この二日間駆け足で見たサイトでは最もそそられるサイトである。ソフト一本50$〜100$するのが本物っぽいが、高ければ良いというものでもないし・・・。登録すれば14日間お試しで試用が可能である↓↓


2011年10月20日木曜日

iPadを購入したよ

昨日は休日でありApple storeに出向いてiPad(¥52,800)を購入した。我が家はTime CapusuleによるWiFi環境なので、とりあえずWiFiモデル(32GB)を購入した。ついでに購入したのは
  1. Adapter:これは授業でprojecterにつなぐためのもの(Apple VGAアダプタ:¥2,980)

  2. SD USBカード接続用のconnecter(Apple iPad Camera Connection Kit:¥2,980)

  3. カバー(¥6,980):赤い革製のもの ・・・・・・・・・しめて65,740
先日の日曜日にapple storeに出向いたときは丁度iPhone 4Sの発売と重なっていたため、ごった返しており従業員が相手をしてくれなかった。Apple storeの店員には20年前から冷たくされるのには慣れているので、ここは一旦退却。このところApple製品はApple storeから購入するようにしているので、暇な水曜日を待ったのだ。昨日はさすがにすいていたので応対も丁寧。店に入って30分もかからずすべてが終了した。

そば屋の注文風に言えば「iPadひとつ。WiFi 3Gなし。32GB、黒枠ね。それとミラーリングが可能なプロジェクタ接続用のコネクターと赤いカバーくださいな」これだけである。そしたらおねえちゃんが「お客様、デジカメのSDカードを直接させるコネクターも重宝しますが、いかがですか?」というので「御意」といい追加した。

その場でストアのMac bookにつないでactivateという儀式を行い、
Mac bookを外す。次にMac App Storeにつなぎ、所有しているApple IDとパスワードを入力。これで「アプリ」と呼ばれるソフトウエアがダウンロードできるようになったので、早速googleやいくつかのアプリを入れた。

はたと気がついたのは起動とシャットダウンの方法である。急いで教えてもらう。あと画面の簡単な操作法を教えてもらう。直感的とはいえ、昔よりもややこしいのが、新しいアプリが増えたときの画面の整理の仕方。フォルダーを作ったり、入れ替えたりしているあいだ、あらゆるアプリアイコンがぷるぷる震えているのだが、この震えをとる方法がなかなかわからない。

あとメールソフトで既存のメールアドレスを入れ込むのに混乱する。マックでいうシステム環境設定のなかの「ネットワーク」という概念がないようだ。いきなり「Mail」に入力するが、入力内容がやや中途半端である。

今晩からはアプリを試すことにする。これには考えがあって、アプリ用の費用を2万円くらい見込んでいる。一週間でアプリを20個以上試してみるつもりだ。短期間で大量に評価して、選び抜いて自分用のiPadにはやく作り替えたい。

2011年10月15日土曜日

1000人ゲノムプロジェクトの現状:2011年10月

1000人ゲノムプロジェクトの現状についてnote

なかなか全貌をつかむのは難しい(データが膨大)プロジェクトであるが、ちゃくちゃくと進捗しているようである。
論文としては昨年10月のnature以降のものは気がついていない。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
2010年10月28日木曜日

Nature:1000ゲノムプロジェクトの最初のデータ公表


2008年2月23日土曜日

1000人ゲノムプロジェクト(1)


2008年2月24日日曜日
1000人ゲノムプロジェクト(2)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

今現在のプロジェクトのリソースを知る案内板のようなポスターがあるのでnoteする。

http://www.1000genomes.org/announcements/ichg2011-1000-genomes-project-resources-poster-2011-10-12

下のようなイメージである。いろんなところがclickableで、リソースに飛べる。

2011年10月14日金曜日

腸管幹細胞にはLgr5より上位細胞が存在するかもしれない:nature

なにやら穏やかでない論文がnatureに登場した。腸管幹細胞にはLgr5より上位細胞が存在するかもしれないというものだ。

A reserve stem cell population in small intestine renders Lgr5-positive cells dispensable

小腸には予備の幹細胞集団が存在するためLgr5陽性細胞は必ずしも必要ではない

Hua Tian, Brian Biehs, Søren Warming, Kevin G. Leong, Linda Rangell, Ophir D. Klein & Frederic J. de Sauvage

Nature | Letter

Nature 478, 255–259 (13 October 2011)

Received 19 April 2011
Accepted 01 August 2011
Published online 18 September 2011

2日から5日で再生する小腸上皮は、最も再生力のある組織の1つである。遺伝子誘導による細胞運命マッピング研究によって、この組織では2つの主要な上皮幹細胞プールが同定されている。1つのプールはLgr5発現円柱細胞からなり、急速に細胞周期が進行し、主に陰窩底部に存在する。もう一方のプールは Bmi1発現細胞からなり、主に陰窩底部の上に存在する。しかし、これら2つの幹細胞プールの相対的な機能やその相互関係は解明されていない。

本論文ではマウスで、 Lgr5遺伝子座にノックインしたヒトのジフテリア毒素受容体( DTR )遺伝子を用いて、 Lgr5発現細胞を特異的に除去した。 Lgr5発現細胞を完全に欠損しても、上皮の恒常性は障害されないことがわかり、他の細胞種がこの細胞集団の除去を補償できることが示された。Lgr5発現細胞の除去後、Bmi1発現細胞による子孫細胞産生が増加したことから、Bmi1 を発現する幹細胞がLgr5発現細胞の欠損を補償すると考えられる。

