Cross-neutralization of SARS-CoV-2 by a human monoclonal SARS-CoV antibody
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抗体について皆が知りたかったことは、(1)診断としてのマーカー、とともに(2)感染予防のmodalityになるか、(3)外部から投与することで治療効果があるかということである。
この論文の眼目は(1)中和抗体を作ったこと、なによりも(2)ヒト型モノクローナル抗体であること、(3)2003年のSARS-CoV が流行したときの「回復患者」の末梢血B細胞から再構成されたものであること、(4)抗体は複数あること・・・を示す。
たとえばAIDSやC型肝炎患者に抗体が作られるのか皆さんご存知であろうか?
作られたとしてそれは感染収束に役だっているであろうか?
術前の患者が入院したときHCV抗体測定するよね。
C型肝炎陽性ならRNAを次に測定するよね。さてさて。さてさて。
というわけで抗体にはいろいろあるということである。大阪大学の宮坂昌之先生の言い方なら
「善玉抗体」「悪玉抗体」「役なし抗体」である。
感染予防や収束や治療に役に立つのは中和抗体である。これが「善玉抗体」である。うれしいのはヒト型であること。抗体薬としてリツキサンやハーセプチンのように実臨床で使用できる可能性があるということである。
すごく期待したくなる。
Abstract
SARS-CoV-2 is a newly emerged coronavirus responsible for the current COVID-19 pandemic that has resulted in more than 3.7 million infections and 260,000 deaths as of 6 May 20201,2. Vaccine and therapeutic discovery efforts are paramount to curb the pandemic spread of this zoonotic virus. The SARS-CoV-2 spike (S) glycoprotein promotes entry into host cells and is the main target of neutralizing antibodies. Here we describe multiple monoclonal antibodies targeting SARS-CoV-2 S identified from memory B cells of an individual who was infected with SARS-CoV in 2003. One antibody, named S309, potently neutralizes SARS-CoV-2 and SARS-CoV pseudoviruses as well as authentic SARS-CoV-2 by engaging the S receptor-binding domain. Using cryo-electron microscopy and binding assays, we show that S309 recognizes a glycan-containing epitope that is conserved within the sarbecovirus subgenus, without competing with receptor attachment. Antibody cocktails including S309 along with other antibodies identified here further enhanced SARS-CoV-2 neutralization and may limit the emergence of neutralization-escape mutants. These results pave the way for using S309- and S309-containing antibody cocktails for prophylaxis in individuals at high risk of exposure or as a post-exposure therapy to limit or treat severe disease.
SARS-CoV-2は、2020年5月6日現在、370万人以上の感染者と26万人の死亡者を出しているCOVID-19パンデミックの原因となっている新たに出現したコロナウイルスである。この人獣共通感染症ウイルスのパンデミック拡大を抑制するためには、ワクチンと治療法の開発が最も重要である。SARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質は、宿主細胞への侵入を促進し、中和抗体の主要な標的となる。ここでは、以下から同定されたSARS-CoV-2 Sを標的とする複数のモノクローナル抗体について述べる。
2003 年に SARS-CoV に感染した患者のメモリー B 細胞を起源として作成された抗体の一つ(S309)は、S受容体結合ドメインに結合することにより、SARS-CoV-2およびSARS-CoV偽ウイルス、ならびに本物のSARS-CoV-2を強力に中和する。低温電子顕微鏡および結合アッセイを用いて、S309 がサルベコウイルス亜属(コロナウイルスの上位亜属)に保存されている糖鎖含有エピトープを、受容体結合と競合することなく認識することを示した。同時に同定された他の抗体とともにS309を含む抗体カクテルは、SARS-CoV-2の中和をさらに増強し、中和エスケープ変異体の出現を制限する可能性がある。これらの結果は、S309およびS309を含む抗体カクテルを、曝露リスクの高い患者の予防、または重症化を制限または治療するための曝露後の治療として使用する道を開くものである。
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