2007年の末にブログは備忘録に大変よい道具だということを発見した。それ以来、気が付いてはメモを残してきた当ブログであるが、先日の「本日は日曜日」という投稿で1000の大台に突入した。7年間で1000である。
この Bloggerというブログにはいろんな統計装置がついているが、毎日の訪問者数や過去の累積訪問者数といった数だけではなく、どの国からの訪問者が多いかなどを見ることができる。昨年はえらく訪問者が増えたと思ったら、これがアメリカからの訪問であり、ちょっと調べるとvampiestなる不愉快なサイトからだということが解った。どう対処してよいのかわからなかったから、しばらく鳴りを潜めていたら(投稿を止めていたら)、そのうち当ブログは敵のターゲットから外れたようで、通常のアクセスを現在は受けている。
英語の論文・報告を扱うことが多いため、諸外国からの訪問が多いのはしょうがないが、来てみたら訳のわからない日本語のブログであり「連中がっかりだろうな」と思うことしきりである。この5月以来異常に訪問が多いのがフランスである。毎日の訪問者の4分の一がフランスからであるのは、どういう理由があるのかさっぱりわからない。
自分の興味があることしかノートしない。人のことなどほとんど考えていない。ただそれでもエリック・ランダーの総説の日本語版などは、ごく一部であろうがお役にたったようだ。時々はお役に立つ(かも)。
ゲノム変異については息の長い追いかけか方をこれからもしていこうと思う。自分が「これだ!」と思った論文が、5年後10年後に振り返った時、やはりマイルストーンになっていたと思えると嬉しいが、ゲノム変異に関してだけはこの嗅覚は健在である。
それ以外の領域は、だんだん、だんだん縁がなくなっていく。メチレーションやmiRNAなどがそんな分野である。魑魅魍魎でなにがなんだかよくわからない。メチレーションもワディントンの時代の「後成的変化」、桑実期のimprinting、LOIくらいまでは楽しかったのだが。
miRNAもターゲットが多すぎて、量的影響性の評価があまりに曖昧である。
まああまり気張らずに、ブログしこしこ続けて行こう。2007年最初のころ感じた記憶力の減退は、現在ますます著しい。ネットで検索を掛けると「自分のブログ」にぶち当たることが結構ある。投稿内容を忘れているのである。情けないがそれは事実である。ただ、自分のブログにぶち当たると、やはり記憶は定着するのである。反復学習に優るものはないのである。
このブログは小生の生存をかけた自己防衛・記憶保存装置なのである。自分には結構役に立っているのである。これからはもっと訳に立つことであろう。たとえ20分しか記憶が保てなくなっても・・・
2014年6月27日金曜日
2014年6月23日月曜日
乳がん・卵巣癌家族歴を持つ30歳以下の女性への放射線診断は危険・・
BMJ誌からBRCA1/2変異キャリアへの放射線検査は乳癌リスクを高める30歳前に検査被曝があった女性で約2倍、欧州の大規模研究の結果
二年前の論文であるがこれだけならあまり興味を引かないが、ある解説を読んでこれは心しておかねばと思った次第。
乳癌リスクを高めるBRCA1/2遺伝子の変異を持つ30歳未満の女性に放射線を使った診断検査を行うと、乳癌罹患リスクが有意に上昇する可能性が、大規模な後ろ向きコホート研究で示された。オランダ癌研究所のAnouk Pijpe氏らが、BMJ誌電子版に2012年9月6日に報告した。
BRCA1、BRCA2遺伝子は、DNA二本鎖に切断が生じた場合の修復に重要な役割を果たしており、これらの変異は修復不全を引き起こす。電離放射線はDNA二本鎖切断を生じさせることから、BRCA1/2変異を持つ人は放射線感受性が高い可能性がある。
これまで、BRCA1/2変異キャリアに対する放射線診断検査の実施が乳癌リスクに及ぼす影響を調べた研究はわずかしか行われておらず、一貫した結果は得 られていなかった。それでも一部の国は、BRCA1/2変異キャリアで30歳未満の女性には、マンモグラフィーによるスクリーニングは行わず、MRIなど を主に使用することを推奨している。
著者らは、BRCA1/2変異を有する女性に対する放射線を用いた診断検査の実施と乳癌リスクの関 係を調べるために、フランス、英国、オランダでそれぞれ行われた3件の全国的なコホート研究(GENE-PSO、EMBRACE、HEBON)に登録された女性の情報を分析する、大規模な後ろ向きコホート研究GENE-RAD-RISKを実施した。
これら3つの研究は、BRCA1/2変異キャリア女性を登録し、06~09年に質問票を用いた調査を行って、放射線を用いた診断検査歴などを確認していた。 X線透視検査、胸部または肩のX線撮影、胸部または肩のCT検査、マンモグラフィーと、胸部または肩に放射線曝露が生じる他の診断検査(骨シンチグラ フィーなど)などを受けた経験を尋ね、X線透視検査、X線撮影、マンモグラフィーについては、初回検査時の年齢、20歳未満での受検回数、20~29歳と 30~39歳での受検回数などについても回答を求めた。それ以外の検査による被曝については、検査の目的、受検時の年齢、受検回数を確認した。
個々の検査の被曝量については公表されている情報を利用し、個々の女性について乳房の累積被曝線量を推定した。
主要転帰評価指標は乳癌リスクとし、時間依存性の乳房の累積線量で重み付けしたCox比例ハザードモデルを用いて評価した。
コホート全体は1993人。最も多かった放射線診断検査はX線撮影で、919人(48%)が1回以上受けていた。マンモグラフィーを1回以上受けていたの は649人(33%)だった。40歳までの1人当たりの検査回数の中央値は、X線撮影が2.5回、マンモグラフィーが2.4回だった。初回マンモグラ フィーが行われた時点の患者の平均年齢は29.5歳だった。CTによる被曝は29人(2%)、他の検査による放射線被曝があった患者は53人(3%)だっ た。
乳房の累積被曝線量を推定したところ、平均は0.0140Gy(レンジは0.0005~0.6130、四分位範囲は0.0020~0.0174)だった。
質問票を用いた後ろ向き研究では、曝露と生存の間に関係がある場合に、生存バイアスが生じる可能性が大きい。例えば調査までに死亡していた乳癌患者は質問票に回答できず、自然に分析対象から外れてしまうからだ。こうしたバイアスを小さくするために、著者らはサブコホートを設定した。コホート全体から、質問票を用いた調査の実施時点から5年以上前に乳癌や他の癌と診断された患者などを除いた1122人をサブコホートとして、主な分析を行った。
サブコホートでは、4484人-年の追跡で乳癌診断を受けたのは174人だった。被曝線量と検査時の年齢に基づいて乳癌リスクを推定した。対象女性を 「30歳前の検査被曝なし」と「30歳前の検査被曝あり」に分けると、「30歳前の検査被曝あり」群の乳癌リスクは有意に高かった。ハザード比は 1.90(95%信頼区間1.20-3.00)。
用量反応関係も認められた。30歳前の被曝線量に基づいて患者を層別化すると、検査被曝なし群に比べ、
20歳未満での検査被曝についても同様の傾向が見られた。
一方で、30~39歳での検査被曝は乳癌リスク上昇と有意な関係はなかった。
診断検査のタイプ別の分析では、20歳前のX線写真撮影枚数が増えるほど曝露なし群と比較したリスクが上昇する傾向が見られた(傾向性の P=0.041)。20歳前の2回以上のX線透視もリスクを上昇させる可能性が示唆された(ハザード比2.01、0.75-5.71、傾向性の P=0.102)。30歳未満でのマンモグラフィー検査についてもリスク上昇が示唆された(1.43、0.85-2.40、傾向性のP=0.040)。