実際、細胞系譜追跡実験によって、Bmi1発現細胞からLgr5発現細胞が生じることが明らかになり、小腸上皮における幹細胞の階層構造が示唆された。我々の結果は、Lgr5 発現細胞は正常な腸の恒常性に必ずしも必要ではないこと、また、Lgr5発現細胞が存在しないと、Bmi1 発現細胞が代わりの幹細胞プールとして機能できることを証明している。これらのデータは、この2つの幹細胞集団間の相互関係を示す初めての実験的な証拠である。 Bmi1 発現幹細胞は、小腸上皮が損傷を受けた場合の予備の幹細胞プールであるとともに、病的状態ではない場合の Lgr5 発現細胞の補給源となっている可能性がある。


Affiliations

Department of Molecular Biology, Genentech Inc., 1 DNA Way, South San Francisco, California 94080, USA
Departments of Orofacial Sciences and Pediatrics, Institute for Human Genetics and Program in Craniofacial and Mesenchymal Biology, UCSF, 513 Parnassus Avenue, San Francisco, California 94143-0442, USA
Department of Research Oncology, Genentech Inc., 1 DNA Way, South San Francisco, California 94080, USA
Department of Pathology, Genentech Inc., 1 DNA Way, South San Francisco, California 94080, USA
Linda Rangell


なにしろ当ブログは2007年11月にLgr 5の登場とともにスタートしているのである。それ以来4年が経過し、Hans Cleversの報告は逐一追いかけてきたのだが、今回のこの報告は穏やかではない。続報を待とう。にわかに群雲が湧いてきた感じがする。

2011年10月13日木曜日

最新の哺乳類の類縁関係:natureより

29種類の真獣類とヒトゲノムを比較し、その類縁関係を探る報告がでた。




























犬と猫、イルカと牛、ゾウとたぬき、君たち仲が良すぎるんじゃないか?

Nature


A high-resolution map of human evolutionary constraint using 29 mammals

Kerstin Lindblad-Toh, Manuel Garber, Or Zuk, Michael F. Lin, Brian J. Parker, Stefan Washietl, Pouya Kheradpour, Jason Ernst, Gregory Jordan, Evan Mauceli, Lucas D. Ward, Craig B. Lowe, Alisha K. Holloway, Michele Clamp, Sante Gnerre, Jessica Alföldi, Kathryn Beal, Jean Chang, Hiram Clawson, James Cuff, Federica Di Palma, Stephen Fitzgerald, Paul Flicek, Mitchell Guttman, Melissa J. Hubisz



Received 25 January 2011
Accepted 05 September 2011
Published online 12 October 2011

The comparison of related genomes has emerged as a powerful lens for genome interpretation. Here we report the sequencing and comparative analysis of 29 eutherian(真獣類) genomes. We confirm that at least 5.5% of the human genome has undergone purifying selection, and locate constrained elements covering ~4.2% of the genome. We use evolutionary signatures and comparisons with experimental data sets to suggest candidate functions for ~60% of constrained bases. These elements reveal a small number of new coding exons, candidate stop codon readthrough events and over 10,000 regions of overlapping synonymous constraint within protein-coding exons. We find 220 candidate RNA structural families, and nearly a million elements overlapping potential promoter, enhancer and insulator regions. We report specific amino acid residues that have undergone positive selection, 280,000 non-coding elements exapted from mobile elements and more than 1,000 primate- and human-accelerated elements. Overlap with disease-associated variants indicates that our findings will be relevant for studies of human biology, health and disease.

マイコプラズマにマクロライドの理由

マイコプラズマにセファム系、ペニシリン系の抗生物質が効かない理由を覚えておこう。

マイコプラズマには細胞壁が無いから・・・・というもの。忘れてましたね、こんなこと。というかセファム系、ペニシリン系の作用機序も忘れてました。Wikiによるとマクロライドは細菌細胞の中に入り込み、リボゾームを阻害するとのこと。ヒトのリボゾームは阻害されない選択性があるのね。

一方セファム系、ペニシリン系はというと・・・・・・・

  1. 真正細菌の細胞壁の主要成分であるペプチドグリカンを合成する酵素(ペプチドグリカン合成酵素、ペニシリン結合タンパク、PBP)と結合し、その活性を阻害する。この結果ペニシリンが作用した細菌はペプチドグリカンが作れなくなり、その分裂に伴って細胞壁は薄くなり、増殖が抑制される(静菌作用)。

  2. また細菌は細胞質の浸透圧が動物の体液よりも一般に高いため、ペニシリンの作用によって細胞壁が薄くなり損なわれた細菌細胞では外液との浸透圧の差から細胞内に外液が流入し、最終的には溶菌を起こして死滅する(殺菌作用)。
ということだ。たまには温故知新もいいだろう。

2011年10月12日水曜日

マクロライド少量長期投与

マクロライド少量長期投与

最近呼吸器科紹介患者にクラリスロマイシンを長期に処方されていることが多くなってきた。このマクロライド処方では抗菌効果は期待していないと知って少し驚いている。抗菌作用の無いマクロライドの開発すらもくろまれているそうだ。

