というわけで腎盂腎炎をこんなにほっとかないで欲しい・・・という患者が来たわけだが、上気道症状がない患者が3日間39度以上の発熱症状でているのに尿検査をしませんかね、普通。80才越えてるんだし、empiricにでも抗生剤出しませんかね、普通。三日診てれば、食べられない、飲めない、ぼけがひどくなってきている・・・と一般状態がみるみる悪化していることに気が付かないわけないのに、普通。
3日連続で外来診察しているのに点滴も、解熱剤も出さない・・・・・最後の日は40度にシバリングが来ているのだ。入院できるところに紹介しろよ!自宅に帰されても、老老介護なんだし、共倒れだろうが!
こんな開業医はいらないなあ、ボクはめったに開業の先生の悪口は言わないことにしてるのだが・・・。
ここまでほっとかれて、敗血症を起こしかけているわけだ、実際。
2009年8月29日土曜日
腎盂腎炎ー院外感染
E. coli
Klebsiella
Proteus mirabilis
Enterococcusなど
• 尿沈渣のグラム染色でグラム陰性桿菌+の場合 → CTMパンスポリン(1g8時間ごと、3g/日)
• 尿沈渣のグラム染色でグラム陽性連鎖球菌+の場合 → ABPCビクシリン+GMゲンタシン
• 敗血症的であれば → CTMパンスポリン+GMゲンタシン(3日間)
• 敗血症性ショック、重症の場合 → CTXセフォタックス+GMゲンタシン
• 感受性のよいE. coliと判明し、全身状態が落ち着いた場合→ CEZセファメジンまたはCTMセフォチアム
Proteus mirabilis
Enterococcusなど
• 尿沈渣のグラム染色でグラム陰性桿菌+の場合 → CTMパンスポリン(1g8時間ごと、3g/日)
• 尿沈渣のグラム染色でグラム陽性連鎖球菌+の場合 → ABPCビクシリン+GMゲンタシン
• 敗血症的であれば → CTMパンスポリン+GMゲンタシン(3日間)
• 敗血症性ショック、重症の場合 → CTXセフォタックス+GMゲンタシン
• 感受性のよいE. coliと判明し、全身状態が落ち着いた場合→ CEZセファメジンまたはCTMセフォチアム
iPS→One-factor human NiPS:ついにOCT4単独で・・
Natureの28 August 2009
Direct reprogramming of human neural stem cells by OCT4
near-final version
OCT4一遺伝子だけでiPSができますよ・・という論文。ソースは神経幹細胞である。 Jeong Beom Kim, Boris Greber, Marcos J. Araúzo-Bravo, Johann Meyer, Kook In Park, Holm Zaehres & Hans R. Schöler
- Max Planck Institute for Molecular Biomedicine, Department of Cell and Developmental Biology, Röntgenstrasse 20, 48149 Münster, NRW, Germany
- Hannover Medical School, Department of Experimental Hematology, Carl-Neuberg-Strasse 1, 30625 Hannover, Germany
- Department of Pediatrics, BK21 Project for Medical Sciences, Yonsei University College of Medicine, 250 Seongsanno, Seodaemoon-gu, Seoul 120-752, Korea
昨日山中さんのところから培養温度を4〜5度にするとiPS化が促進されるという論文がCell Stem Cellに掲載されたという報道があったようだ(テレビでもやっていた)。これも面白い・・・というかp53以外の促進因子を探せよ!と思っていた矢先であり、さすがだと思いました。
バレーリュー症候群の彼女のその後
外傷性頸椎症(むちうち)の彼女はずいぶん前に退院したが、今では週三回の外来リハにきており、先日外来に現れた。やはり「しゃば」は違います。ずいぶん生き生きしている。バレリューの症状であるが、頚のstiffnessは多少あるものの、自律神経症状が事実上無くなっているのはありがたい。彼女私が言うまであのいやな症状のことを忘れていたからな。「グランダキシンと半夏厚朴湯」今回に関しては、絶大な効果があったと思える。
まあ、この病態は半年〜数年見ないとどうなっていくかはわからんのだが、でも初期消火できたとしたらずいぶん期待していいんではないだろうか?
