鼠径部腫瘤の中年女性がやって来たのは、先の頸部腫瘤の方の翌日であった。この腫瘤も先の頸部腫瘤と同様、それまで数十年存在には気がついていたものが、この3週間で急に大きくなったという(長計60mm程度)。鼠径靱帯の下方で、丁度鼠径からルートを取ったり、あるいは血ガスの穿刺をする場所。硬く緊満している。なんだろう?最初に考えるのはやはり大腿ヘルニアである。あとはリンパ節からみの病気。エコーをするが、リンパ節や腸管ではなさそうである。そこでこの方にはCTを行った。CTでみると丁度閉鎖孔ヘルニアが恥骨筋の表在に現れたかのようである。これも下部組織が気になる。
でもなんか似ている。頸部のリンパ管腫に似ている。そこで刺してみたのだ。そうすると、まったく同様の黄色淡明液が30ml程度引けた。ヘルニアの可能性は一応否定的だったとはいえ、あとから考えるとよく刺したものだ。
診断は左鼠径部リンパ管腫
これはとても珍しいらしい。こんなのもあるのだという症例報告だ。下の引用は臨床皮膚科のもの。
臨床皮膚科 ISSN 0021-4973 (Print) ISSN 1882-1324 (Online) 64巻4号(2010.04)P.315-318(ISID:1412102554)
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