  1. 抗菌作用は不要
  2. 投与量はいずれの疾患でも通常量の1/2~1/3で、エリスロマイシン10~20mg/kg/日か、クラリスロマイシン5mg/kg/日を処方
  3. 3ヶ月服用で効果が出てくる
  4. マクロライドの中でも14員環構造をもつ薬剤には共通して気道の過剰分泌抑制、好中球性炎症の抑制、リンパ球への作用が明らかになっており、マクロライドはこれらの多くの作用点を持ち、全体として気道の炎症病態を抑制する
  5. 消化管運動を亢進作用もある。モチリン受容体に作用。この場合も、抗菌作用が期待できない少量投与で効果を発現

工藤翔二(元日本医大呼吸器教授):この先生がびまん性汎細気管支炎(Diffuse PanBronchitis: DPB) の4人にエリスロマイシンを長期投与治療した症例報告(1984年)からこの治療法は始まり、認知され、世界に広がったと本日知った。ご本人が書かれた小論があるのでnoteしておこう。

マクロライド少量長期投与治療法の意義

感染症 結核学術部会 工藤翔二

 
 マクロライドの抗菌活性以外の作用(新作用novel action)については、すでに大村 智博士(北里研究所)らの研究によって、エリスロマイシンに消化管蠕動ホルモンであるモチリンに類似した作用のあることが知られていた。引き続く、マクロライド新作用に関する研究の展開は、びまん性汎細気管支炎(diffuse pan-bronchiolitis、DPB)に対するエリスロマイシン少量長期療法(EM療法)に始まる。
  DPBは日本をはじめアジア地域に集積する難治性の慢性気道感染症であり、かつてその予後は著しく劣悪なものであった。EM療法は、たまたま我々が遭遇した1症例を端緒とするEM療法の発見(1984年)と、その後の二重盲検比較試験(道州省研究班)等の検証を経て確立した。現在DPBの予後は5年生存率90%以上へと著しく改善している。DPBに対するEM療法は米国内科専門医更新試験(2000年)に出題されるなど、今日では世界的にも認められている。そして対象疾患はDPBから慢性気管支炎、気管支拡張症、慢性副鼻腔炎、滲出性中耳炎などの上下気道の慢性疾患へ、薬剤はEMからCAM、RXM、AZMへと14、15員環を包括したマクロライド療法へと拡大し、欧米ではDPBと同様の難治性気道疾患である嚢胞性線維症cystic fibrosisへの臨床応用が多数報告されている。・・・・・・

文献

1)工藤翔二、萩原弘一ほか:びまん性汎細気管支炎にたいするエリスロマイシン小量長期投与の臨床効果一4年聞の治療成績、日胸疾会誌、25:632-42,1987

2) Kudoh S,Azuma A, et al:Improvement of survival inpatients with diffuse panbronchiolitis, Am J Respir Critic Care Med, 157:1829-32,1998

 
例によってクリックで大きくなります。

肺子宮内膜症:月経随伴性気胸

小生は婦人科ではない。しかしながら外科の外来をやっていると結果的に婦人科疾患である患者が少なからずやってくる。卵巣癌は年2例はくるだろうし、癌でなくても嚢胞性卵巣疾患は比較的多い。子宮筋腫で婦人科に紹介する患者も多い。自分でも縁があるなあと思う疾患は、何回かノートした子宮内膜症である。直腸やS状結腸でもみるが、臍まわりの腹壁や、帝王切開後の術創でも診たのでノートした。

最近子宮筋腫におけるMED遺伝子の突然変異の話題をノートしたが、その際「良性平滑筋腫の肺転移」について書いた。本当に子宮は変わった臓器であることよ。子宮内膜症の中には肺病変もあり、それは月経と共に喀血したり気胸をおこしたりするのだそうだ。まあこの病態のことは昔ノートしたので知ってはいたが、もちろん一度もこんな患者に遭遇したことはないし、一生みることも無いだろう・・・・と思っていた。

ところで先週のNHKのドクターGは最終診断がクラミジア腹膜炎→肝周囲炎(Fitz-Hugh Curtis syndrome)だったが、このクラミジア腹膜炎(Fitz-Hugh Curtis syndrome)というのもそう希ではなく、消化器外科外来にも時に現れる。番組の患者は右肩周囲の激痛というのが主症状だったのだが、その際の鑑別診断に「月経随伴性気胸」が出てきたのに驚いた。テレビに出てくる研修医は良く勉強しているものだね。というか、Fitz-Hugh Curtisや月経随伴性気胸というのは国家試験的には常識なのかもしれないな、ひょっとすると。詳細はボクには不明だが。いずれにせよ、月経随伴性気胸なんて症例報告的に少ないはずだ。はずだと思っていた。

ところが先日ある報告を読んで、ちと驚いたのだ。月経随伴性気胸を150例診たドクターがいるのだね、この国には。面白いよ。なにがって?