コホート全体でも、30歳未満のあらゆる検査被曝歴は乳癌リスクを高めていた(ハザード比1.39、1.12-1.73)が、用量反応関係は見られなかっ た。20歳未満の検査被曝については、ハザード比は1.37(1.11-1.68)で、用量反応関係の存在が示唆された。30~39歳の検査被曝と乳癌リ スクの間には有意な関係は見られなかった。個々の検査法の中で有意なリスク上昇が見られたものはなかった。
今回の大規模研究において、 BRCA1/2変異キャリアに対する放射線診断検査は、一般集団の癌リスクを高める線量より低い線量でも乳癌リスク上昇にかかわることが明らかになった。
今回の結果はBRCA1/2変異キャリアの若い女性には、MRIなど、電離放射線を用いない検査を適用すべきであることを示した。
Exposure to diagnostic radiation and risk of breast cancer among carriers of BRCA1/2 mutations: retrospective cohort study (GENE-RAD-RISK)
Netherlands Cancer Institute, Department of Epidemiology and Biostatistics, Plesmanlaan 121, 1066 CX Amsterdam, Netherlands.
二年前の論文であるがこれだけならあまり興味を引かないが、ある解説を読んでこれは心しておかねばと思った次第。
- BRCA1/2変異キャリアを僕等が見分けるには家族歴しかないということである。乳がんや卵巣がんの家族歴があることだけが「この女子、ひょっとして」と思わせる唯一のきっかけであろう。
- 「30歳前の女性にはむやみにレ線を浴びせてはいけませんよ」という時代がきっとやってくると主張するお医者がいるのだ。小生もなるほどと思う。
乳癌リスクを高めるBRCA1/2遺伝子の変異を持つ30歳未満の女性に放射線を使った診断検査を行うと、乳癌罹患リスクが有意に上昇する可能性が、大規模な後ろ向きコホート研究で示された。オランダ癌研究所のAnouk Pijpe氏らが、BMJ誌電子版に2012年9月6日に報告した。
BRCA1、BRCA2遺伝子は、DNA二本鎖に切断が生じた場合の修復に重要な役割を果たしており、これらの変異は修復不全を引き起こす。電離放射線はDNA二本鎖切断を生じさせることから、BRCA1/2変異を持つ人は放射線感受性が高い可能性がある。
これまで、BRCA1/2変異キャリアに対する放射線診断検査の実施が乳癌リスクに及ぼす影響を調べた研究はわずかしか行われておらず、一貫した結果は得 られていなかった。それでも一部の国は、BRCA1/2変異キャリアで30歳未満の女性には、マンモグラフィーによるスクリーニングは行わず、MRIなど を主に使用することを推奨している。
著者らは、BRCA1/2変異を有する女性に対する放射線を用いた診断検査の実施と乳癌リスクの関 係を調べるために、フランス、英国、オランダでそれぞれ行われた3件の全国的なコホート研究(GENE-PSO、EMBRACE、HEBON)に登録された女性の情報を分析する、大規模な後ろ向きコホート研究GENE-RAD-RISKを実施した。
これら3つの研究は、BRCA1/2変異キャリア女性を登録し、06~09年に質問票を用いた調査を行って、放射線を用いた診断検査歴などを確認していた。 X線透視検査、胸部または肩のX線撮影、胸部または肩のCT検査、マンモグラフィーと、胸部または肩に放射線曝露が生じる他の診断検査(骨シンチグラ フィーなど)などを受けた経験を尋ね、X線透視検査、X線撮影、マンモグラフィーについては、初回検査時の年齢、20歳未満での受検回数、20~29歳と 30~39歳での受検回数などについても回答を求めた。それ以外の検査による被曝については、検査の目的、受検時の年齢、受検回数を確認した。
個々の検査の被曝量については公表されている情報を利用し、個々の女性について乳房の累積被曝線量を推定した。
主要転帰評価指標は乳癌リスクとし、時間依存性の乳房の累積線量で重み付けしたCox比例ハザードモデルを用いて評価した。
コホート全体は1993人。最も多かった放射線診断検査はX線撮影で、919人(48%)が1回以上受けていた。マンモグラフィーを1回以上受けていたの は649人(33%)だった。40歳までの1人当たりの検査回数の中央値は、X線撮影が2.5回、マンモグラフィーが2.4回だった。初回マンモグラ フィーが行われた時点の患者の平均年齢は29.5歳だった。CTによる被曝は29人(2%)、他の検査による放射線被曝があった患者は53人(3%)だっ た。
乳房の累積被曝線量を推定したところ、平均は0.0140Gy(レンジは0.0005~0.6130、四分位範囲は0.0020~0.0174)だった。
質問票を用いた後ろ向き研究では、曝露と生存の間に関係がある場合に、生存バイアスが生じる可能性が大きい。例えば調査までに死亡していた乳癌患者は質問票に回答できず、自然に分析対象から外れてしまうからだ。こうしたバイアスを小さくするために、著者らはサブコホートを設定した。コホート全体から、質問票を用いた調査の実施時点から5年以上前に乳癌や他の癌と診断された患者などを除いた1122人をサブコホートとして、主な分析を行った。
サブコホートでは、4484人-年の追跡で乳癌診断を受けたのは174人だった。被曝線量と検査時の年齢に基づいて乳癌リスクを推定した。対象女性を 「30歳前の検査被曝なし」と「30歳前の検査被曝あり」に分けると、「30歳前の検査被曝あり」群の乳癌リスクは有意に高かった。ハザード比は 1.90(95%信頼区間1.20-3.00)。
用量反応関係も認められた。30歳前の被曝線量に基づいて患者を層別化すると、検査被曝なし群に比べ、
- 被曝量が0.0020Gy未満のグループのハザード比は1.63(0.96-2.77)、
- 0.0020~0.0065Gyは 1.78(0.88-3.58)、
- 0.0066~0.0173Gyは1.75(0.72-4.25)、
- .0174Gy以上は 3.84(1.67-8.79)になった。
20歳未満での検査被曝についても同様の傾向が見られた。
- ハザード比は 1.62(1.02-2.58)、
- 被曝量が0.0020Gy未満のグループでは1.47(0.89-2.42)、
- 0.0020~0.0065Gyは 1.09(0.41-2.91)、
- 0.0066Gy以上は3.16(1.19-8.36)になった。
一方で、30~39歳での検査被曝は乳癌リスク上昇と有意な関係はなかった。
診断検査のタイプ別の分析では、20歳前のX線写真撮影枚数が増えるほど曝露なし群と比較したリスクが上昇する傾向が見られた(傾向性の P=0.041)。20歳前の2回以上のX線透視もリスクを上昇させる可能性が示唆された(ハザード比2.01、0.75-5.71、傾向性の P=0.102)。30歳未満でのマンモグラフィー検査についてもリスク上昇が示唆された(1.43、0.85-2.40、傾向性のP=0.040)。
コホート全体でも、30歳未満のあらゆる検査被曝歴は乳癌リスクを高めていた(ハザード比1.39、1.12-1.73)が、用量反応関係は見られなかっ た。20歳未満の検査被曝については、ハザード比は1.37(1.11-1.68)で、用量反応関係の存在が示唆された。30~39歳の検査被曝と乳癌リ スクの間には有意な関係は見られなかった。個々の検査法の中で有意なリスク上昇が見られたものはなかった。
今回の大規模研究において、 BRCA1/2変異キャリアに対する放射線診断検査は、一般集団の癌リスクを高める線量より低い線量でも乳癌リスク上昇にかかわることが明らかになった。
今回の結果はBRCA1/2変異キャリアの若い女性には、MRIなど、電離放射線を用いない検査を適用すべきであることを示した。
BMJ
2012;
345 (Published 6 September 2012)
Cite this as:
BMJ
2012;345:e5660