まあ、この病態は半年〜数年見ないとどうなっていくかはわからんのだが、でも初期消火できたとしたらずいぶん期待していいんではないだろうか?
2009年8月28日金曜日
K-ras変異は治療抵抗性を予知できるか?
ひとまずの結論と言うことなのだろうか?
なぜこうなってしまうのだろう、臨床研究は・・・
Nature Reviews Clinical Oncology - Table of Contents Volume 6 Issue 9
Are RAS mutations predictive markers of resistance to standard chemotherapy?
Yohann Loriot1, Pierre Mordant2, Eric Deutsch2, Ken André Olaussen3 & Jean-Charles Soria1 About the authors
Abstract
KRAS mutations may be predictive of resistance to anti-EGFR monoclonal-based therapy in patients with colorectal cancer (CRC). Screening for KRAS mutations in patients with CRC and non-small-cell lung cancer (NSCLC) may provide additional information on optimizing treatment options with targeted therapies. Only limited studies, however, have assessed the predictive value of KRAS mutations in response to conventional chemotherapy. We reviewed all relevant papers investigating the association of KRAS mutations and conventional chemotherapy-related outcome in NSCLC, CRC, and other solid tumors, both in the adjuvant and advanced settings. Our Review strongly suggests that KRAS mutations have no value in response prediction to conventional chemotherapy in NSCLC, CRC and other solid tumors. Therefore, KRAS mutations should not be used as molecular predictors of response to conventional chemotherapy.
なぜこうなってしまうのだろう、臨床研究は・・・
Nature Reviews Clinical Oncology - Table of Contents Volume 6 Issue 9
Are RAS mutations predictive markers of resistance to standard chemotherapy?
Yohann Loriot1, Pierre Mordant2, Eric Deutsch2, Ken André Olaussen3 & Jean-Charles Soria1 About the authors
Abstract
KRAS mutations may be predictive of resistance to anti-EGFR monoclonal-based therapy in patients with colorectal cancer (CRC). Screening for KRAS mutations in patients with CRC and non-small-cell lung cancer (NSCLC) may provide additional information on optimizing treatment options with targeted therapies. Only limited studies, however, have assessed the predictive value of KRAS mutations in response to conventional chemotherapy. We reviewed all relevant papers investigating the association of KRAS mutations and conventional chemotherapy-related outcome in NSCLC, CRC, and other solid tumors, both in the adjuvant and advanced settings. Our Review strongly suggests that KRAS mutations have no value in response prediction to conventional chemotherapy in NSCLC, CRC and other solid tumors. Therefore, KRAS mutations should not be used as molecular predictors of response to conventional chemotherapy.
2009年8月26日水曜日
最近メタゲノムになぜこだわるのか??
細菌叢と発癌を包括的に見る研究が待たれる。最近のゲノムリサーチか何かに、人のフローラのメタゲノム解析が載っていた。面白そうだが手に入らない。メタゲノムは鼻道、耳道、咽頭、喉頭、上気道、気管支などではそれぞれどんどん研究が進んでいる(という話もある)。
メタゲノムといっても知らない人が多かろう。要は「大部分の細菌、病原菌は実は培養不能である」という厳正なる事実をやっとヒトは乗り越えることが出来そ うだと言うことだ。病原体を見つけるためにはまず、分離(クローン化)、ついで培養しなければならない・・・これが細菌学の基本だ。そうやってできあがっ た細菌学・・・これはいい方は悪いが、歴史的に培養可能だった細菌群のカタログにすぎないのだ。
高速大量シークエンスは、培養の壁を乗り越える。海に出て大きな網を投じ、あらゆる魚を一網打尽にする。直ちにミンチにし、DNAを取りだし、(クローン化 することなく)ダイレクトに、余計な選択することなく、ひたすら、予見無く、ただただたくさん、同時並行的にシークエンスするわけだ。それが鮭の遺伝子Aであろうが、マグロのAであろうがどうでもいいのだ。遺伝子Aのホモログが1500個とれたとす れば、それでいいのだ。まず創薬のヒントになる遺伝子が取れるだろう。非常にまれな魚の遺伝子Aも取れるだろう。瀬戸内海のメタゲノムと地中海のメタゲノ ムの違いなど朝飯前になる訳だ。赤潮が起こる海域のメタゲノムも特徴付けることは可能だろう。
これが大腸細菌叢と大腸癌発癌のアナロジーになっていることがお分かりか?