  1. 月経随伴性気胸は右肺にしか起こらない。150例全例右側であり、左を診たことがない。
のだそうだ。

    肺子宮内膜症   栗原正利
    呼吸 28 (10) p999-1003, 2009 より引用。

報告者は東京の日産財団法人日産厚生会 玉川病院 気胸研究センターの栗原正利医師。1986年の開設から2001年までの間に5400例の気胸を治療しているという。気胸のhigh volume centerなのだ。気胸は男女比が7:1らしい。だからこの5400例のうち女性患者は約700例である。右にしか起こらない理由はいまだ不明のようだが、これ面白いなあ。小生が遭遇するモンドール病は左がほとんどなんだけど。これらの左右偏倚は不思議だが、きっと理由があるはずだ。まあ、これは置いといてだな・・・

さて、先ほど150例が月経随伴性気胸と栗原正利医師は報告している。簡単な計算によると女性の気胸の5分の1が月経随伴性ー肺内子宮内膜症ーによるものだということになりはせぬか?これは驚きである。月経随伴性ー肺内子宮内膜症は比較的ありふれた病態ということになるではないか。

女性を診たら妊娠と思えというのは医療者としては全く正しい心構えであるが、今後は女性を診るときもう一つ「病態に子宮内膜症が潜んでいないか」疑うようにしよう。そうしよう。

2011年10月6日木曜日

マッキントッシュと私:人生はかないなあ

マッキントッシュにわくわくさせられた理由を考えてみた。当然初めの頃(90年代)のほうがインパクトは大きい。

  1. タブの存在:それまでNECのコンピュータで仕事をしてきた小生にとって、字間をあけることはすなわちスペースを挿入することだったわけだが、初めてマックで学会ポスターを作ったとき、タブという概念があることを教えてもらい、モニターどうりにプリントされたポスターの文頭がそろうことの美しさを見て感動した。本当に感動したのだ。これがWYSIWYG(ウィジウィグ)であった。WYSIWYGとはコンピュータのユーザインタフェースに関する用語で、ディスプレイに現れるものと処理内容(特に印刷結果)が一致するように表現する技のことであった。当時マックのみ可能であった。What You See Is What You Get(見たままが得られる)。90年代のマックの売り言葉のなかでも一番有名なのがWYSIWYGだった。

  2. レーザーライターの存在:1990年にドイツ・ハンブルグであった学会にポスターを持っていった小生であるが、ミルキーウェイというマックショップを学会2週間前に知り、毎日通ってポスターを作った。もう毎日が楽しくて楽しくて仕事が終わるのが待ち通しかった。小生に教えてくれたのはマックの達人というべききれいなおねえさんだったが、こまったのはこのお店、将来のお客である小生に使用料をとるわけだ。マックを一時間使うと200円くらい取られた。またレーザーライターで印刷するとA4一枚150円くらいだった。当時の正式のアップルストアはこのような上から目線の商売をしていたのだ。しかし一回レーザープリンターで印刷されたポスターを経験すると、もう元には(ドットマトリックスプリンターのことだよ!)戻れない。知的奴隷のようなものだね。

  3. ページレイアウトソフトの存在:きれいなおねえさんが小生に「ポスターを作るのならこのソフトね」と教えてくれたのがクオーク・エクスプレス(QuarkXPress 2.0J (1989))というソフト。マックを触ったことも無い小生が最初に使ったソフトがクオークなのである。今思えば笑止ものであるな。こんな高級なソフトで教える方も教える方だよな。でも感動しましたよ、このソフト。行間が変えられる。フォントサイズも0.01ポイントで変えられる。なにより驚いたのは字間を変えられるのだ。少ないながらポストスクリプトフォントも入っている。モリサワのフォントが入っているのだ。写植屋さんで作ってもらうよりもきれいな印刷物が手に入った。この頃(1990年代)のPSプリンターの印字の方が今のレーザープリンターの印字よリもきれいではなかったかと密かに思っているのだが、これは小生の勘違いであろうか?

  4. 値段のバカ高さこれらの機器のとりこになった小生としては、早速マックを手に入れたくなったわけだが、問題は値段であった。店頭にあった機器はMac IIci + 純正レーザーライターであったが、120万円+90万円くらいで合わせると200万円を超える。高値の華であった。職場のボスに訴えること約半年、漸く購入に成功した。Mac SE30と沖電気のPSプリンターであった。合わせて140万円である。ここでは沖電気のプリンターがみそである。純正のアップルレーザープリンター以外でポストスクリプトが出来るのはこの沖のプリンターだけだったのである。(モチロン商業用にはライノタイプのタイプセッターと呼ばれる器械はあったが、一般人には無関係のしろもの) この組み合わせは当時最強であった。値段は値段としてどうしても手に入れたくなる。

  5. ハイパーカードが無料で添付されていたこと:ハイパーカードはソフトウェアである。MS-DOSやMacOSではない。マックユーザーならだれでも使えるソフトウェアであった。気の利いた小学生でも使えるが、一方、頭の硬い大人にはとりつくしまのない、何をしたらいいのか全く意味不明のソフトであった。ただ出来上がったソフトー例えば英単語テストーとか、電話番号データーベースとかはー素人が作ったとは思えないくらい気が利いたインターフェースであり、実用的には申し分のないものであった。こんなソフトを無料でつけてくるアップルという会社に小生はいたく感激したものだ。