Netherlands Cancer Institute, Department of Epidemiology and Biostatistics, Plesmanlaan 121, 1066 CX Amsterdam, Netherlands.
Abstract
OBJECTIVE:
To estimate the risk of breast cancer associated with diagnostic radiation in carriers of BRCA1/2 mutations.DESIGN:
Retrospective cohort study (GENE-RAD-RISK).SETTING:
Three nationwide studies (GENEPSO, EMBRACE, HEBON) in France, United Kingdom, and the Netherlands,PARTICIPANTS:
1993 female carriers of BRCA1/2 mutations recruited in 2006-09.MAIN OUTCOME MEASURE:
Risk of breast cancer estimated with a weighted Cox proportional hazards model with a time dependent individually estimated cumulative breast dose, based on nominal estimates of organ dose and frequency of self reported diagnostic procedures. To correct for potential survival bias, the analysis excluded carriers who were diagnosed more than five years before completion of the study questionnaire.RESULTS:
In carriers of BRCA1/2 mutations any exposure to diagnostic radiation before the age of 30 was associated with an increased risk of breast cancer (hazard ratio 1.90, 95% confidence interval 1.20 to 3.00), with a dose-response pattern. The risks by quarter of estimated cumulative dose <0 .0020="" 0.0020-0.0065="" 0.0066-0.0173="" 0.0174="" 0.85="" 1.43="" 1.63="" 1.75="" 1.78="" 2.40="" 2.77="" 20="" 3.58="" 3.84="" 30="" 4.25="" 8.79="" a="" age="" also="" an="" analyses="" analysis="" and="" associated="" before="" breast="" by="" cancer="" caused="" compared="" confounding="" diagnostic="" different="" exposure.="" family="" finding="" gy="" hazard="" history.="" history="" increased="" increasing="" indication="" mammography="" no="" not="" number="" of="" on="" p="" pattern="" procedures="" radiographs="" ratio="" respectively.="" risk="" sensitivity="" showed="" that="" the="" this="" to="" types="" was="" were="" with="">0>CONCLUSION:
In this large European study among carriers of BRCA1/2 mutations, exposure to diagnostic radiation before age 30 was associated with an increased risk of breast cancer at dose levels considerably lower than those at which increases have been found in other cohorts exposed to radiation. The results of this study support the use of non-ionising radiation imaging techniques (such as magnetic resonance imaging) as the main tool for surveillance in young women with BRCA1/2 mutations.Comment in
- Breast cancer: Radiation risk in BRCA carriers. [Nat Rev Clin Oncol. 2012]
- Exposure to diagnostic levels of radiation prior to age 30 increases the risk of breast cancer in BRCA1/2 carriers. [Evid Based Med. 2013]
2014年6月22日日曜日
今日は日曜日
最近は日曜日でも朝早く目が覚める。休みでも一回は病棟を覗いておかないとムズムズするが、最近ではそれが朝早い。先週の大腸癌オペ患者のドレーンを抜いたり、昨日入院させた「急性胃腸炎」のばあさんの食事指示を出したり、明後日の胃癌オペ患者のカルテを見たりして一息ついてもこの時間である。
休日が嬉しいのは「外来がないこと」である。病棟を歩いていてもピッチが鳴らないのは、本当に嬉しい。先週の外来は超絶忙しかった。救急車にも久しぶりに乗ったなあ。疲れる日々であった。
今朝はコーヒーを飲んで、パソコンを眺めて、手紙を書いて、査読を一つ済ませたが、さあ家に帰るぞ。
雨がうっとうしいが、こんな平穏な日には何かをしないと。 来月上旬に「学術講演」もどきをすることになっているので、そのプレゼンテーションをそろそろ作らなくては。今回は全くゼロから作ってみようと思っている。映画にも行きたいですな。
休日が嬉しいのは「外来がないこと」である。病棟を歩いていてもピッチが鳴らないのは、本当に嬉しい。先週の外来は超絶忙しかった。救急車にも久しぶりに乗ったなあ。疲れる日々であった。
今朝はコーヒーを飲んで、パソコンを眺めて、手紙を書いて、査読を一つ済ませたが、さあ家に帰るぞ。
雨がうっとうしいが、こんな平穏な日には何かをしないと。 来月上旬に「学術講演」もどきをすることになっているので、そのプレゼンテーションをそろそろ作らなくては。今回は全くゼロから作ってみようと思っている。映画にも行きたいですな。
2014年6月21日土曜日
4歳男子のモンドール病:NEJMのclinical image
Images in Clinical Medicine
Mondor's Disease
Caroline W. Munyi, K.R.C.H.N., and Kelsey D.J. Jones, M.R.C.P.C.H.