メタゲノムといっても知らない人が多かろう。要は「大部分の細菌、病原菌は実は培養不能である」という厳正なる事実をやっとヒトは乗り越えることが出来そ うだと言うことだ。病原体を見つけるためにはまず、分離(クローン化)、ついで培養しなければならない・・・これが細菌学の基本だ。そうやってできあがっ た細菌学・・・これはいい方は悪いが、歴史的に培養可能だった細菌群のカタログにすぎないのだ。
高速大量シークエンスは、培養の壁を乗り越える。海に出て大きな網を投じ、あらゆる魚を一網打尽にする。直ちにミンチにし、DNAを取りだし、(クローン化 することなく)ダイレクトに、余計な選択することなく、ひたすら、予見無く、ただただたくさん、同時並行的にシークエンスするわけだ。それが鮭の遺伝子Aであろうが、マグロのAであろうがどうでもいいのだ。遺伝子Aのホモログが1500個とれたとす れば、それでいいのだ。まず創薬のヒントになる遺伝子が取れるだろう。非常にまれな魚の遺伝子Aも取れるだろう。瀬戸内海のメタゲノムと地中海のメタゲノ ムの違いなど朝飯前になる訳だ。赤潮が起こる海域のメタゲノムも特徴付けることは可能だろう。
これが大腸細菌叢と大腸癌発癌のアナロジーになっていることがお分かりか?
吉村さんのコメント・・続報
吉村さんところのホームページに朝日新聞コメントの裏話(というほど大げさではない)が載っていた。
http://new.immunoreg.jp/modules/bulletin/
吉村さんいわく「突っ込みどころ満載の論文」とのこと。なんか笑ってしまいます。
それにしても朝日の本田さんというのはあの人だろうが、この論文の持つ意味をどなたが本田氏に伝えたのだろうか?吉村さんにコメントを求めたのは、これは極めて的を射ているよな。背後にいる第三者は誰だろ・・・?
http://new.immunoreg.jp/modules/bulletin/
吉村さんいわく「突っ込みどころ満載の論文」とのこと。なんか笑ってしまいます。
それにしても朝日の本田さんというのはあの人だろうが、この論文の持つ意味をどなたが本田氏に伝えたのだろうか?吉村さんにコメントを求めたのは、これは極めて的を射ているよな。背後にいる第三者は誰だろ・・・?
2009年8月24日月曜日
大腸細菌叢のメタゲノムと発癌
大腸癌と大腸細菌叢のメタゲノムというのが私の今の中心的興味の一つであるが、そんな中、今朝の朝日新聞に大腸癌とバクテロイデスの話題が載っていたのに気が付いた。面白そうだと思ったが、コメントを慶応の吉村さんが書いているのが気になった。
職場でnature medicineを開くが捜しにくい。ますますこれは・・・と思ったらあったよ。
タイトルがこれだ↓ 見つけきれないはずだ・・・。
A human colonic commensal promotes colon tumorigenesis via activation of T helper type 17 T cell responses
これはバクテロイデスとその亜種についてmin mouseで行った実験系であり、Th17コンテクストの腫瘍免疫の話だったのだと知る。
やはり吉村さん・・・だわな.
職場でnature medicineを開くが捜しにくい。ますますこれは・・・と思ったらあったよ。
タイトルがこれだ↓ 見つけきれないはずだ・・・。
A human colonic commensal promotes colon tumorigenesis via activation of T helper type 17 T cell responses
これはバクテロイデスとその亜種についてmin mouseで行った実験系であり、Th17コンテクストの腫瘍免疫の話だったのだと知る。
やはり吉村さん・・・だわな.