  6. エバンジェリストという言葉が世に出回っていたこと:布教者、伝道者という意味であろうか。もともとは宗教用語であるエバンジェリストということばはマッキントッシュとともに日本でも一世を風靡した。日本で一番有名なエバンジェリストは大谷和利さんであり、「マック教」ともいうべき活動をされた。当時どんな組織にもマックのエバンジェリストはいたのではないかと思う。高い器械だったことから、なかなか購入は難しかったが、小生などは組織の番頭さんになっており、また組織のエバンジェリストだったので、視界に入るパソコンからNECを駆逐し、すべてマックに置き換えたものだ。市場に出てくるあらゆるマックをいろんな形で手に入れた。面白かった。

  7. ソフトとハードが一体化していたこと: 一般人にはマック改造の余地がなかった。インテル系のコンピュータがプログラム可能だったのに対し(小生でも初めはBASICを覚え、後にはPASCALで当直夜勤表作成プログラムを書いたこともある)マックでは基本的にはそれを許さないシステム構成だった。ソフトウェアが優れていたため、それで十分だったこともある。

  8. 素晴らしいソフトウエアがそろっていたこと:古い順から好きなソフトを挙げると、ワープロでは「マックライト」英文ワープロでは「Write Now」である。今でもこの2つのワープロが好きだ。本当に使い勝手がよかった。Write NowはEndNote(文献作成ソフト)と早くから連動していたし。ドロー系では「マックドロー」これで十分だった。学会/論文にこれ以上は要らなかった当時は。ペイント系ソフトは余り必要を感じなかった。写真では「Degital Dark Room」であろう。グラフ作成ソフトではデルタグラフが良かったり悪かったり。これはバージョンアップをする度に出来・不出来の差が著しかった。(後のHP作成ソフトであるDream Weaverや写真アルバム作成ソフトであるも出来不出来が目立ったソフトである)デルタグラフより優れていたのは、KaleidaGraphかもしれないが、これも初期バージョンが美しかった。統計ソフトではStatViewが初期から良かった。私はこのVer 1.0を持っていたが、厚てのボール紙を折っただけの簡素なパッケージ(その中にフロッピーと英語の解説書が挟まっている)と値段のバカ高さが印象的。パッケージは例えて言えば、藁でくるんだ納豆のイメージである。値段は8万円だった。91〜2年のころはこんなソフトは売れないのだ。街中のアップルショップに一年くらいずーっと売れずに置かれているのを知っていた小生、店員と交渉したところ、なんと一万円で売るという。急いで買って帰りました。つい最近までバージョンアップを続けていたが、あの有名なStatViewだがver1.0から使っているユーザーはそうはいないと思う。プレゼン用のソフトはAldus Persuasionが人気だった。とはいえ、まだプレゼン用プロジェクターは一般には手に入らなかったから、これはスライド作成用であった。Persuasionで作ったプレゼンファイルを最後に専用のカメラ付き機械を使い、35mmカラーフィルムに焼き付けるわけだ。そして現像してもらう。マック登場以前、スライドを作るのに幾らかかったか覚えているだろうか? 青バック白活字のスライドを10枚作るのに確か5万円以上かかったはずだ。これは写植スライド原稿を活字で作ってもらうところから依託しての話。元原稿は手書きである。いずれにしても学会の一週間前にはほとんどできあがっておかないと予行演習もできない。ふところは大いに寂しくなる。そんな時代から、カラースライドが思いのままに数百円でできる時代になったわけだ。しかも予行演習はPersuasionファイルをパソコンモニターで流して済ませてしまえる。ミスや校閲はその場で修正し、学会直前に現像すれば無駄なお金がいらなくなる。皆さんのけぞって喜んだものだ。

  9. マックの月刊雑誌は魅力的であったMacLifeはいまの月刊女性雑誌と同じくらいファッショナブルな雑誌だった。MacJapanは中身が濃かった。Mac + Cyberという月刊誌はぶっ飛んでいた。前衛雑誌のような雰囲気の超オタクな雑誌。

  10. そんなこんなでアップルに夢中だった:だからつぶれてほしくなかった。小生がのめり込んだ頃から、漢字Talkが進化したり、カラー化が進んだり、マルティタスクが実現したり、true typeが登場したり、CDが読めるようになったり、あるいはインターネットが始まったりわくわくどきどきの時代だったが、しかしジョブズはいなかった、不在だったのだ。だからいつもアップルは存亡の危機にあったのだ。つぶれないように、それでだけを祈って、番頭さんはマックを買いまくった、買わせまくった。関係したマックは20台以上あるのだ。1企業を応援する為に、買いまくったわけであるが正直馬鹿である。stay foolishを実践したのだ。
           これからマックはどうなるのかな。

スティーブ・ジョブズ死去

スティーブ・ジョブズ死去

この日がくることは数年前から予想されていたとはいえ、ショックだ。初めてマックに触った日のことが鮮やかに思い出される。1990年の7月だったと思う。たった21年だったんだな。どう考えてもジョブズなしのマックはあり得ない。ジョブズなしのiPhoneはあり得ない。ジョブズなしのiPadはあり得ない。これで一応マックは終わったのだ。これからは新しいアップルのコンピュータの横で古いマックと古いOSを大事に大事に使っていこう。