N Engl J Med 2014; 370:2426 June 19, 2014Caroline W. Munyi, K.R.C.H.N.
Baraka Health Centre, German Doctors Nairobi, Nairobi, Kenya
Kelsey D.J. Jones, M.R.C.P.C.H.
Kenya Medical Research Institute–Wellcome Trust Research Programme, Nairobi, Kenya
4歳坊やのモンドール病である。アフリカはケニヤからの症例報告。あれだけ良く診ていたモンドール病であるが、最近はとんと縁がない。不思議である。本当に不思議だ。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
2012年7月2日月曜日
去年10例目のモンドール婦人が再来へ
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆2014年6月19日木曜日
最近の外来患者から:「上腕二頭筋断裂」等々
手術が対象となる外科消化器癌の方々は話題にするようなノートするようなことは余りないが、外科周辺外来では今日もいろんな病気の方々が現れる。
1)リンパ管腫3例目の方現れる。
先週の金曜日に78歳の元気なおばあちゃんが「足が腫れたので診て」とやってこられた。右足の甲から足関節にかけて50 mm x 45 mmの皮下腫瘍がある。2週間前に気が付いたのよとおっしゃる。皮膚変化は一切ない。触診上、辺縁は比較的はっきりしている。表面はやや粗大な感じ。硬度であるが「柔らかくはない」。かといって硬くもない。「握雪感」に近いようなやや硬い感じである。自発痛も圧痛もない。直感では「リンパ管腫」か「脂肪腫」である。エコーをしてみたが嚢胞状である。しかし多房性でもある。そこで刺してみたが例によって25mm程度の黄色淡明なリンパ液が引けた。そして皮下腫瘍はほとんど消失した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
例によって「ばあさん、また腫れてくるかもしれないな」といって5日後の今日、また腫らして外来に現れた。今回はやや硬い部分が触知されるのが気になるので、MRIを撮ることにした。下方への浸潤がなければ切除も考えたい。あるいはピシバニール療法をまたやりたい。このピシバニール療法であるが例の東京女子医大の頚部リンパ管腫の子供への治療で話題になった療法である。いやあの女子医大ではピシバニールというよりは麻酔のプロポフォールが話題になったのですな。
小生の世代は「静脈麻酔」に対して極度に恐怖感があった世代である。その前の世代が「静脈麻酔」で苦労してきたからだ。事故も多かったと聞いている。それゆえ外来で「静脈麻酔」をすることなどかつてはあり得なかった。
ところがだね、最近はカメラの際に「静脈麻酔」をどんどんやるようになったので抵抗感が全くなくなってしまった。当初は「セルシン」そのうち「ミタゾラム」今では「プロポフォール」である。今の職場では本当に「プロポフォール」をよく使う。そして小生も自分がカメラを受ける時には「プロポフォール」を経験した。これまで2回静注されたが、寝起きはセルシンやミタゾラムよりも良いと思う。だけど、本音をいえば自分で使うとすれば、外来での「静脈麻酔」には相当神経を使う。造影剤の静注以上に神経を使います。
さて「プロポフォール」、添付文書によればICUなどの子供に投与は禁忌であるとのことだが、女子医大で使われていたとしたらどういう事情があったのだろう。鎮静の方法は他にいくらでもあろうに・・・・。
2)27歳女子:肛門皮膚腫瘍
20歳台の女子の皮膚腫瘍に縁がある今日この頃である。今回の腫瘍は肛門から3cm離れた会陰部方向であり、皮膚から10mm位、角(つの)のように急峻に立ち上がる腫瘍である。 触ると気になるのも無理はない「できもの」である。更に先端が「びらん」を起こしている。場所が場所だけに切除しにくいのだが、最低量の局麻で、円刃の一番小さなメスで最小限に切り込んで、4-0で一針掛けて終わらせた。その病理が「アポクリン嚢胞腺腫」という腫瘍であった。もちろん悪性所見はないのだが、不思議な腫瘍に最近縁がある。
3)43歳男子:上腕二頭筋断裂
先日写真を上梓した御仁である。MRIの結果を待って整形外科に診てもらったが、やはり「上腕二頭筋断裂」のようである。治療は放置である。痛みもなにもないのである、この方。力が入らないだろうと心配するのだが、実質20%程度の筋力低下で納まるらしい、「二頭筋には長頭と短頭がある」そんなことを忘れていた。このうち長頭の腱が断裂している模様。短頭がついていれば良いらしい。老人では老化とともに切れることがよくあるという。小生この商売を初めて結構長いが、自分や身の回りで「上腕二頭筋断裂」を診たことがこれまでないのだ。ありふれた病態とはいえないと思うがどうだろう。整形外科の先生方に尋ねてみたいものである。なお英語でこの病態をBiceps RuptureあるいはTearという。
4)55歳男子:前腕の石灰化上皮腫
リハビリ病棟を回診していたら「せんせ、これ取ってくれない」と50台男子に声を掛けられた。診ると左前腕の皮下に長径10cm、幅3cm程度の皮下腫瘤を認めるのだった。かなり大きな腫瘤であるが、表面がごつごつとしており、特徴的なのはこれがおそろしく硬いのである。ほとんど骨である。そして可動性が良好である。前後左右、自在に動かせる。強いてたとえて言えば「かにの足」 がそのまんま皮下に埋もれているような感じである。切除は極めて容易であった。メッツェンバウム(はさみのことです)で切るというよりはずしていくだけ。出血などほとんどない。切除後に割を入れたが、これは失敗した。糸切りはさみを使ったのだが、刃こぼれしそうなほど硬い。で病理に出した結果が「石灰化上皮腫」であった。英語ではPilomatricomaあるいはCalcifying Epitheliomaという。 子供や若年層に多く、好発部位は頭頸部。女性にやや多い。
5)67歳男子:右腎血管筋脂肪腫のその後
二年前くらいに整形疾患で入院させた患者に腎の大きなAngiomyolipomaが見つかってエベロリムスが使えるかどうかという話題をノートしたが、先週病院の帰りに寄ったコンビニでその患者殿に出会った。元気であった。「腎臓はお元気ですか?」と聞くと笑いながら「半年に一回エコーで診てもらっていますが、あまり大きくならないのです。」といわれる。「大きくなる場合は血管に詰め物をすると言われています」とのことだ。
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2012年12月29日土曜日
今入院中の患者に偶然13cmの腎血管筋脂肪腫があることがわかった。
このときのレポートに興味深い臨床研究を引用してある。
1)リンパ管腫3例目の方現れる。
先週の金曜日に78歳の元気なおばあちゃんが「足が腫れたので診て」とやってこられた。右足の甲から足関節にかけて50 mm x 45 mmの皮下腫瘍がある。2週間前に気が付いたのよとおっしゃる。皮膚変化は一切ない。触診上、辺縁は比較的はっきりしている。表面はやや粗大な感じ。硬度であるが「柔らかくはない」。かといって硬くもない。「握雪感」に近いようなやや硬い感じである。自発痛も圧痛もない。直感では「リンパ管腫」か「脂肪腫」である。エコーをしてみたが嚢胞状である。しかし多房性でもある。そこで刺してみたが例によって25mm程度の黄色淡明なリンパ液が引けた。そして皮下腫瘍はほとんど消失した。
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2012年4月3日火曜日
リンパ管腫二例目は鼠径部腫瘤だった。
- めったに見ることのない病気が立て続けにくることがある。小生の場合最近ではBaker嚢胞がそうであった。他にも調べればいくつかはあるだろう。鼠径部腫瘤の中年女性がやって来たのは、先の頸部腫瘤の方の翌日であった。