2009年8月20日木曜日
Pneumatosis Cystoides Coli
腸管気腫症であり、症例報告的にはそう珍しいものではない・・・とはいえ初診の患者であれば診断に苦労すると思う。
画像として何がNEJMの編集部の眼鏡にかなったのだろうか?一番右の写真はありふれている。真ん中のCFの写真?CTの縦切り?CFの写真かもしれんね。この症例はレバノンからのものである。前回の食道異物はエジプトからの報告。
NEJMに掲載されたいなら、珍しい病気かやや珍しい病気の写真集が一番かもしれないですね。
Pneumatosis Cystoides Coli
NEJM Images iin Clinical Medicine
Volume 361 August 20, 2009 Number 8
2009年8月15日土曜日
iPS/p53におけるNature 連続5論文
iPSを効率よく作るにはp53の働きをつぶせば良いのですよ・・・という論文がNature on lineに一挙に5報載った。山中さんのところもこの5報の中に入っているので良かったのだろうが、しかしこの論文・事実だとすると、ちと残念。治療薬としての細胞、人に投与する細胞のp53が壊れているわけにはいけないであろう
5報も読む気がしないのでNews & Viewsからつまみ食い・・・
1) kawakami :p53を欠失させるとOct4、Sox2だけでiPS化可能
2) 3グループがp53(−)iPSをマウスの胎児(芽)に移植すると成体マウスの各組織に生育することを示した。
3) p53欠失により癌化のリスクは高まるだろうか?Marionによるとp53(−)iPSはゲノムが不安定で成体に育ち上がるには不十分な細胞だという。Hongによると仮にうまく成体に育ち上がったマウスであっても結局は腫瘍ができてしまうという。
4) UtikalはiPSの効率的な作成にはp53(−)は一過性であってもいいのだという。その分腫瘍化の危険性は下がる。
5) とはいえ、決定的な結論は述べられていない。p53を触ることでiPS化を促進する・・・これは個人ベースの診断・治療効果への応用には大きな前進となろう。
6) しかし本来の目的、すなわちiPSによる代替医療には使えないと考えざるを得ない。
なんだか、一歩迂回してる気がする。p53以外にiPS作成効率を上げる因子を探せよ!!
5報も読む気がしないのでNews & Viewsからつまみ食い・・・
1) kawakami :p53を欠失させるとOct4、Sox2だけでiPS化可能
2) 3グループがp53(−)iPSをマウスの胎児(芽)に移植すると成体マウスの各組織に生育することを示した。
3) p53欠失により癌化のリスクは高まるだろうか?Marionによるとp53(−)iPSはゲノムが不安定で成体に育ち上がるには不十分な細胞だという。Hongによると仮にうまく成体に育ち上がったマウスであっても結局は腫瘍ができてしまうという。
4) UtikalはiPSの効率的な作成にはp53(−)は一過性であってもいいのだという。その分腫瘍化の危険性は下がる。
5) とはいえ、決定的な結論は述べられていない。p53を触ることでiPS化を促進する・・・これは個人ベースの診断・治療効果への応用には大きな前進となろう。
6) しかし本来の目的、すなわちiPSによる代替医療には使えないと考えざるを得ない。
なんだか、一歩迂回してる気がする。p53以外にiPS作成効率を上げる因子を探せよ!!
2009年8月13日木曜日
2009年8月12日水曜日
なんという醜態!