合掌なんかしないぞ。勝手にくたばりやがって、このやろう。ジョブズの死で未来のことが全く考えられなくなる。夢が終わったな、今日。嗚呼。

2011年10月5日水曜日

樹状細胞がノーベル賞:微笑ましい

個人的には樹状細胞には縁がある。
  1. 自分ではやったことがないが、若い頃周りの先輩・同僚・後輩にS100蛋白を染めていたヒトが多かった。これはランゲルハンス細胞(樹状細胞)を染め分ける染色ということで、特に癌組織での免疫反応を見るのになかなか良い指標とされていたものだ。最初の頃は50ccのファルコンチューブに入った抗血清を後生大事に冷蔵庫に入れていたなあ、皆さん。アザイドを入れ忘れて、腐らせると上司からこっぴどく怒られていた。この抗血清は染まり具合がとてもよく、どんなホルマリン切片でも、かなり切れ味鋭く明瞭に樹状細胞を染め出していた。概略、この細胞が多く認められる癌患者の予後は比較的良いというものである。この研究の土台には、癌間質のリンパ反応というものがあるのだ。病理学教室でたくさん胃癌標本をお持ちのところで確かめると良いが、癌組織の周辺にリンパ球が浸潤している癌患者というのが必ずある一定の数ある。同程度の病期であってもリンパ球浸潤の多い癌患者は、予後がよろしいことは昭和の30年〜40年ころから知られていた。これが何を意味するのか? 癌免疫のmajor playerを知るのに、当時はまだCD抗原が無かったのである。但しS100蛋白は知られていたのだ。昭和50年台であろうか。そんなこんなで、全国的にS100蛋白を染めることが流行った時代があったのだな。今ではCD抗原があるので、樹状細胞はそちらで染めるようだ。今S100蛋白といえば、メラノーマやある種の腫瘍を染めるときに使われるようだ。

  2. 1990年初頭にベルギーのブーンというひとがMAGEという抗原型を見出し、これ以来癌・精巣抗原としてペプチドワクチン治療が始まった。サイエンスに載った彼らの論文はそれまで免疫治療が非科学的とののしられていた状態を打ち破るものとして喝采をあびたのだ。非特異的免疫治療がようやく「分子」を相手に免疫治療を行える時代に生まれ変わった先駆けだったわけだ。治療として合成ペプチドを作って処理させる相手が患者「樹状細胞」なのである。その後MAGE 以外にもいくつもの癌・精巣抗原が見出されている。ペプチドワクチンにおける日本の貢献は実は大きく、初期段階では弘前大学の伊東教授(後の久留米大学)やNIHの河上先生(後の慶応大学)が先陣を切っていた。その後は例えば長崎大学の玖珠先生(後の三重大学)、九大生医研、東大医科研の中村先生などが活躍されたが、でもなんといっても樹状細胞そのものの本質的研究を行っていたのは京都大学の稲葉カヨ先生であろう。

  3. 今回のスタインマン教授の樹状細胞によるノーベル賞について、いろんな方がいろんなコメントを寄せられると思うが、小生は稲葉カヨ先生のコメントをお聞きしたい。なんといってもスタインマン教授のお弟子さんということだし。

  4. 膵癌で4年も治療されていたスタインマン教授であるが、その最後に受けていた治療が実はご自分の開発されたペプチドワクチンー樹状細胞治療だったようだ。それが小生にはうれしい。大変な療養生活だったと思われるが、膵癌で4年は長い。ご自分がその分野を作った樹状細胞で自分の最後の治療をされ、残念ながら亡くなったとはいうものの、でもノーベル賞が授与された(受賞に間に合えばよかったのだろうがね)。こんな素晴らしい話が他にあるだろうか。

2011年10月2日日曜日

疾患ガイドライン批判

他科疾患のスタンダード診断・標準治療方針を知るというのは、実はそう易しい話ではない。たとえば糖尿病。新しい薬があとから、あとから出てきているのがここ10年。現役最前線の先生にして、新しい薬の臨床感覚(使える薬なのか?副作用は製薬会社の言う通りか?)をつかむのに数年はかかるはずで、そう言う意味では非専門医が標準治療をコンテンポラリーに知るのはなかなか大変である。

関節リウマチも診断基準から最新治療方針まで、がらりと変化したことに気が付いていない他科診療者はまだまだ多いと思う。

昨日書いたB型肝炎の治療法の進展についても同様だ。私の意識の中では肝炎では(1)インターフェロン→PEGインターフェロンと進んでいること、(2)患者の遺伝子多型によりあるいは肝炎ウイルスサブタイプにより効果のほどが異なることが知識の最前線であった実は一昨日紹介転院してきたB型肝炎・肝硬変・肝癌の患者さんの持参薬を大幅に整理縮小しようとして「核酸アナログ製剤」にぶち当たったというのが小生にとってのバラクルードへの意識の芽生えであった。

【ホームページと疾患ガイドラインのこと】

このような日進月歩の変化のなかで、実は頼りにすべき情報はあまり多くないのである。ネット情報は玉石混交である。嘘だとは言わないが、実は古い情報が多すぎるのである。他科疾患に関してはこれが困る。

熱意を持ってHPを充実させた時期というのが各医療機関にはある。病院管理者がようやくネットの価値に気が付き中間管理職に魅力的なHPを作るように命じた時期。国や役所が積極的に指導した時期。病院機能評価がますます盛んになってきた時期いろいろあるが、多くは今から5年前くらいのHP(ホームページ)が出来がよい。実に立派な美しい熱のこもったページが多いのであるが、しかしながら作成以来更新されていないHPが実に多いのである。HPが作成時から変わらないのでは困るのである。2011年の現在、一昔前の情報をそれらしく掲載されても困るのである。ためしにリウマチ、白血病、肝炎でネット検索をやってみると良いが、各疾患の2011年における概説を知るのに頼りになるページを捜すのはなかなか困難である。