例によって「ばあさん、また腫れてくるかもしれないな」といって5日後の今日、また腫らして外来に現れた。今回はやや硬い部分が触知されるのが気になるので、MRIを撮ることにした。下方への浸潤がなければ切除も考えたい。あるいはピシバニール療法をまたやりたい。このピシバニール療法であるが例の東京女子医大の頚部リンパ管腫の子供への治療で話題になった療法である。いやあの女子医大ではピシバニールというよりは麻酔のプロポフォールが話題になったのですな。
小生の世代は「静脈麻酔」に対して極度に恐怖感があった世代である。その前の世代が「静脈麻酔」で苦労してきたからだ。事故も多かったと聞いている。それゆえ外来で「静脈麻酔」をすることなどかつてはあり得なかった。
ところがだね、最近はカメラの際に「静脈麻酔」をどんどんやるようになったので抵抗感が全くなくなってしまった。当初は「セルシン」そのうち「ミタゾラム」今では「プロポフォール」である。今の職場では本当に「プロポフォール」をよく使う。そして小生も自分がカメラを受ける時には「プロポフォール」を経験した。これまで2回静注されたが、寝起きはセルシンやミタゾラムよりも良いと思う。だけど、本音をいえば自分で使うとすれば、外来での「静脈麻酔」には相当神経を使う。造影剤の静注以上に神経を使います。
さて「プロポフォール」、添付文書によればICUなどの子供に投与は禁忌であるとのことだが、女子医大で使われていたとしたらどういう事情があったのだろう。鎮静の方法は他にいくらでもあろうに・・・・。
2)27歳女子:肛門皮膚腫瘍
20歳台の女子の皮膚腫瘍に縁がある今日この頃である。今回の腫瘍は肛門から3cm離れた会陰部方向であり、皮膚から10mm位、角(つの)のように急峻に立ち上がる腫瘍である。 触ると気になるのも無理はない「できもの」である。更に先端が「びらん」を起こしている。場所が場所だけに切除しにくいのだが、最低量の局麻で、円刃の一番小さなメスで最小限に切り込んで、4-0で一針掛けて終わらせた。その病理が「アポクリン嚢胞腺腫」という腫瘍であった。もちろん悪性所見はないのだが、不思議な腫瘍に最近縁がある。
3)43歳男子:上腕二頭筋断裂
先日写真を上梓した御仁である。MRIの結果を待って整形外科に診てもらったが、やはり「上腕二頭筋断裂」のようである。治療は放置である。痛みもなにもないのである、この方。力が入らないだろうと心配するのだが、実質20%程度の筋力低下で納まるらしい、「二頭筋には長頭と短頭がある」そんなことを忘れていた。このうち長頭の腱が断裂している模様。短頭がついていれば良いらしい。老人では老化とともに切れることがよくあるという。小生この商売を初めて結構長いが、自分や身の回りで「上腕二頭筋断裂」を診たことがこれまでないのだ。ありふれた病態とはいえないと思うがどうだろう。整形外科の先生方に尋ねてみたいものである。なお英語でこの病態をBiceps RuptureあるいはTearという。
4)55歳男子:前腕の石灰化上皮腫
リハビリ病棟を回診していたら「せんせ、これ取ってくれない」と50台男子に声を掛けられた。診ると左前腕の皮下に長径10cm、幅3cm程度の皮下腫瘤を認めるのだった。かなり大きな腫瘤であるが、表面がごつごつとしており、特徴的なのはこれがおそろしく硬いのである。ほとんど骨である。そして可動性が良好である。前後左右、自在に動かせる。強いてたとえて言えば「かにの足」 がそのまんま皮下に埋もれているような感じである。切除は極めて容易であった。メッツェンバウム(はさみのことです)で切るというよりはずしていくだけ。出血などほとんどない。切除後に割を入れたが、これは失敗した。糸切りはさみを使ったのだが、刃こぼれしそうなほど硬い。で病理に出した結果が「石灰化上皮腫」であった。英語ではPilomatricomaあるいはCalcifying Epitheliomaという。 子供や若年層に多く、好発部位は頭頸部。女性にやや多い。
5)67歳男子:右腎血管筋脂肪腫のその後
二年前くらいに整形疾患で入院させた患者に腎の大きなAngiomyolipomaが見つかってエベロリムスが使えるかどうかという話題をノートしたが、先週病院の帰りに寄ったコンビニでその患者殿に出会った。元気であった。「腎臓はお元気ですか?」と聞くと笑いながら「半年に一回エコーで診てもらっていますが、あまり大きくならないのです。」といわれる。「大きくなる場合は血管に詰め物をすると言われています」とのことだ。
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2012年12月29日土曜日
13cmの腎血管筋脂肪腫とエベロリムス
このときのレポートに興味深い臨床研究を引用してある。
- 本当に有意義な臨床研究とはかくのごときものである。「健診で発見された腎血管筋脂肪腫 (AML) の追跡 」
- エコーでみつかるAMLは増大することがほとんどないという観察である。
- 優れて臨床的実感を反映しているのではないか?たとえは悪いが「乳癌マンモ検診」のある部分に通じるような話である。
2014年6月18日水曜日
乳癌サブタイプを決める遺伝的背景について:Cancer Cell
乳癌サブタイプを決める遺伝的背景について興味深い報告2つ。
Volume 25, Issue 6, 16 June 2014, Pages 748–761
Volume 25, Issue 6, 16 June 2014, Pages 762–777
Volume 25, Issue 6, 16 June 2014, Pages 748–761
Sumoylation Pathway Is Required to Maintain the Basal Breast Cancer Subtype
Summary
- The TFAP2C/AP-2γ transcription factor regulates luminal breast cancer genes, and loss of TFAP2C induces epithelial-mesenchymal transition. By contrast, the highly homologous family member, TFAP2A, lacks transcriptional activity at luminal gene promoters. A detailed structure-function analysis identified that sumoylation of TFAP2A blocks its ability to induce the expression of luminal genes. Disruption of the sumoylation pathway by knockdown of sumoylation enzymes, mutation of the SUMO-target lysine of TFAP2A, or treatment with sumoylation inhibitors induced a basal-to-luminal transition, which was dependent on TFAP2A. Sumoylation inhibitors cleared the CD44+/hi/CD24−/low cell population characterizing basal cancers and inhibited tumor outgrowth of basal cancer xenografts. These findings establish a critical role for sumoylation in regulating the transcriptional mechanisms that maintain the basal cancer phenotype.
Volume 25, Issue 6, 16 June 2014, Pages 762–777
Article