難病のパーキンソン病の新薬として、大日本住友製薬(大阪市)が今年3月に発売した「トレリーフ」が、同社が以前から同一成分で販売している抗てんかん薬「エクセグラン」の100倍以上の価格で販売されている。既存の薬が、別の病気への効能が認められ、新しい商品名で認可される例はあるが、医療関係者からは「臨床試験に費用がかかるとはいえ、100倍もの価格差はおかしい」との声が出ている。
トレリーフは、脳内神経伝達物質の働きを強める作用がある「ゾニサミド」を有効成分とし、薬価は1錠(25ミリ・グラム)1084・9円。成分が同じエクセグラン1錠(100ミリ・グラム)38・5円と比べ、同じ量で比べた価格差は112・7倍だ。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
こんな事を続けてるから中医協(中医協が薬価の主導権をもっているらしい)を解体すると民主党に言われるのだ。私は単なる改革派ではない。日本の医療にとって(といいますか、医療人にとっては・・・これはのちのち、ひいては国民にとっては・・ということになるのであるが)中医協の存在は絶対的であると思っている。保守的に支持するものである。中医協にわけのわからない新自由主義の手が入り込むことだけは絶対に避けなければならないと考えるものである。教育と医療は「市場に任せてはいけない」という立場をもっと医療人は自覚した方がよい。
中医協はもっと自覚的に自らの立場を意識して欲しい。日本の医療の要なんだから・・・。
2009年8月7日金曜日
飢餓状態がras突然変異を誘起する:Vogelstein研
Reports
Glucose Deprivation Contributes to the Development of KRAS Pathway Mutations in Tumor Cells
KRAS or BRAF の相互排他的変異がともに影響を受ける(rasだけではないというのがミソのような気がする)とすれば、面白い。
低血糖のほうが不利なのか。疫学的には大腸癌に糖尿病は危険因子ではなかったけ・・・??原本を読んでみたいな。
膵癌の多型解析:有力多型は・・・血液型ABO
膵癌の多型解析:最も有力なもの血液型ABOでありオッヅは1.2: なんか情けないなあ・・・・
Nature Genetics: 02 August 2009
We conducted a two-stage genome-wide association study of pancreatic cancer, a cancer with one of the lowest survival rates worldwide. We genotyped 558,542 SNPs in 1,896 individuals with pancreatic cancer and 1,939 controls drawn from 12 prospective cohorts plus one hospital-based case-control study. We conducted a combined analysis of these groups plus an additional 2,457 affected individuals and 2,654 controls from eight case-control studies, adjusting for study, sex, ancestry and five principal components. We identified an association between a locus on 9q34 and pancreatic cancer marked by the SNP rs505922 (combined P = 5.37 10-8; multiplicative per-allele odds ratio 1.20; 95% confidence interval 1.12–1.28). This SNP maps to the first intron of the ABO blood group gene. Our results are consistent with earlier epidemiologic evidence suggesting that people with blood group O may have a lower risk of pancreatic cancer than those with groups A or B.
Nature Genetics: 02 August 2009
Genome-wide association study identifies variants in the ABO locus associated with susceptibility to pancreatic cancer
Published online: 02 August 2009We conducted a two-stage genome-wide association study of pancreatic cancer, a cancer with one of the lowest survival rates worldwide. We genotyped 558,542 SNPs in 1,896 individuals with pancreatic cancer and 1,939 controls drawn from 12 prospective cohorts plus one hospital-based case-control study. We conducted a combined analysis of these groups plus an additional 2,457 affected individuals and 2,654 controls from eight case-control studies, adjusting for study, sex, ancestry and five principal components. We identified an association between a locus on 9q34 and pancreatic cancer marked by the SNP rs505922 (combined P = 5.37 10-8; multiplicative per-allele odds ratio 1.20; 95% confidence interval 1.12–1.28). This SNP maps to the first intron of the ABO blood group gene. Our results are consistent with earlier epidemiologic evidence suggesting that people with blood group O may have a lower risk of pancreatic cancer than those with groups A or B.
