いつぞや下腿の対称性浮腫についてメモしたが、きっかけになった患者についてはいろいろ調べた。
結論をいえば「リリカの副作用」ということになろう。
元来進行直腸癌術後一年の患者殿であり、先月はひどい左上肢帯状疱疹で入院していた。この二年で診た帯状疱疹のなかでも皮膚症状は最悪に近かった。ビランではなく3カ所皮膚潰瘍ができてしまったからな。痛みも強く、ペインクリニックを通してリリカの処方が始まったわけだが、これはよく効いてくれていた。外来で調子良くいっていた。
ところが振り返って勘定するとリリカ処方開始2週間くらいから、下腿浮腫が始まった。その後一週間で呼吸喘鳴(軽度)が始まったという。食欲は良好だったが、体重増加も顕著である。一般状態は悪くないのだが、見かけがかなり顕著に変化した。だって二週間で体重が8kg増加したというから。入院させて、循環器内科といろいろ検討した。心エコーは二回したがまず重症心不全はないだろうと。アルブミンや腎機能は悪くない。凝固能やD-dimerもまあまあ。TSH/F-T4もまずまず。癌の再発もなさそうだし、骨盤内占拠病変もない。
結局のんでいたロキソニンをまず中止したが、あまり顕著な変化がなかった。しばらくして「リリカの副作用」に気がついたのだ。まあ、これを止めるのはつらい選択だったが(PHNによく効く薬を再度探すのはなかなか大変)、やめると一週間で体重が減り、下腿のしわが戻ってきた(利尿薬は随分前から出していた・・・)
下腿の浮腫なんて、よく調べれば入院患者のほとんどに見られるくらいありふれているが、急にくるとなるとそれなりに理由があるということだな。それと薬剤の作用は一度は調べておかなければいけないのだ。ちなみにリリカによるこの「体重増加」という副作用は〜 1%と記載されているから必ず知っとかなければいけないというほどでもないのだが、しかしネット記事によると「体重増加」は一部ではよく知られているようでもある。いずれにしても反省させられましたな。
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