2018年10月20日土曜日

皇后陛下:ジーヴスも2,3冊待機しています。

今朝新聞を読んでいて、とてもすがすがしく気分の良い自分に気がついた。あるページだけが他のあらゆるページにくらべて、まったく違った時間が流れているように思われたからであり、この人達がいる限りボクは生きられると思ったし、あるいはこの人達の存在はかけがえなく自分にとって大事だなと再確認した次第である。

そうなのだ。今日は日本国の皇后の誕生日なのである。その談話というのが新聞には掲載されている。僕は美智子妃が好きなので、あの方の談話やお言葉はよく読むようにしている。

彼女が国民である我々に伝えたいと思うことは、かなり洗練された形で表現されるので、一読でその真意がわかることは少ない。ただ、かなり長い間心のどこかに留まるようであり、少なくともボクなどは何年も何十年も時に思い出されるフレーズがあり、その積み重ねがうねりのように多重的にボクのこころを揺さぶる。

今朝の談話の一部(宮内庁HPより)を抜粋しよう。


  • ・・・公務を離れたら何かすることを考えているかとこの頃よく尋ねられるのですが,これまでにいつか読みたいと思って求めたまま,手つかずになっていた本を,これからは1冊ずつ時間をかけ読めるのではないかと楽しみにしています。読み出すとつい夢中になるため,これまで出来るだけ遠ざけていた探偵小説も,もう安心して手許に置けます。ジーヴスも2,3冊待機しています。
  •  また赤坂の広い庭のどこかによい土地を見つけ,マクワウリを作ってみたいと思っています。こちらの御所に移居してすぐ,陛下の御田おたの近くに1畳にも満たない広さの畠があり,そこにマクワウリが幾つかなっているのを見,大層懐かしく思いました。頂いてもよろしいか陛下に伺うと,大変に真面目なお顔で,これはいけない,神様に差し上げる物だからと仰せで,6月の大祓おおはらいの日に用いられることを教えて下さいました。大変な瓜田かでんに踏み入るところでした。それ以来,いつかあの懐かしいマクワウリを自分でも作ってみたいと思っていました。・・・・


このマクワウリの一文には思わず微笑むしかない。「大変に真面目なお顔で,これはいけない,神様に差し上げる物だから」なんて会話している人たちが平成30年に日本にいるのだから嬉しくなる。「大変な瓜田かでんに踏み入るところでした」なんてユーモアも相変わらずである。

少なくとも日本列島には(日本人)は数万年住んでいると想像するが、このお言葉は数万年生き続けている(日本人)を強く意識し、その末裔を代表する言葉である。あるいは数万年生き続けていることを、そして今後も千代に八千代に生き続けていくことを祈る(日本人)を代表する言葉であるとボクは思う。

農耕を始めて5000年、近代文明を始めて200年、IT文明を始めて30年程度でひっくり返されることのない人類の知恵を、秘め事を、生きるすべを知るヒトの言葉であろう。

天皇制の功罪についてはボクは非常に困った制度だとこれまでは考えてきた。日本人はこのような神聖に圧倒的に弱いことにかこつけて歴代の権力は好き勝手なことをして、責任を取らない。明治政府がそうであろうし、太平洋戦争もそうである。戦後の一時期もそうである。

ただ今の天皇と皇后は違う。かなり積極的に「好き勝手なことに」むけて対峙する。こころ強い存在です。

まだまだの御安寧をお祈りするばかりです。

近代文明を始めて200年、IT文明を始めて30年程度の価値観でこの日本をひっくり返してほしくないと願う一日本人として、かれらのあるいは彼らの健全な精神が次代に引き継がれることを切に祈るばかりです。


最後に「ジーヴス」って何?と思ったあなたはボクのお仲間。美智子さんすごいは、あのお年で。当たり前のように英語でお読みになるのでしょう。待機しているのは原書かしらん。





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