2019年3月7日木曜日

NEJMのイメージ:ドーナツ病変・・・娘の病気を思い出させる














NEJMの画像であるがまず溶連菌感染症の画像である。僕は小児科ではなくこのような所見にしょっちゅう出くわすわけではないので、これがどれくらい珍しい現象なのかわかりません。 NEJMが取り上げるくらいだから、きっと珍しいけど、でも特徴的な写真なのでしょう。

私はこのA型溶連菌感染症には懐かしい思い出がある。アメリカ留学中に娘が喉をやられたので小児科のお医者さんのところへ連れて行ったときのこと。

小児科医はゼーボット博士という方だった(なんと今でも名前を覚えている!)が、これこそ臨床医という風貌の穏やかでやさしい先生だった。手際よく診察してくれたあと病名を告げられた。

「Scarlet Fever」だね。

ちょっと驚いた。「よくあるんですかこちらでは」と尋ねると十年ぶりかに診たという。そして「アジアではまだ流行しているのかね」と逆に聞かれた。

ホントかなあ。半信半疑である小生に彼は告げた。「すべての症状が収まるころ、きっとお嬢さんの指の皮膚がむけてくるから驚かないように」というのだ。

ほとんど検査らしい検査をせずにアンピシリンを渡されてその日は終わった。

2週間位たったころ、娘の指の皮膚がむけ始めたのでびっくりした。

小生が生涯でおそらくたった一回出会った「猩紅熱」のエピソードでした。

An otherwise healthy 9-year-old girl presented to the primary care clinic with a sore throat and fever. Her temperature was 38.5°C. Physical examination revealed swollen and tender cervical lymph nodes, an inflamed uvula, enlarged tonsils, and “doughnut” lesions on both the hard and soft palates (Panels A and B). A rapid antigen detection test for group A streptococcus was positive. Throat culture confirmed group A beta-hemolytic streptococcus. “Doughnut” lesions are erythematous papules with a pale center that may be present on both the soft and hard palates. The presence of these lesions is a clinical sign that has historically been associated with group A streptococcus pharyngitis. The patient was treated with a 10-day course of oral amoxicillin and recovered without complication.


Akira Kobayashi, M.D.
Nanmei-kai Miyagami Hospital, Kagoshima, Japan
Hiromichi Iwasaki, M.D.
University of Fukui, Fukui, Japan
小林先生は徳之島 宮上病院の先生なんだ!
そして岩崎先生は福井大学の医療環境制御センター 感染制御部 教授

このお二方はどんなつながりがあるのだろう。想像力を掻き立てるNEJMのイメージコーナーでした。僕の大好きな「An otherwise healthy」も使っているし・・・