JARID1B Is a Luminal Lineage-Driving Oncogene in Breast Cancer
- Shoji Yamamoto, Zhenhua Wu, Hege G. Russnes, Shinji Takagi, Guillermo Peluffo, Charles VaskeXi Zhao, Hans Kristian, Moen Vollan, Reo Maruyama, Muhammad B. Ekram, Hanfei Sun, Jee Hyun Kim, Kristopher Carver, Mattia Zucca, Jianxing Feng, Vanessa Almendro, Marina Bessarabova, Oscar M. Rueda, Yuri Nikolsky , Carlos Caldas, X. Shirley Liu, Kornelia Polyak
Summary
- Recurrent mutations in histone-modifying enzymes imply key roles in tumorigenesis, yet their functional relevance is largely unknown. Here, we show that JARID1B, encoding a histone H3 lysine 4 (H3K4) demethylase, is frequently amplified and overexpressed in luminal breast tumors and a somatic mutation in a basal-like breast cancer results in the gain of unique chromatin binding and luminal expression and splicing patterns. Downregulation of JARID1B in luminal cells induces basal genes expression and growth arrest, which is rescued by TGFβ pathway inhibitors. Integrated JARID1B chromatin binding, H3K4 methylation, and expression profiles suggest a key function for JARID1B in luminal cell-specific expression programs. High luminal JARID1B activity is associated with poor outcome in patients with hormone receptor-positive breast tumors.
アルジャーノンに花束を
「アルジャーノンに花束を」を書いたダニエル・キースが亡くなった。ボクにとって「アルジャーノンに花束を」は短編小説(中編?)のイメージである。というのはSFを良く読んでいた高校生〜大学生の頃この小説は早川の『世界SF全集』にしか載っていなかったからだ。だからボクはこの全集で読んでいた。後に出た長編を読んだこともとても良く覚えている。出版されたばかりの本を持って東海道線にのり延々と読み続け、夜の10時ころ読み終わったのが「沼津駅」の停車中だったことが忘れられない。列車の外のホームのベンチに出て次の発車の時間を待った覚えがある。何十年もよく覚えているというのは、やはり相当面白かった小説だということだ。
高校生のころ取っていた「SFマガジン」の取材で ダニエル・キースが「なぜあなたは「アルジャーノンに花束を」以降小説を書かないのですか?」と問われ(実際、そのころダニエル・キースの本で知られていたのはこの小説だけだった)「さあ、書こうとはするんだけど、でもチャーリーやアルジャーノンのように書けなくなっちゃだんだよ」と述べていたのが印象的だった。
そののちダニエル・キースはとてもニッチなテーマを見つけた。解離性同一性障害というテーマである。これでいくつかの本を書いて、結構有名になったが、あいにく小生は「アルジャーノン」以外の彼の小説を読んだことがない。
いかに面白かったかといえば、最初の中篇でヒューゴー賞を取り、その焼き直し長編が7年後にネビュラ賞をとるというののだから推して知るべしでしょう。合掌。
高校生のころ取っていた「SFマガジン」の取材で ダニエル・キースが「なぜあなたは「アルジャーノンに花束を」以降小説を書かないのですか?」と問われ(実際、そのころダニエル・キースの本で知られていたのはこの小説だけだった)「さあ、書こうとはするんだけど、でもチャーリーやアルジャーノンのように書けなくなっちゃだんだよ」と述べていたのが印象的だった。
そののちダニエル・キースはとてもニッチなテーマを見つけた。解離性同一性障害というテーマである。これでいくつかの本を書いて、結構有名になったが、あいにく小生は「アルジャーノン」以外の彼の小説を読んだことがない。
いかに面白かったかといえば、最初の中篇でヒューゴー賞を取り、その焼き直し長編が7年後にネビュラ賞をとるというののだから推して知るべしでしょう。合掌。
2014年6月12日木曜日
2014年6月7日土曜日
入れ墨とサルコイドーシス:NEJM イメージ
「刺青(彫り物)」というのが意識的に自分で入れるタトゥーであり、「入れ墨」というのは刑罰である・・・そこをはっきりさせてくれないとこまる・・・という方が時々外来に来られる(ホントカよ)。まあ冗談抜きでタトゥーの入った患者さんはそこそこおるな。
サルコイドーシスはその3分の一に皮膚症状が出現し、タトゥーや傷跡に沿って出やすいとの報告はあるのだそうだ。この症例報告もそのたぐいである。
Images in Clinical Medicine
N Engl J Med 2014; 370 June 5, 2014
A 29-year-old man presented with an acute onset of right pleuritic chest pain and a 3-month history of dyspnea, cough, and skin lesions. Physical examination revealed crackles in both lungs and multiple nonerythematous papules along the ink lines of a tattoo (Panel A). A chest radiograph (Panel B) showed a right perihilar infiltrate with bilateral hilar lymphadenopathy (arrows) and reticulonodular opacities (arrowheads). Bronchoscopy revealed diffuse nodules in the tracheobronchial mucosa (Panel C, arrow). The results of tissue stains and cultures for acid-fast bacilli and fungal organisms were negative. Examination of specimens from a skin biopsy showed noncaseating granulomas (Panel D, arrow) and black tattoo pigment (Panels D and E, arrowheads) (hematoxylin and eosin). The patient's respiratory symptoms improved with the administration of systemic glucocorticoids, but he was lost to follow-up after discharge.