2009年8月1日土曜日
個人ゲノムシークエンスで韓国にも抜かれた!Nature Online
Nature advance online publication 8 July 2009 |
ポストヒューマンゲノムプロジェクトの大きな課題の一つは、個人のゲノム解析、特にwhole genome sequenceであった。私個人としても日本人のゲノムには大変な関心があり、1995年以来15年に渡ってゲノムの世界にはどっぷりつかってきた。どちらかといえば臨床サイドであるから、疾患関連ゲノム解析が主なテーマであるが、それでも人種別の全ゲノム構造がわからないことには日本人の疾患感受性を知ることはできないと常々感じている。ここ数年で日本人に関係するゲノムの新知見としては例えば長崎大学の耳垢の素晴らしい仕事や、染色体一番のアミラーゼ遺伝子のコピー数の興味深い仕事が印象に残る。前者では東北部アジア人種の微妙な遺伝背景の違いが浮かび上がったし、後者ではシベリア北部のヤップ人と日本人のゲノム構造がとことん似ていることを示した後、アミラーゼコピー数だけが極端に違うことを見せてくれ、これはどう考えても海産肉食を主とするヤップ人と米を主食としてきた日本人の間のゲノム選択の結果であるとしか考えられないのだ。日本人は世界の人種の中では飛び抜けてアミラーゼ遺伝子コピー数が多い。Fiber FISH で示されたデータの一つではディプロイドで6本+8本合計14本のコピーが延々とタンデムにつながっていた。もちろんpseudogeneではない。生きているのだ。
「用不用説」:現代にラマルクが甦ったかのようなデータで愉快でしょうがなかった。
ことほどさように、ゲノム研究は私たちの予想を実証してくれるし、時に驚きを持って覆してくれる。面白くてしょうがない。
今週号のNatureでは「ある1人の韓国人」の全ゲノムシークエンスの結果が報告された。あっという間に読んでしまったぞ!面白かった。これで5人目である。ベンター、ワトソン、あるアフリカ人、ある中国人の4人に続く研究成果である。
明日から詳細にメモを記すとしよう。
A highly annotated whole-genome sequence of a Korean individual
Recent advances in sequencing technologies have initiated an era of personal genome sequences. To date, human genome sequences have been reported for individuals with ancestry in three distinct geographical regions: a Yoruba African, two individuals of northwest European origin, and a person from China1, 2, 3, 4. Here we provide a highly annotated, whole-genome sequence for a Korean individual, known as AK1. The genome of AK1 was determined by an exacting, combined approach that included whole-genome shotgun sequencing (27.8 coverage), targeted bacterial artificial chromosome sequencing, and high-resolution comparative genomic hybridization using custom microarrays featuring more than 24 million probes. Alignment to the NCBI reference, a composite of several ethnic clades5, 6, disclosed nearly 3.45 million single nucleotide polymorphisms (SNPs), including 10,162 non-synonymous SNPs, and 170,202 deletion or insertion polymorphisms (indels). SNP and indel densities were strongly correlated genome-wide. Applying very conservative criteria yielded highly reliable copy number variants for clinical considerations. Potential medical phenotypes were annotated for non-synonymous SNPs, coding domain indels, and structural variants. The integration of several human whole-genome sequences derived from several ethnic groups will assist in understanding genetic ancestry, migration patterns and population bottlenecks.ポストヒューマンゲノムプロジェクトの大きな課題の一つは、個人のゲノム解析、特にwhole genome sequenceであった。私個人としても日本人のゲノムには大変な関心があり、1995年以来15年に渡ってゲノムの世界にはどっぷりつかってきた。どちらかといえば臨床サイドであるから、疾患関連ゲノム解析が主なテーマであるが、それでも人種別の全ゲノム構造がわからないことには日本人の疾患感受性を知ることはできないと常々感じている。ここ数年で日本人に関係するゲノムの新知見としては例えば長崎大学の耳垢の素晴らしい仕事や、染色体一番のアミラーゼ遺伝子のコピー数の興味深い仕事が印象に残る。前者では東北部アジア人種の微妙な遺伝背景の違いが浮かび上がったし、後者ではシベリア北部のヤップ人と日本人のゲノム構造がとことん似ていることを示した後、アミラーゼコピー数だけが極端に違うことを見せてくれ、これはどう考えても海産肉食を主とするヤップ人と米を主食としてきた日本人の間のゲノム選択の結果であるとしか考えられないのだ。日本人は世界の人種の中では飛び抜けてアミラーゼ遺伝子コピー数が多い。Fiber FISH で示されたデータの一つではディプロイドで6本+8本合計14本のコピーが延々とタンデムにつながっていた。もちろんpseudogeneではない。生きているのだ。
「用不用説」:現代にラマルクが甦ったかのようなデータで愉快でしょうがなかった。
ことほどさように、ゲノム研究は私たちの予想を実証してくれるし、時に驚きを持って覆してくれる。面白くてしょうがない。
今週号のNatureでは「ある1人の韓国人」の全ゲノムシークエンスの結果が報告された。あっという間に読んでしまったぞ!面白かった。これで5人目である。ベンター、ワトソン、あるアフリカ人、ある中国人の4人に続く研究成果である。
明日から詳細にメモを記すとしよう。
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