先日ABC予想という数学の難題を京都大学の望月さんという方が解決したという報道があった。もちろんこんな予想のことを小生が従前知るよしもないのであるが、この報道には心が躍った。初めてこの望月さんの業績に気が付いたのは先週のことである。あるブログで大々的に喧伝されていた。もっともそこでは彼の経歴(16歳でプリンストンに渡ったこと等々)が 驚異の的になっていたのだが。小生はABC予想についてはさっぱりであるが、それでも整数式 a + b= c からスタートする予想のようであるから、取っかかりは良い(すぐに解らなくなるが・・・)
それはそうと、この論文の価値・凄さに日本のマスコミで最初に気が付いたのが誰なのかとても興味がある。というのが論文は8月の終わりには望月氏のHPに公開されていたからである。約20日かかって突然のようにマスコミが騒ぎ始めたのは、やはりnatureのコメントがきっかけだったのだろうか?これが9月10日である。読売新聞などが報道を始めたのは20日ころである。
国内の仕事・研究にどれほどの価値があるのか客観的に評価できる人が相変わらず国内にはいないか少ないのであるな。世界を一回りして、「どうやら凄いことだったようだ」と再認識することになる。この日本のいわば弱点を小生は批判しようというのではない。長年、この世界にいて(広く科学界)、 やはり日本にはなかなか難しいものの見方のようだと嘆息するばかりである。
一旦マスコミで火が付くと、望月教授の経歴がユニークでもあったことから報道量は半端ではなかった。週末にはビートたけしの番組でピーター・フランクルが解説をしたという。ほとんどの国民には解らなくてもよいから、そのピーター・フランクルの解説(1時間半くらいかかったらしい)をNHKの教育テレビで流すべきだ。高校生や中学生の中には数万に1人くらいは興味を示す生徒がいるとも限らん。そんななかからしか、次の世代は出てこないと思うが・・如何?
これが真の教育番組であり、報道の最高の価値であろう。
そのビートたけしの番組でたけしがラマヌジャンの話をしていた。ラマヌジャンというのはインドの天才数学者であるが、実に面白い人間である。正式な教育は受けたことがないいう。いわゆる「ひらめき」「天啓」で数学を切り開くタイプの数学者である(と「素数の音楽」には紹介してあった)。小生が感動したのはラマヌジャンの分割公式である。
「碁石が5個あったとして、これを小山に分ける方法は何種類あるか?」 ・・・これがそもそもの発想である。
5個なら答えは7種類というのが答えである。
数が増えると急速に事態は複雑化する。
碁石が200個なら・・・? 答えは3兆9729億9902万9388通りなのだそうだ。
問題は単純であるが、これを一般化したときの公式を無名のラマヌジャンが見出した。
次の公式は有名なのでご存じの方も多かろう。3つの得体の知れない数の関係性にぞくぞくする。
しかし次のラマヌジャンの式はもっとすごいぞ。根記号、Σ、三角関数、導関数まで登場する。これを彼は理論的に導き出したわけではどうやらなさそうである。閃いたのだとか。
もし論文にするとしたら、破格のものとなろう。そこにはintroductionとresultしか書いてない。おそらくdiscussionはない( discussionできない?)。しかし結果は(おそらく)正しい。そんな破格の論文も考えられるな。
とにかくラマヌジャンはこの公式で世にでた。イギリスのハーディという数学者の目にとまり渡英する。
ラマヌジャンの公式をじっくり眺めて欲しい。この世には本当の天才がいるということが実感できると思う。
ラマヌジャンの分割公式
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