2023年3月29日水曜日

英語の返事をChatGPTに作ってもらう:実例二例

 ChatGPTの実力を知っていただくには、実例を示すしかない。

たとえばJournal of Surgical Gerontologyから「査読で合格した論文をEditorialで取り上げたいからふさわしい研究者を推薦せよ」という以下のようなメールが届いたとする。

返事を二種類作らせてみたい。最初は「Editorialに推薦するほどの論文ではないよ」という返事。2つ目は「Editorialsitとして二人推薦する、その理由はかくかくしかじか」というものである。これが日本語の書きなぐりでできるのである。

              ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

まず第一のやりとりはかくのごとし・・・・・

下のメールに返事を英語で作って 

要点は1)editorialistを選ぶにふさわしい論文ではない、2)rate the priorityは2かな、3)tweetは不要 

以上よろしく!

From: Journal of Surgical Gerontology
Sent: Tuesday, March 7, 2023 11:58 PM
To: Taro Saito, MD Cc: admin@jsgeditorial.org
Subject: Your Editorial and Social Media Recommendations Sought – JSG 2022-12-3170.R1, Prognostic estimates of tumor-associated peroxisome in patients with adenocarcinoma of the lung 

Title: Prognostic estimates of tumor-associated peroxisome in patients with adenocarcinoma of the lung Authors: Judge Smith 

07-Mar-2023 

Thank you for handling the above accepted paper. Please respond to this email by suggesting an editorialist for this manuscript if appropriate. It is the journal's goal to have all topics represented in its published commentary about its articles, including from your section. 

If you think this paper is worthy of an editorial, please rate the priority of this paper on a scale of 1-5, with 5 being the highest priority. Any additional comments you have for Kelit Bushes about the worthiness of this paper as the subject of an editorial are appreciated in advance. 

Also, please let us know if you recommend this paper to be tweeted on Twitter by the JSG Social Media Committee. 

Your recommendations are appreciated in advance. Your editorial leadership of the journal is valued and appreciated. Thank you again. 

Sincerely, 

Geiten Verdenefine
JSG Editorial Office

コピペで貼り付けるだけ。すぐに帰ってくる返事がこれだ。

Subject: RE: Your Editorial and Social Media Recommendations Sought – JSG 2022-12-3170.R1, Prognostic estimates of tumor-associated peroxisome in patients with adenocarcinoma of the lung 

Dear Geiten Verdenefine, 

Thank you for reaching out regarding the manuscript "Prognostic estimates of tumor-associated peroxisome in patients with adenocarcinoma of the lung" by Judge Smith. 

After careful consideration, I believe that this paper is not suitable for an editorialist, as it does not sufficiently contribute to the overall discourse in a manner that warrants additional commentary. Therefore, I would rate the priority of this paper at a 2 on a scale of 1-5. 

Additionally, I do not recommend this paper for promotion on Twitter by the JSG Social Media Committee. I believe there are other manuscripts that may be more fitting for such exposure. 

Thank you for your continued trust in my editorial judgment, and please let me know if you have any further questions or concerns. 

Sincerely, 

Taro Saito, MD

          ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

さて、べた褒めしたいとき、推薦人を二人つけてみたいとき。そんなときは・・・

下のメールに返事を英語で作ってくれ。

要点は

1)editorialist候補の一人目は東京大学外科学教室のDr. Yukio Fujiki であり彼はperoxisome研究の第一人者だから。もうひとり挙げるとすれば、ハーバード大学外科のDr. Sachiyo Nomura であり彼女はcancer-stromal interaction の第一人者だから。

2)rate the priorityは5かな、
3)tweetで広く公知する必要あります。

以上よろしく!

書き込むとすぐに返事がくる。かくのごとし・・・

Subject: RE: Your Editorial and Social Media Recommendations Sought – JSG 2022-12-3170.R1, Prognostic estimates of tumor-associated peroxisome in patients with adenocarcinoma of the lung 

Dear Geiten Verdenefine, 

Thank you for reaching out regarding the manuscript "Prognostic estimates of tumor-associated peroxisome in patients with adenocarcinoma of the lung" by Judge Smith. 

