2013年8月27日火曜日

マダニの簡単な取り方:時局柄、医者も正直困ります

マダニに咬まれた患者が先日やってきた。
いや、正確には「何かがお尻に食いついている」という30代の女性がやって来た。

「いつ食いつかれたんですか」
「よくわからないけど、この2日ほど違和感があります」
「痛いでしょう?』
「いや、まったく」

はて・・・・・

そこで診察すると一見イボのような7mm程度の塊が臀部皮膚にみえる。 



(さすがにマダニの写真を載せる気がしない。気持ち悪すぎるが一度診たら忘れられない。なんでこんなに大きいの!。一番下に載せておくが、見たくない人は見ないこと)
「知人に『だに』だったら、自分で取ってはいけない。医者に行かないと」と言われてやって来たとのこと。

  • いま「ダニ」でネットすると
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  • 重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome,SFTS) 
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  • が検索される。だから「こわくて」病院にやってくるという次第である。

さて患者に戻ろう。

困ったな。よく見ると生き物である。ダニってこんなに大きかったかしら。それに二日経つという。
痛くないという。痒くもない。発赤、腫脹もない。一体なんなんだ。

一番困るのは「何もせずにお医者さんに処置してもらいなさい」といわれたお医者も「処置法が分からない」ということである」

まず小さな鑷子(ピンセット)で掴んで外そうとしたら、口吻がしっかり皮膚に咬み込んでいて、なかなか外しがたい。しかも初めて気がついたのだが、こいつ生きている!

時局柄患者も「SFTS」を意識しているのは間違いないし、このまま無理して取ると、一部皮下に残る可能性を示唆。大げさではあるが(尻で非露出部だということもあり)、「局麻下に最小の範囲で皮膚ごと切り取りましょう」と懇切丁寧に説明したところ快諾。

局麻はおそらく0.3mlくらい、メスで薄くさらったら取れました。大げさなことをしたなあ・・・・と複雑な思いであったが、この時点で小生が出来ることといったら、こんなものである。時局柄なのである。

「私には出来ません」とか、「皮膚科に行きなさい」というほどのものではないしね。 

ネットでマダニの対処法というのを探してみた。以下・・・・・・


 <マダニの対処法>

アルコール綿で包む。
・血を吸い終わるまで待つ(感染する可能性あり)
・皮膚科で取ってもらう。
ワセリン窒息させる。

上記の方法でマダニは自ら外れた、という報告があるらしいです・・。
ちなみに体に咬着しているマダニは、お風呂のお湯くらいでは離れません。
窒息もしないようです。

<ワセリン法>
ワセリンや、ハンドクリームなどを使います。
マダニの体ごと刺咬部をワセリンで覆い被せます。
約30分ほど放置すると、マダニが窒息します。
その後、ティッシュペーパーなどで拭きとりましょう。


絶対に!無理やり引き離そうとしてはいけませんよ。
慎重に引き剥がし作業は行ってください。

マダニに刺されたら、個人的には病院での受診をおすすめします



マダニの簡単な取り方


無理矢理に皮膚から剥がすのは、口器が残ってしまうことがあるので避けた方がよいです。
さあ、ここで取り出しますのは、どこのお宅でも台所にある「酢」でございます。
「酢」をたっぷりと浸ませたティッシュでマダニ周辺をしっかりくるみます。
マダニの口器あたりにも酢が滲みていくように。
すると不思議、1分ほどであっけなくマダニは自分からぽろりと離れてくれるのです。
犬は痛くも痒くもなく、薬剤とちがって、副作用もありません。
吸血前のマダニも簡単に取れますよ。ぜひお試しください。 

酢はやってみてもいいが、ワセリンで窒息というのなら、キシロカインゼリーが更に良いような気がするなあ。
外耳道の虫にキシロカインスプレーをかけるようなものだしな。

こんど来たらやってみよう。 




















































2013年8月26日月曜日

モンドール病11例目:1年半ぶりのモンドール

ありふれた病気だと記述したら、とたんに外来から消えてしまったモンドール病。

小生の外来での乳腺患者数は減らないどころか増加しているので、いったいどうしたんだろう。

昨年2012年はモンドールの再来患者を診ただけだった。

本日午前中の外来では、久しぶりのモンドール病を診ましたな。新規患者としては11例目。32歳女子。驚くべきことに、今日の患者も左側乳腺である。(これで左:右=10:1であります)それも外側。

