2015年8月16日日曜日

お盆の診療は「楽」・・・ではなかった

今年はお盆に働くとことにした。この7日間は休みなしである。さすがに外来は患者さんが少ない。しかし、しかし少ない割には大物がくること、くること。

  1. 28歳女子で右下腹部痛。典型的な虫垂炎の経過であり、また臨床像なのだけど、ダマされてはいけない。卵巣嚢腫の捻転であった。CTでみると10cmの嚢腫の中に歯と思しき石灰像が見える。奇形腫なんだろう。すぐに婦人科へ。


  2. 巨大な腹壁瘢痕ヘルニア(33年前の胆石術創)。あまりに大きすぎてイレウス症状はすぐに収まったけど、そうそう嵌頓など起こしそうにない。今回は手術なしでお引取り頂いた。


  3. 「胆石発作」だとわめきながらやってきた中年女子。早速お腹を診察すると左側腹部に10cmの緊満した皮下腫瘤がある。圧痛はかなりのものだ。左である。??皮膚をよく見るとわずかに傷のあとが。「これどうしたの?」「小学生の時、入院して切ってもらった」「怪我なの?」「いや、腹膜炎だった」・・CTを撮るとこれも立派な腹壁瘢痕ヘルニアであるが、ヘルニア門は小さく、とても用手還納は無理であった。嵌頓であり緊急手術となった。中年女子の名誉のために言えば、確かに胆石の立派なものもございました。



  4.  小生にとって帯状疱疹は極めて日常的な病気の一つである。常時入院治療中の方がいるといってもいいくらいだ。今週入院してきたAさんも上肢の疱疹で典型的な症状なのだが、実は臨床経過が悩ましい。小生にとって初めての経験だ。最近は「帯状疱疹予防ワクチン」というのがある。先月のはじめにNHKの「ためしてがってん」で紹介されてから、当院の周りでも流行しているらしい。ちなみに小生はこれまで投与治療経験はないのである。さてテレビを診てワクチンを打たれた方のなかにAさんはいたのだ。つまりAさんは「帯状疱疹予防ワクチン」接種後の帯状疱疹発症ということになる。ワクチンの添付文書によると副反応としてなんと記述はあるのだ。接種後帯状疱疹の頻度は自然発症と頻度は変わらないとある。しかしねえ、実際にこの方を治療している小生としては、なんとも心境は複雑である。結構症状は重いのだ。絶対にPHNを起こしてはならない。細心の注意で先手先手の治療をするつもりである。


  5. お盆のシーズンには急性胃腸炎が多い。たいていは帰省客である。それもかなりひどい症状でやってくる。連休前まで連日極限まで仕事をして消耗しており、お盆でしかも故郷であるから羽目を外すからなのだろう、若いくせにメロメロである。



  6. Bさんは下肢閉塞性動脈硬化症でながくお付き合いのある方である。左下肢の切断術後の方でもある。右脳梗塞で左不全麻痺もある。そのBさんが「なんだか今朝からろれつが回らなくて」といいながらやってきた。Bさん呂律が回らないといいながら、長くお付き合いのある小生にもその変化がよくわからない。普通と変わらずちゃんとしゃべっている・・・ようなんだが。神経学的検査も一応やった。脳血管イベント後の方であるからなかなか難しいのだが。そこでMRIを撮ると立派な右の新鮮な小脳梗塞である。これには驚いた。むしろこの程度の症状ですんでいることに驚いた。QQ車で地域で一番の脳血管センターに行っていただいた。



  7. そんなこんなで連日入院があり外来があったのだ。結局昨日までの4日間で10人も入院させる羽目となる。全員小生が一人主治医であるから、なかなか消耗する。日曜の今日も今から病棟へ行くが、きっと昨晩の救急で一人二人は入院していることだろう。ちと憂鬱。

  8. おかげで(100%とはいわないが)お盆連休のくせに当院の病床稼働率は95%を割らない。3日前は99%であった。ボーナス特別表彰モノの活躍だと思わないか?


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