I believe this paper is indeed worthy of an editorial. I would like to suggest two potential editorialists for this manuscript. The first candidate is Dr. Fujiki Yukio from the Department of Surgery at the University of Tokyo. Dr. Fujiki is a leading expert in the field of peroxisome research and would provide valuable insights on the subject. The second candidate is Dr. Nomura Sachiyo from the Department of Surgery at Harvard University. She is a renowned expert in cancer-stromal interaction, which could offer a complementary perspective on the topic. 

Considering the significance of the research presented in this manuscript, I would rate the priority of this paper as a 5 on a scale of 1-5. 

Furthermore, I highly recommend this paper to be promoted on Twitter by the JSG Social Media Committee. It is crucial to share this valuable research with a broader audience, as it can potentially have a substantial impact on the field. 

Thank you for your continued trust in my editorial judgment, and please let me know if you have any further questions or concerns. 

Sincerely, 

Taro Saito, MD

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

返事としては十分すぎる内容ではないでしょうか、皆様。小生がChatGTPに与えた指示はぶっきらぼうだし、なにより日本語なのだ。それでも返事はこれだ。

僕はChatGTPは使えると思います。

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追伸(1):Journal of Surgical Gerontologyなんて雑誌はありません(笑)。お里が知れないようにでっち上げています。あしからず・・・

追伸(2):以上はChatGTP plus(GPT 4)を使って行った。GPT 3.5でも十分な返事が来るが、ややそっけない。この2つのバージョンの差をAI業界は驚異的に捉えているが、もともとのGPT 3.5でも「やるなあ!」というのが小生の評価であります。バージョンの違いを試されるのも面白いですよ。










2023年3月26日日曜日

koukun さんのコメント...

早速コメントを頂きました。このブログ・システムはコメント表示が苦手なので、全文引用でもう1ページつくりました。koukun さんありがとうございました。



koukun さん

先生のおっしゃるとおりです。
chat GPTは実際に触ってみると、衝撃以外の何物でもありません。

試しに後輩のライングループで聞いてみましたが、複数名 「やばいです」 の返事がありました。
なにがやばいかというと 全部ですね笑。

論文の発想と地味なデータ集めは人間が行って、どういうふうに解釈するかもそこから導かれる結果もchat GPTが作ってくれるようになるのでしょうか。我々人間は「何が主張したいのか?」にのみ、集中することができるのかもしれません。

人類史上最もいい時代に生まれてきた我々はどこに向かっていくのか。
これからも目が離せません。

先生のブログ いつも楽しみにしています

koukun さんコメントありがとうございます。論文については、作成して投稿→査読にまわり→返送され→実験を追加し書き直し→再度投稿→再査読→アクセプトというスタイルは早晩なくなるとの見方があります。我々が研究にせよ、臨床にせよ参考にすべき指針は一体この先どうなるのでしょうね。新しいスタイルは既存のスタイルを超克すると信じたい。

今の時代を生きてきて、「人類史上最もいい時代に生まれてきた我々はどこに向かっていくのか。」と言えるkoukun さん素晴らしいと思います。このポストコロナで、気象がおかしくなりかけていて、「いわし」も「さんま」も「さば」も取れなくなって、「卵」も希少なものとなっている時代にね。皮肉でなく、私も完璧に同意したいと思います。久しぶりにワクワクできるものに出会ったからです。


なぜChatGPTを旧来のマスメディアは無視するのか?


