これまで入院リハビリしてきた術後患者は下肢に限ると以下のような疾患である。この他では腰椎圧迫骨折や上肢の骨折、最近多いのは骨盤骨折であるがその多くは恥骨骨折である。恥骨骨折は最近増えたなあ。
さて下肢であるが非整形外科医としての小生の乏しい経験をまとめておこう。
1.『大腿骨頚部骨折と大腿骨転子部骨折 』
圧倒的に多いのが大腿骨骨折であるのは変わらない。大腿骨骨折に手術非適応はないというのが小生の考え方である。(以前保存的治療のオススメをしたことがあるが、最近は考えを変えた)これだけ長生きされる患者が増えたので、骨折後の余生もまた長い。手術しないと患者も家族も医療スタッフもお医者さんも大変です。手術して可及的速やかに歩かせる。できるだけ早く自宅退院させる。これにつきる。
2.『大腿骨骨幹部骨折』
我々のような施設には術後リハビリ患者としてはなかなか現れない。高エネルギー外傷が多いのではないかと推察する。同じ長管骨でも脛骨骨折よりは治りが良いようなイメージである。
3.『大腿骨遠位部骨折』
単純にこれだけの患者を診たことがない。複合骨折で遠位部も巻き込まれた患者しか診たことがない。複合骨折だから時間がかかる。
4.『膝蓋骨骨折』
外来では時々遭遇する。診断をつけて紹介するだけだ。リハビリ再入院はほとんど経験ない。
5.『脛骨プラトー骨折』
最近診ないが一時期立て続けに診た。高原骨折であり関節面がズレないように、接合してくれていることを期待する。自分の膝関節が鏡のように磨かれていない状態を想像してみよう。脛骨面のギザギザが大腿骨下面をこすることを考えたら耐えられないでしょう。悲鳴を上げたくなるほどの痛みを想像する。だからリハビリは結構たいへんです。CPMを借りてきたリハビリしたなあ。荷重もかかるし。
6.『下腿の骨幹部骨折』
最近診ることが多い。正直言ってとてもイヤです。治りが必ずしも良くない。脛骨骨幹が大変です。荷重はかかるし、場合によっては創外固定されているし。「弁慶の泣き所」は骨折治癒にも当てはまる。骨折治癒にも骨外軟部組織が重要らしい。脛骨なんてあなた、すぐ上は皮膚です。皮下組織に乏しい。薄いし、皮膚そのものが大抵骨折イベントに巻き込まれている。開放骨折の術後が多い(私ん所には・・・だ)。小生のところにくる脛骨骨折の多くは腓骨も折れているし・・・。イヤだけど、診ないわけにはいきませんの。
7.『足関節骨折』
これも最近多いな。これまで外果、内果骨折ばっかり診ていたが、最近これに距骨の後ろが折れている(後果骨折)3重苦の患者さんを診ている。3果骨折というが、大変だが患者さんはとても頑張っている。
8.『踵骨骨折』
あまり診たくない骨折のひとつ。でも最近紹介が多い。これは疼痛が結構きつい骨折である。リハビリの荷重スケジュールが難しい。自分が高いところから落ちたとき、どこで地面と接触するか?考えてもしょうがないが、選べるものなら運の良い骨折を選びたいものだ。
9『第5中足骨骨折・いわゆる下駄履き骨折と疲労骨折』
最近診ていません。以前NintendinitisとかWii骨折と騒いだ骨折である。あのニンテンドーの遊具は最近どうなったんだろう?昔のバンカラな下駄が現代では任天堂の「Wii」に変わったことが話題になったのだった。
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