無くなって初めてわかるもの、見えてくるもの。そんなことなら経験しておきたかったもの。
これまでいくらでもある。本に限ろう。映画や音楽だと話にとりとめが無くなる。
たとえばサンリオSF文庫というのがかつてあった。小生が一番SFを読んでいたのは高校・大学のころであるが、小生のブームを過ぎた頃発刊された。怒濤の勢いで発刊されたが、かなりマニアックな内容だったのでそんなには買っていない。「万華鏡」「枯草熱」「歌の翼に」「ロカノンの世界」「天の声」「バロック協奏曲」などが蔵書に残っている。ディックやレムが多い。「鯨神」とか「熱い太陽、深海魚」のように買っておけばと今は思う本もあるが、そのころは「いつか買うだろう、まあそのうち」と思っていたら、いつの間にかサンリオ無くなってしまった。今調べると1978年から1987年の約10年に200冊くらい出ている。今では希覯本扱いのものも多いそうで、随分高い値段のものも多いらしい。
サンリオSF文庫などは無くなってしばらくしてその「良さ」が分かる好例である。その「良さ」といったが、これは同時代にはそこまで感受されない。時代が終わって細々と語り継がれるうちに、尾ひれと幻影を帯びて来て、伝説がいっちょできあがるというものだ。でもサンリオSF文庫は出版の一つの究極の姿形であったと小生など思うのだわ。ここまで遊べるのね。
話は変わるが今朝「松丸本舗」が9月で閉店するという記事を朝日新聞でみつけ残念に思ったわけですな。これから出版もネット化が(おそらく)ますます盛んになるわけだが、リアルの本屋の一つの究極の姿が「松丸本舗」にはあるのだな。これが無くなるということだ。
で思ったのだが、全国の書店員でまだ「松丸本舗」を体験したことが無い人は、一度経験しておくといいと思うのだ。本屋の可能性というものがここにはある。本好きの「遊び場」としてはとても面白いところです。
また、この小さなブログに集まる奇特な皆様の中にはきっと本好きの方も多かろうと思われるが、実質あと2月である。年若い方は、こんな本屋の形態もあるのかということを一度「リアル」で体験しておくと面白いと思います。次の時代には、なかなか難しい形態ではないかと思うのだ。また小生と同世代の本好きなら良い「冥土の土産」になると思われますな。
また新たな形態で次の「松丸本舗」が出現することを期待するよ。でも松岡ー丸善でも継続は無理だったんだから、こんな遊びはもう経験できないかも。それが残念。
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