これほど面白くインパクトの強いChatGPTであるが、旧来のメディアである週刊誌や月刊誌はほとんど記事にしない。私がChatGPTの出現に最初に気がついたのが2023年1月20日ころであり、すでに2ヶ月経つ。この間月刊誌であれば2回、週刊誌は10回ちかく記事にする機会があったはずなのに、全くといって触れない(気がついた範囲では週刊文春が「品のない高齢者記事について」一回、それと今月のアエラが「ChatGPTと仕事」について書いていただけだ)。 

僕はここのところ本屋を定期定点観測しているが、ITやAI関連の書棚も全く変化がない。アマゾンで新刊を調べても電子書籍としてのChatGPT関連本は多いが、紙媒体はほぼ皆無だ。 なぜ僕がそこまでするかというと、2月の上旬にChatGPTを詳しく知るに至って、これは「パラダイム・シフト」を目撃できるかもしれないなと気がついたからなのだ。一般人の一人に過ぎない僕にとってこれまで起こった「パラダイム・シフト」(たとえば iPhoneの登場)は終わってしばらくして気がつくというパターンであり、渦中には気がつくことなどありえなかった。「パラダイム・シフト」を目撃したい、渦中にいてもあとから振り返って忘れないようにその移り変わりを記録しておきたいと考えた理由である。終わってしまうと、なかなか昔がどうだったが思い出せなくなる。 

 ChatGPTによるパラダイム・シフトは確実に訪れる。間違いない。例えば僕は最近では査読事務関連の英語レター返事はChatGPTに書いてもらっている。これはとても便利である。ChatGPTに相手のメール内容(固有名詞はセキュリティ上、変更しておく)を貼り付け、返事の要点を日本語の単語レベルで書きなぐる(例えば(1)アサインは東都大学の岡本太郎さん(メルアド:otaro@totouniv.jp)(2)評価はレベル4(3)大事な内容なので指定のアドレスでtweetしておいて)以上の要点で返事を書いて!といえば、素晴らしい英語の返事が直ちに帰ってくる。面白い。なにより時間の節約だ。 

 そんなことをしていると、まてよ、査読そのものもChatGPTでできないかしらと思ってしまうが、今のレベルではまだ無理であろうことは、この二ヶ月の経験でわかっている。最新の医学生物学を任せるにはまだまだ実力不足である。しかし1年もすれば、十分可能となるであろう。それくらいのポテンシャルはありそうだ。

 ところで査読をChatGPTでやれるなら、論文作成はもっと更にChatGPTに向いているとはいえないだろうか?これが可能になったならChatGPTの出現によるパラダイム・シフトが起こったことにほかならない。なぜならこの変化がすぐに我々に投げかけるのが、根本的には科学研究における成果の評価とは?という問いであり、もっとレベルを落とした表現をすれば「論文執筆ってなんなの?」という話なのだから。

 これは医学生物学の狭い範囲に限らず、科学研究や教育に根本的な変化をもたらすことは間違いない。 まったくもって目が離せないし、科学技術ロートルの高齢者である小生でも今ならなんとかついていけそうなレベルだし、可能ならば利用しない手はないと思える。なによりわくわくする。全く恐怖はない。畏れることなどなにもない。自分でどんどん使っていくことができる技術なので、新しいおもちゃを与えれらた子供のようなワクワク感がある。毎日いろんな角度(小説を書かせることが本当にできちゃうのだ!  あるいは医師国家試験はそこそこ解けるとの報告があるが実臨床レベルの問いかけにはまだまだ頼りないとか、実感してみるのは面白い)からチャレンジしている次第である。

 さて、旧来のマスメディアが無視していることについてだが、その理由は1)記事にする価値がないと旧メディアが判断しているか、2)ChatGPTの価値に気がついていないかだが、おそらく真実はそうではないだろう。僕が推測するに、旧来のマスメディアは「恐怖」してすくんでいるのだと思う。メディアの今後に対する不安から、敢えて目をそらしている。 最近本屋で「ChatGPTと仕事」を載せたアエラの最新号の横に「週刊朝日」が並んでいた。去りゆく旧メディア(「週刊朝日」は5月で終刊する)との対比で象徴的だ。