PLoSは完全なWEB媒体であり、紙出版物はない。ダウンロードして読んでみたわけだ。32ページもある大論文である。英語がなんとなくゆったりしている。論文に余裕がある。図表もたっぷり付いている。これは良い媒体だと感じた。これはPublic Library of Scienceというオープンアクセス媒体なのだ。うかつなことに医学・生物学でもこのような媒体が存在していることにいままで気がついていなかったのですね。
創設は2001年頃のようである。創設者の名前をみて驚いた。Patric BrownやMike Eisenの名前が見えるではないか!このStanford軍団はMicroarrayのパイオニア達であり、非常になじみが深い。僕はこのアレイを見にスタンフォードまで行ったことがあるくらいなのだ。あのBeckmanラボに。彼らはおそらく物理学や数学の論文発表の現状を傍目に頑張っちゃたんだろうね。査読なしの論文発表は物理は数学ではもはや当たり前だから。ちょっと前のポアンカレ予想に対する世紀の解決も、かのロシアのペレルマンはウェッブでしか発表していない。これでもフィールズ賞の対象になるし、クレイのミレニアム賞金(100万ドル)の対象になるのだ。
この新しい発表形態に僕は従来の雑誌の参考文献を眺めていて気がついたというわけだ。こういう形態にはもう一雑誌(?)あって、これはBMC genetics。僕はこれがWEB onlyだということに今日初めて気がついた。この雑誌(?)も僕にとってはいつのまにか無視できない雑誌(?)の一つになっていたからな。
ところでVenterはどうして発表の場としてPLoSを選んだのだろう?
僕なりの推測ではやはり「広い場所」が提供されていることではないかと思う。Natureなどの旧来の雑誌がsupplemental dataで四苦八苦しているのに比べて、ずいぶん読みやすいのである、この形態。出稿料が2500ドル(最新情報では2750ドル)というのは高いが、マテメソのジャッジのみで掲載されるのだから、一つの新しい発行形態として認知されたといっていいのだろう。
このあたりになるとIFなんかどうでも良いわけだ。WEB of Scienceなどで、ほとんどリアルタイムに論文ごとの引用回数がわかる時代である。雑誌のIFよりも個々の論文の引用回数が重んじられる時代の到来かもしれません。(とはいえIFは14.1もあるんだね。JCIやJNCIを越えているかも。JEMやLancetに匹敵するかも)
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