Cutaneous manifestations may occur in up to one third of patients with sarcoidosis, and the tendency of sarcoid granulomas to infiltrate old scars and tattoos is well documented. Skin lesions or sarcoidosis involving tattoos may occur even decades after tattooing, possibly as a result of chronic antigenic stimulation from the ink in a person who is genetically predisposed to such lesions. The differential diagnosis of skin lesions involving tattoos includes infections, discoid lupus erythematosus, keloid formation, and local reaction.
サルコイドーシスはその3分の一に皮膚症状が出現し、タトゥーや傷跡に沿って出やすいとの報告はあるのだそうだ。この症例報告もそのたぐいである。
Images in Clinical Medicine
N Engl J Med 2014; 370 June 5, 2014
Tattoos and Sarcoidosis
Lisa K. Torres, M.D.
Saadia A. Faiz, M.D.
University of Texas Health Science Center at Houston, Houston, TX,
University of Texas M.D. Anderson Cancer Center, Houston, TX 77030
Saadia A. Faiz, M.D.
University of Texas Health Science Center at Houston, Houston, TX,
University of Texas M.D. Anderson Cancer Center, Houston, TX 77030
A 29-year-old man presented with an acute onset of right pleuritic chest pain and a 3-month history of dyspnea, cough, and skin lesions. Physical examination revealed crackles in both lungs and multiple nonerythematous papules along the ink lines of a tattoo (Panel A). A chest radiograph (Panel B) showed a right perihilar infiltrate with bilateral hilar lymphadenopathy (arrows) and reticulonodular opacities (arrowheads). Bronchoscopy revealed diffuse nodules in the tracheobronchial mucosa (Panel C, arrow). The results of tissue stains and cultures for acid-fast bacilli and fungal organisms were negative. Examination of specimens from a skin biopsy showed noncaseating granulomas (Panel D, arrow) and black tattoo pigment (Panels D and E, arrowheads) (hematoxylin and eosin). The patient's respiratory symptoms improved with the administration of systemic glucocorticoids, but he was lost to follow-up after discharge.
Cutaneous manifestations may occur in up to one third of patients with sarcoidosis, and the tendency of sarcoid granulomas to infiltrate old scars and tattoos is well documented. Skin lesions or sarcoidosis involving tattoos may occur even decades after tattooing, possibly as a result of chronic antigenic stimulation from the ink in a person who is genetically predisposed to such lesions. The differential diagnosis of skin lesions involving tattoos includes infections, discoid lupus erythematosus, keloid formation, and local reaction.
2014年6月5日木曜日
牧神の午後への前奏曲
この「牧神の午後への前奏曲 」はいい!映像もフルートもすべてが素晴らしい。
Stuttgart Radio Sinfonieorchester. Conducted by Georges Pretre
Stuttgart Radio Sinfonieorchester. Conducted by Georges Pretre
2014年6月4日水曜日
乳癌検診ガイドライン2014より MMGの考え方抜粋
乳癌検診ガイドライン2014より MMGの考え方を抜粋ー日本独自のデータが無いので欧米の6研究を引用している。この中に例のカナダの研究も含まれている。26ページから35ページにかけて報告されているものを抜粋してみた。(なおこの報告は167ページもある長大なものである。)
http://canscreen.ncc.go.jp/guideline/pdf/nyugan_kenshin_guidelinebook_20140430.pdf
http://canscreen.ncc.go.jp/guideline/pdf/nyugan_kenshin_guidelinebook_20140430.pdf
1.マンモグラフィ単独法
1)マンモグラフィ単独法(全年齢:40~74歳)の死亡率減少効果
マンモグラフィ単独法による乳がん死亡率減少効果を検討した6研究があり、このうち、UK Age trial16)は対象を40歳代に限定している(表8)。
割付の方法は、Malmö study17,
18)とCanada study II(以下、Canada II)19, 20, 21)は個人単位、Swedish Two-County
study22~28)はクラスター割付、Stockholm
study29, 30)とGothenburg