ちょっと変わっているのは、静脈炎の索が上端が腋のほうに逃げていくのがこれまで診たモンドールのほとんどなのだが、この人は内側(すなわちA領域)に食い込んでいたこと、下方は乳腺内で終わっていて、腹壁までは至っていないことである。全長で7~8cm程度だから、極めて軽度の静脈炎であった。

二ヶ月後においでといったが、 たぶんこないな。32歳の女性は症状がなくなったら、まず来ないよね。

2013年8月23日金曜日

高額化する賞金:最近の学術賞の賞金について

Nature Reviewに最近の学術賞賞金額の高騰化についての記事が載っていた。






















生命科学ブレークスルー賞だけではないんだね。最近はすごいは。

ノーベル賞賞金を遥かに越える賞金額である。

サンガーから癌の遺伝子変異シグニチャー + ‘kataegis’の二報目:nature

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 2013年5月31日金曜日


がんゲノム研究から学んだこと(2):Cell 誌 Eric Landerの総説

Cell 誌 Eric Landerの総説がん:ゲノム研究から学んだことからその(2)である。
今回はがんの突然変異概観の項である。
前にも触れたchromothripsismicronucleichromoplexyが概説されるのはこの項目である。
kataegisという新しい現象についても紹介がある。

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エリック・ランダーの総説にも登場するが、
  1. 各種がんにおける変異頻度の違い
  2. APOBEC遺伝子ファミリー変異とがん
  3. 局所的に集中的に変異が起こる場所があること----‘kataegis’
これは昨年のCellの乳癌の論文で初めて登場したのだが、これを各種がんに敷衍した論文がnatureに登場した。
英国サンガーからMichael R. Strattonらの報告である。



Nature

500,415–421 22 August 2013
Received 24 March 2013
Accepted 19 July 2013
Published online 14 August 2013

Signatures of mutational processes in human cancer

 

Ludmil B. Alexandrov, Serena Nik-Zainal, and others(我が国の国立がん研究所の先生方も4人いる。頑張っているな。)

All cancers are caused by somatic mutations; however, understanding of the biological processes generating these mutations is limited. The catalogue of somatic mutations from a cancer genome bears the signatures of the mutational processes that have been operative. Here we analysed 4,938,362 mutations from 7,042 cancers and extracted more than 20 distinct mutational signatures. Some are present in many cancer types, notably a signature attributed to the APOBEC family of cytidine deaminases, whereas others are confined to a single cancer class. Certain signatures are associated with age of the patient at cancer diagnosis, known mutagenic exposures or defects in DNA maintenance, but many are of cryptic origin. In addition to these genome-wide mutational signatures, hypermutation localized to small genomic regions, ‘kataegis’, is found in many cancer types. The results reveal the diversity of mutational processes underlying the development of cancer, with potential implications for understanding of cancer aetiology, prevention and therapy.


これはもうすっかり有名になった各種がんの変異頻度である。メラノーマと肺癌が頻度が高く、小児がんが低い。
この論文では変異パターンを21種類(+α)にして、各種癌を類別しようとしている。この分類の正当性と臨床的意義が今後問われるところであろう。

2013年8月13日火曜日

変な虫垂像:NEJMのイメージ

Images in Clinical Medicine

Pellets in the Appendix

Ibrahim Zardawi, M.D., and Eranga Siriweera, M.D.
N Engl J Med 2013; 369:e7August 8, 2013












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8歳の子供である。活発なんですって。で・・血中の鉛が高い。腹単は左上。

ここからがオーストラリアらしい話になる。

この家族はショットガンをぶちまかしては「ガチョウ」を撃つ。そして食べる。
子供達は、弾(鉛弾)ごと食べちゃうんだそうな。

で腹単が左上だ。切除した虫垂からは鉛弾が57発でてきたそうだ。Bauhin弁までは小腸が押し出してくれる。でもそのあと盲腸から上行結腸を駆け上るのがつらいのだ。鉛だしな。重いからな。比重は11を超えるし。それで、アッペに転がり落ちるんだろうな。

そんなお話しでした。