さて泉熱であるが、これは昭和の初めの頃に活躍された泉仙助先生というかたの桂冠病(名前を記念して付けられた病気)であり、その後の研究でYersinia pseudotuberculosisが病因ではなかったかと言われているそうである。
地方病院の一番奥には「隔離病棟」というのがあり、そこに入院していたかたはとても印象的だった。その話はのちほど。
このあたりで今回のNEJM imageに戻ろう。ウガンダの女性である。説明を読むと治療費を捻出するために家を売ろうとしたというのが哀しい。
Snap Diagnosis可能であろうか?
答えはかなり下に載せている
この病気を今この状態(病期)で診ることはほとんどないだろう。しかし東京地方では最近増加中との報告もある。
上の図は有名なNetterの図譜から一部引用したが、ネッターに載るくらいの病気である。小生など「扁平上皮癌」と誤診する。
この病気の診断名は三期梅毒の口腔内病変でGummaなのである。グンマである。病理の試験で懐かしいグンマであった。
Images in Clinical Medicine
Syphilitic Gumma
N Engl J Med 2014; 371:667August 14, 2014ペニシリンGを3回一週間おきに筋注したら良くなったという(右の写真)。 結局家売ったのだろうか?ペンGはそこまで高価ではないがね。(というかあの短い症例報告に家を売ろうとしたなんて説明するか、普通!)
さて隔離病棟を思い出したのは、そこに4期梅毒の患者さんたちが入っていたからである。進行麻痺、脊髄癆となり人格崩壊していた。昔はこのような病期を「脳梅」と呼んでいたが、最近ではどうであろうか。とにかくそのような病棟に月に一回は訪れていたわけである。梅毒も世界的にはまだまだ活発な病気なのだろう。日本はかつてほど衛生的な国ではなくなったようで(特にワクチンがこれほど嫌われる国はないからなあ)、これから様々な病気が復活するであろうが、梅毒のグンマを診る時代がまたくるなんていやだな。
ちなみにグンマはドイツ語でガムのことである。 Gummabaloonはゴム風船です。だからゴム腫という。
話題は群馬県にワープするが、群馬県は自らをローマ字表記するときはGunmaとnを使うらしい。 これは全く賢明な判断であろう。
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