そのALS(医療の世界では「アミトロ」として有名)の責任遺伝子有望候補が見つかった。これまで知られていた責任遺伝子としては10%程度の遺伝性ALSでは、一部の症例に原因遺伝子が同定されている。遺伝性ALSの20%程度を占めるとされる、常染色体優性遺伝のALS1は21番染色体上のSOD1(スーパーオキシドジスムターゼ1遺伝子)に突然変異がある。一方90%の症例は遺伝背景を持たない孤発例であるとされる。これらの両者に変異が存在する遺伝子が見つかったというのは驚きである。
TARDBP mutations in individuals with sporadic and familial amyotrophic lateral sclerosis
Edor Kabashi1,6, Paul N Valdmanis1,6, Patrick Dion1, Dan Spiegelman1, Brendan J McConkey2, Christine Vande Velde1, Jean-Pierre Bouchard3, Lucette Lacomblez4, Ksenia Pochigaeva4, Francois Salachas4, Pierre-Francois Pradat4, William Camu5, Vincent Meininger4, Nicolas Dupre1,3 & Guy A Rouleau1
フランスとカナダの共同研究である。発見された遺伝子では9例の変異があり、6人が孤発例、3人が家族歴ありとのことである。責任遺伝子はAR-DNA binding protein TDP-43 (encoded by TARDBP)といい、神経細胞において凝集するinclusion bodyの主要コンポーネントとして最近発見されたTDP-43をコードする。1p36.22にあり6つのエクソンからなるが、今回見つかった変異は9例中8例がエクソン6に見られる。アミノ酸残基169(エクソン4)一例を例外として残りは順に残基287, 315, 348, 361, 382, 390に認められる。100アミノ酸ーすなわち塩基数で300塩基、しかも同一エクソンであるからゲノムPCRが容易にかけられる長さに収まっている。今後の進展に期待したい。
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