study31, 32)は生年月日による割付を行っている。個人単位以外の方法では、どちらのグループに割り付けられるかの予測が可能となる。ただし、Canada IIは全員に視触診を行ったうえで、マンモグラフィ追加群と追加なし群を比較しており、ほかの研究とはデザインが異なる。従って、エビデンス・テーブルに結果は掲載したが、後述するメタ・アナリシスの対象からは除外した。
これらの研究は、Canada IIを除き、20~30%の乳がん死亡率減少効果を認めている。Malmö studyは、45~70歳を対象としたMalmö Iと、43~49歳を対象としたMalmö IIがある。マンモグラフィは2方向、検診間隔は18~24カ月である。Malmö Iは対象者42,283人(介入群21,088人、対照群21,195人)を平均13.9(8.8~20.2)年の追跡結果、乳がん死亡の相対危険度は0.82(95%CI: 0.67-1.00)、年齢調整相対危険度0.81(95%CI: 0.66-1.00)と20%の有意な減少を認めた。本研究はpopulation-basedの個人割付による研究であり、死因の把握は原則的に死因登録を用い、可能な限り、診療録や剖検結果を参照している。
Swedish Two-County studyは、KopparbergとÖstergötlandの2カ所で行われたクラスター割付の無作為化比較対照試験である。対象年齢は40~74歳で、50~74歳は33カ月ごと、40~49歳は24カ月ごとにマンモグラフィ検診を実施した。介入群77,080人、対照群55,985人を最長19年間追跡した結果、対象年齢全体では31%の乳がん死亡率が減少した(相対危険度0.69, 95%CI: 0.58-0.80)。
Stockholm studyは、40~69歳を対象とし、誕生日による割付を行い、28カ月ごとにマンモグラフィ検診(1方向)を実施し、平均11.4年の追跡後の乳がん死亡相対危険度は0.74(0.5-1.1)であった。研究開始時50~64歳に限定した場合、0.62(0.38-1.0)であった。
Gothenburg studyは、39~59歳を対象とし、誕生日による割付を行い、18カ月ごとにマンモグラフィ検診を実施した。初回は2方向撮影、2回目以降乳腺濃度により1方向でよいと判断された者(約30%)は1方向のみ撮影した。介入群21,904人(39~49歳は11,724人、50~59歳は9,926人)を最長14年間追跡し、評価モデルを変えて検討している。EPC評価モデル(プロトコールに従い診療録からエンドポイント委員会が死因を分類)では全年齢の相対リスクは0.79(0.58-1.08)、50~54歳は1.31(0.73-2.33)、55~59歳は0.67(0.38-1.18)であった。
Canada IIは、上記の研究とは基本的なデザインが異なる。一定の研修を受けた看護師が触診を行った後、マンモグラフィの受診を無作為に割り付けている。無作為割付時には触診26の結果はブラインドであり、マンモグラフィあり群となし群では触診による有所見率は同等である。この研究では触診にマンモグラフィを追加した場合の上乗せ効果を検討している。上記の研究はいずれも介入群ではマンモグラフィを実施し、対照群ではマンモグラフィも視触診も実施しておらず、マンモグラフィ自体の効果を検証している。また、Canada IとCanada IIは異なる年代を対象としている。Canada IIは、50~59歳を対象とし、介入群19,711人にはマンモグラフィ2方向で毎年検診を行い、対照群19,694人とともに追跡した。13年間の追跡による乳がん死亡相対危険度は1.02(0.78-1.33)で有意差はなかった。これは、追跡期間25年まで延長した場合でも結果に変化はみられなかった(1.02,
95%CI:0.77-1.36)。
全年齢を対象とし、マンモグラフィ単独法を未受診と比較し評価したMalmö study、Swedish Two-County study、Stockholm study、Gothenburg study、UK Age trialのメタ・アナリシスを行った。Canada IIは、視触診とマンモグラフィ併用群と視触診単独群とを比較していることから、メタ・アナリシスの対象からは除外した。比較対照を視触診単独法としているCanada studyは割付方法が適切に行われていることから、多くのメタ・アナリシスでは対象としているが、本ガイドラインは未受診者に対するマンモグラフィの効果の検討を優先するためにCanada studyを除外して検討した。しかしながら、全年齢、40歳代、50~74歳の各年代のメタ・アナリシスにCanada studyを追加した場合でもほぼ同等の結果が得られた。
5研究のメタ・アナリシスでは、25%の死亡率減少効果を認めた(0.75, 95%CI: 0.67-0.83)(図7)。一方、寄与危険度は、0.0015(0.0009-0.0021)であり(図8)、NNI(Number Needed toInvite)は1,000(769-2,000)となった(表9)。
2014年6月3日火曜日
家族性大腸腺腫症の覚書
FAPの診断は臨床的または遺伝子診断により行われる
【臨床的診断】 以下の(1)または(2)に合致する場合はFAPと診断する.
(1)大腸にほぼ100個以上の腺腫を有する.家族歴の有無は問わない.
(2) 100個に達しない多発性腺腫が存在するがFAPの家族歴を有する(大腸外随伴病変は補助診断として参考になる)
【遺伝子診断】 APC遺伝子の生殖細胞系列変異を有する場合はFAPと診断する.
FAPでは臨床診断がついた時点で,外科治療を考慮するようになり,また血縁者への大腸内視鏡検査の勧奨により,大腸癌による死亡は減少傾向にある. 最近ではデスモイドへの配慮が重要である.女性に発症頻度が高く,開腹手術後3年以内に発症することが多い.そのほか,十二指腸乳頭部の病変についても計画的な観察により,早期の段階での内視鏡的切除が可能となった.
デスモイドが問題なのは開腹手術がリスクファクターとなることである。予防的大腸切除がサーベイランスのスタートであるとみなされるひとつの由縁である。
十二指腸腫瘍については過去の報告では(特に岩間のデータ下↓)1991年以降 FAPの死亡原因として比率が相対的に高まってきているとの報告だが、一方で飯田・松本の84例の報告では腺腫は多いが癌は1〜2例と頻度は必ずしも高くない。
【臨床的診断】 以下の(1)または(2)に合致する場合はFAPと診断する.
(1)大腸にほぼ100個以上の腺腫を有する.家族歴の有無は問わない.
(2) 100個に達しない多発性腺腫が存在するがFAPの家族歴を有する(大腸外随伴病変は補助診断として参考になる)
【遺伝子診断】 APC遺伝子の生殖細胞系列変異を有する場合はFAPと診断する.
FAPでは臨床診断がついた時点で,外科治療を考慮するようになり,また血縁者への大腸内視鏡検査の勧奨により,大腸癌による死亡は減少傾向にある. 最近ではデスモイドへの配慮が重要である.女性に発症頻度が高く,開腹手術後3年以内に発症することが多い.そのほか,十二指腸乳頭部の病変についても計画的な観察により,早期の段階での内視鏡的切除が可能となった.
デスモイドが問題なのは開腹手術がリスクファクターとなることである。予防的大腸切除がサーベイランスのスタートであるとみなされるひとつの由縁である。
十二指腸腫瘍については過去の報告では(特に岩間のデータ下↓)1991年以降 FAPの死亡原因として比率が相対的に高まってきているとの報告だが、一方で飯田・松本の84例の報告では腺腫は多いが癌は1〜2例と頻度は必ずしも高くない。
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