聴神経・前庭部に神経鞘腫が両側性に認められたとしたら、少し不自然だと思うことだろう。片方だけなら(自分は専門外ではあるが)まあ聞かない話ではない。しかし両側性は随分珍しいのではないかと思わなければいけない。
実はこれが「神経線維腫症Ⅱ型」の診断基準なのだそうだ。(実際にはあと2つ診断クライテリアがあって、家族歴や、髄膜種、若年性白内障、神経膠種の併存などで診断されるタイプもあります)
つい先日家族歴(ー)である10代で発症した両側性聴神経鞘腫と多発性の髄膜種の患者殿にお会いした。γナイフや様々な治療を受けておられるが大変である。
Merlin: The neurofibromatosis 2 tumor suppressor(NF2, メルリン)という22番染色体上の遺伝子異常によって起こる常染色体優性遺伝をする遺伝病であり、もちろんgermlineの突然変異でおこる孤発例(probandにはなる)もある。40000人に一人の発症率だそうだ。
3000人に一人発症するといわれるのが、「神経線維腫症I型」であり、こちらは中枢神経よりは末梢更には皮膚病変が主体となる。常染色体優性遺伝ということではII型と同様であるが、こちらは17番染色体のneurofibromin (NF1,ニューロフィブロミン)の変異によるとされる。Café au lait spot と神経の皮下のこぶの多発ーーいわゆるvon Recklinghausen病である。
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