古い情報は積極的に消してしまうシステム・ルールを早急に作らないとだめだな。外部介入は最後の手段だ。だからもちろん各医療機関が自主的に行うべきで、これ早めに内部から改革しないと、そのうち医療事件の原因になることすら予感されるので喫緊の課題だ。


次にガイドラインである。これは多くは厚労省関連研究班か各種学会がサポートしている。これも玉石混交である。全てに目を通しているわけではないし、そんな立場でもないが、10近くに目を通した段階でこれは良くできていると思うガイドラインとこれはひどいと判断せざるを得ないガイドラインがあるので敢えて紹介したい。

ガイドラインとして極めて良質の出来だと思われるのは「抗 HIV 治療ガイドライン」である。

非専門家が読んでもわかる。論理的である。なによりガイドラインでありながら、生き生きと血が通っており熱意を感じる。最初に小生が読んだのは2009年版だったが、毎年最新版がでているのが素晴らしい。


一方これはいかがなものかと思われるのが、日本肝臓学会の編纂による「慢性肝炎の治療ガイド 2008」である。

非専門家にとってわかりにい。構成が非論理的である。熱意を感じない。1200円という価格で文光堂から発行されているにも関わらず、誤字もあれば校閲も行われていない。(p14表4の説明文、p45文頭の突然の文体変化等々)とにかく読みにくい。これではガイドラインにならないというのが、文責者の岡上武先生や林紀夫先生にはおわかりにならないのか?こんなものに文責者として名前を出されて恥ずかしくないのだろうか?肝臓学会の先生方は、早急に改訂版を用意されたほうが良いと思う。


ガイドラインというのはやっつけ仕事で出して欲しくない。病院機能評価とかいろいろな事情で全国的にガイドラインが必要になるご時世ではあるが、本質的には患者のため、それと実は非専門医のためにもガイドラインは必須なのである。非専門医の元に現れた患者殿を専門医に紹介しなくてはいけないからね、私らは。そんな非専門医にわかるガイドラインであって欲しい。これは実は極めて高いハードルなのである。非専門医といっても、他科の専門医であり、目は肥えている。論理が通らないものは許さない。

ガイドラインの指標には「抗 HIV 治療ガイドライン」を参考にしたら良い。HIVの患者には一回しか接したことのない外科の小生が、その患者をどうしたらよいかわからず参考にしたのがこのガイドラインである。それでも大変わかりやすかった。助かった。

(1)専門病院・センターのホームページを常に新しいものにリフレッシュすること及び、(2)疾患ガイドラインを責任もって最高のものにすること。この二つを全国の関係者に強くお願いしたい。

NHKのドクターGで感心したこと

ドクターGというテレビ番組がある。時々観るが余り感心しないことが多い。あまりにマニアックな病態が多いからである。二〜三週間前の最終診断は「腹直筋鞘血腫」。こんな病気は知らなかった。聞いたことも診たこともない。病態としてあり得ることは了解できるが、なかなかそんな病名は思いつかない。だけど解剖学的(つまり触診で)にあるいは超音波で直ぐに病気の存在はあたりががつきそうだとはおもうぞ。この番組できるだけ病歴だけで診断にという趣旨であるから、なんだか実地臨床とはかけ離れているなあと思っていた。

そんな中先週の腰椎骨髄炎と感染性心内膜炎には感心した。この症例は極めて教育的だったと思う。鈴木富雄さん(名古屋大学医学部附属病院総合診療科)は上手だなあ。

どこかで見たことのある先生だと思ったら、ケアネットDVDの

  1. Dr.鈴木の眼底検査完全マスター ケアネットDVD
  2. 亀井道場スーパーライブ 臨床呼吸器ブラッシュアップ
  3. Dr.岩田のFUO不明熱大捜査線
に登場していた。小生は3年ほど前にこの3本(正確に言えば上下あるから5〜6本)愛聴していた。ケアネットDVDの初期の作品は高いお金を出しても聴いておくべきものがあり、総合診療の鈴木富雄さん、呼吸器の伊賀 幹二さん、整形外科の仲田 和正さん、岸本 暢将さんの「作品」は繰り返し拝聴した。中高年医師が改めて他科疾患の現状をおさらいするのにケアネットDVDを初めとするAV環境が整っているのは極めてありがたい。

で他科疾患への知識ブラッシュアップをどうするかということについて考えてみた・・・以下次号。

2011年10月1日土曜日

バラクルードで知っておくこと

HBV陽性で35歳以上のひとに考慮すべきこと

http://bms.m3.com/ck9a5a49c4a5b00ac73c5a38d96344b38c742/contents/prominent/05/index.html?cid=20110911VJ

2011年9月30日金曜日

遊走性関節炎でしょうかね?

今朝の最後の外来患者は関節痛を愁訴とする65歳男性。午後からは整形外来もあるのでそちらにどーぞと言いたかったが、なんだか病歴が奇妙であり診ることに。

☆☆
☆ 病歴 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

この半年の間に全身の関節に数日だけ炎症が出るのだそうだ。一回出ると数日腫れ上がり痛いのだとか。無治療でも直ぐに炎症収まるが、しばらくすると全く別の関節がやられる。今朝は左の4指の基節部が相当に腫れ上がっていた。数日前のランセットの小指とまではいかないが、それに似た状態だ。この他に右の下肢の足指が侵されている。
これまでに10個近い関節がやられたようだ。小関節中心だな。

実は10年前に同様のエピソードが半年続いたそうで、近医で「関節リウマチ」を疑われている。程なくして消退したので放置していた。
母親が「関節リウマチ」でRAには絶望的イメージを持っている。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

そんなこんなだが、まず浮かんだのは「遊走性関節炎」という言葉だ。これはmigratory arthritisの訳語のようだが、今ではmigrating arthritisとも言うらしく、日本語では移動性関節炎ともいうらしい。

遊走性関節炎はケアネットDVDシリーズのDr.岸本の関節ワザ大全<第1~3巻セット>で覚えた(様な気がする)。

まあ最低RAは否定しておきたいので本日は例の抗CCP抗体とCRP ESRを採血して、明日の膠原病外来へ回って頂いた。

なんか頭に引っかかった遊走性関節炎ではあるが、外来中は「淋菌性関節炎」のことまでは思い出せなかった。あとで調べて「あったよな〜〜」と・・・。

移動性関節炎
  • 急性リウマチ熱
  • 播種性淋菌感染症
  • 播種性髄膜炎菌感染症
  • ウイルス性関節炎
  • 全身性エリテマトーデス
  • 急性白血病
  • Whipple

2011年9月28日水曜日

MDSにおけるスプライス蛋白変異(2): サンガーからNEJM

MDSにおけるスプライス蛋白変異について今度はサンガー研究所からNEJMに報告が出た。前回の東大小川さんの報告と違うのは、
  1. スプライス関連蛋白パスウェイが変異を受けるという捉え方ではなく、その中の一つSFB1が(比較的)高頻度に変異を受けるという報告になっていること。(72/354 20%)

  2. MDSのサブタイプでsideroblastsを伴うグループに変異が多いこと(53/82: 65%)

  3. そのグループ(SFB1変異陽性群)は比較的予後がよろしいとのこと

  4. MDS以外の広範な腫瘍群へ解析が及んでいること。他のタイプの白血病、乳癌を初めとする固形癌には5%以下の頻度で(例外的に)変異を認める程度であり、この変異はMDSに集中していることを示している。
スプライス蛋白変異というのが確かにある種の癌化に関連していることは間違いなさそうである。

Original Article

Somatic SF3B1 Mutation in Myelodysplasia with Ring Sideroblasts

E. Papaemmanuil, M. Cazzola, J. Boultwood, L. Malcovati, P. Vyas, D. Bowen, A. Pellagatti, J.S. Wainscoat, E. Hellstrom-Lindberg, C. Gambacorti-Passerini, A.L. Godfrey, I. Rapado, A. Cvejic, R. Rance, C. McGee, P. Ellis, L.J. Mudie, P.J. Stephens, S. McLaren, C.E. Massie, P.S. Tarpey, I. Varela, S. Nik-Zainal, H.R. Davies, A. Shlien, D. Jones, K. Raine, J. Hinton, A.P. Butler, J.W. Teague, E.J. Baxter, J. Score, A. Galli, M.G. Della Porta, E. Travaglino, M. Groves, S. Tauro, N.C. Munshi, K.C. Anderson, A. El-Naggar, A. Fischer, V. Mustonen, A.J. Warren, N.C.P. Cross, A.R. Green, P.A. Futreal, M.R. Stratton, and P.J. Campbell for the Chronic Myeloid Disorders Working Group of the International Cancer Genome Consortium

September 26, 2011 (10.1056/NEJM  oa1103283)


Background

Myelodysplastic syndromes are a diverse and common group of chronic hematologic cancers. The identification of new genetic lesions could facilitate new diagnostic and therapeutic strategies.

Methods

We used massively parallel sequencing technology to identify somatically acquired point mutations across all protein-coding exons in the genome in 9 patients with low-grade myelodysplasia. Targeted resequencing of the gene encoding RNA splicing factor 3B, subunit 1 (SF3B1), was also performed in a cohort of 2087 patients with myeloid or other cancers.

Results

We identified 64 point mutations in the 9 patients. Recurrent somatically acquired mutations were identified in SF3B1. Follow-up revealed SF3B1 mutations in 72 of 354 patients (20%) with myelodysplastic syndromes, with particularly high frequency among patients whose disease was characterized by ring sideroblasts (53 of 82 [65%]). The gene was also mutated in 1 to 5% of patients with a variety of other tumor types. The observed mutations were less deleterious than was expected on the basis of chance, suggesting that the mutated protein retains structural integrity with altered function. SF3B1 mutations were associated with down-regulation of key gene networks, including core mitochondrial pathways. Clinically, patients with SF3B1 mutations had fewer cytopenias and longer event-free survival than patients without SF3B1 mutations.

Conclusions

Mutations in SF3B1 implicate abnormalities of messenger RNA splicing in the pathogenesis of myelodysplastic syndromes. (Funded by the Wellcome Trust and others.)